Happy Fun Move

嬉し楽しい!趣味の事など。。。
自分の覚え書き。毒も吐きます。

最初で最後の北鎌尾根 2

2022年10月11日 | 

真夜中やっと雨は止んだ。
5:00起床。6:00出発。少し肌寒い。





大曲を右へ水俣乗越ヘ登って行ったのだが…



何処で間違えた?右の沢筋を登っている⤴事に気付き(この辺りで左に進むのだが、直進してしまっていた)少し戻って本線へ⇓。


8月に下ったときには、コレ登るんシンドイやろな~って思っていたのだが、乾いたザレではなくなっていたせいか想像していたよりはマシだった。







水俣乗越に到着。風が冷たいので少しの休憩で下りへ。

初めて表銀座でここを通った時にはそこに下りのルートがあるなんて全く気付かなかった(北鎌尾根へのルートを知らなかった)そこを下る。歩いて下りるというよりは滑りながら下るといった感じで…苦手。

徐々にマシにはなっていくが、へっぴり腰でスピード上がらず。
下りていくと左手に目指す槍ヶ岳の姿が!

しかし、うっとり眺める暇もなく、とにかくYnさんに追いつくように頑張って下る。



北鎌沢出合に到着。やっと休憩。
ここに来るまでにストックのゴムキャプが両方無くなってしまっていた。
石の文様が、あぁカッコイイと思いつつも追いつくのに必死でほとんど写真撮れず。


北鎌沢の入り口ですが、Ynさんが前に来た2回は夏でチョロチョロとしか流れてなかったそうですが。


たぶん左俣への分岐を過ぎた辺り。








コルまで半分辺り。

昨日の雨で思ったより水量あってプチ沢登みたいな…。
途中、水量多くて草付をビビリながら右に巻いたり、なるいボルダーはYnさんに引っ張り上げてもらったり(前に来た時にはお助けスリングが多分あった。らしい)しつつ高度を上げていく。

あれ?ルート外れた?少し戻りYnさん右の沢筋とGPSと見るがそのままでも行けそう、北鎌のコル飛ばしてその先に出れるみたい。という事でそのまままた戻って登っていくが、だんだん足場がガレではなく草付のザレになり、なんとなくいやらしい感じに。
(この時、もっとよく見て方向を把握して、ショートカットできるからと進むべきではなかった。コルへの分岐に戻るのにすぐそこではなく時間をロスしてしまうという思いががショートカットを選択させてしまった。実際ショートカットの踏み跡はあったのだが、その時はまだ沢筋だったのでよく分からなかった)
少し右にトラバースしてまた上へ行くが、悪い。躊躇する私をみて、上の立木からロープ垂らすわとYnさんは登っていく。

写真の岩場の手前を左にトラバース。その辺りも少し悪い岩と土交じり。
私も少しづつ用心しながら登り進みそのパートは越えた。

今度は2m位の岩に行く手を阻まれた。ザックがなくマットが敷いてあればトライは可能だが、ザックを背負ったままでフォールすれば確実に滑落する場所だったので、越えて行ったYnさんがロープを垂らしてくれるのを大人しく待つことにした。時折バラバラと落石があるので壁にヘバリついて待つしかなく上の様子が分からない。
上は、キイチゴの枯れ木も無く、草付の傾斜、「あともうちょっとで木のある所まで行けるねんけど悪いわ」と言うYnさんに「気を付けてね」と言うしかなくジっと待っていたのだが「あっつ!」という声とバラバラと落ちてくる小石に交じってズザザザー!壁に身を寄せる私の上をYnさんが飛んでいき、更にもう一度空を舞って落ちていく「止まれーーー!止まれーーー!」何度叫んだことか!頼むから早く止まって!と念じるしかなく、もうこれ以上落ちたら…という所でなんとか停止した。「大丈夫?!」と声を掛けてみたもののすぐには返事がなく、緊張したが、ほどなく「生きてる!」と返事があって「救助呼ぶわ」というYnさん、声がしっかりしているので少し安堵した。
私もYnさんの元に行かねばならないが、下りも悪いので先ずはザックを落とさないようにヘルメットを取り出し被り、そろりそろりと下って行くが石がYnさんの横1mを落ちていく。当ててはならないので登って来たルートは違う方から下りる。ストックを短くして、ピッケルのように土に突き刺し、キイチゴの根元を抜けないように気を付けながら持ちほとんど後ろ向きで下りて行く。「気を付けてね、無理したらアカンで」Ynさんが声を掛けてくれる。ここで私まで滑落してはいけない、緊張しつつ下って行き無事にYnさんの元に辿り着いた。
その間、Ynさんはセルフチェックをしたらしく、どうやら骨折はしてないと判断。目に見えて酷いのは左手の母指球をザックリと切ってしまっているところ。すぐに水で洗ったが十分には洗えず(Ynさんがストップをかけた)。
救助を呼ぶにも、ビバークするにしてもここより稜線の方がいいだろうから見てきてと言われる。ようようみると右上に向かって草が薙ぎ倒されていたので(誰かも間違えて左に入って無理矢理右へトラバースした?)そこを辿って行くと踏み跡に出た。そしてその踏み跡を登っていくと、右から北鎌のコルへ続く道に合流、コルへは行かずそのまま稜線へと上がってみたら、ギリギリテントが張れそうなスペースがあることを確認して、Ynさんの元へ戻った。
そうしてもう一度、左手の傷口にペットボトルの蓋に穴を開けたものに付け替え洗浄した後、滅菌ガーゼをテーピングで止め応急処置を済ませる。
移動するというYnさん、ストックは1本どこかに飛んで行ってしまっていたが、どのみちこの左手では使えないと。ザックは私が2度運ぶと言ったが持てると言い張り、軽い方の私のザックを背負ってもらうことにして、そろりそろりとトラバースして行き踏み跡まで出て、安定した所で私のザックを担ぎ上がってもらう。私はYnさんのザックを取りに戻り、担いで後を追う。コルの方へ行くのかと思いきやもう稜線の方へ登って行ってしまった。
しかし、テント張れそうと思った所はソロなら十分だが今回持ってきたテントには少し狭く、この先にもう少し広いところがあったはずとYnさんは言うが、その体で動いてどこまで行けるのか分からないし、何とか張れそうなのでここでビバークすることにしてテントを設営することにする。
無理矢理テントを張ることが出来たが、ポールが上の木の枝が邪魔で一か所本体に通すことが出来なくて穴があったのでそこに突き刺し、地面はテントより狭く谷側部分が足りなくて不安なのでポール上部を細引きで上の枝に括りつけたせいでフライを一か所止めることが出来なかった。
なんとかテントに潜り込み、Ynさんの着替えを手伝うが、左膝、左肘は曲げられない、左手裂傷、右手は肩より上に上げられない。半袖を着ていたので腕も少し裂傷、膝も擦り傷で血が滲んでいる。唯一まともなのは右足だけ。
救助を呼ぶにももう今日は来てくれないだろうからと、ここで一夜を過ごすことにし、怪我以外の部分ではいたって元気で食欲もあり一安心する。

風が全くない一夜だった。

コメント
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