とはずがたり

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COVID-19重症肺炎に対するremdesivirの有効性

2020-04-11 14:07:48 | 新型コロナウイルス(治療)
新型コロナウイルス感染症では肺炎の重症化が生命予後を左右し、人工呼吸器やECMOが必要になった患者では生命予後が悪いということも報告されています。このNEJM論文はCOVID-19の重症肺炎患者に対する抗ウイルス薬(エボラウイルス治療薬)であるremdesivirの有効性を検討したものです。対象となった61例のうち30例(57%)は人工呼吸器を、4例(8%)はECMOを使用していました。28日間のフォローアップで改善が見られたのは84%(95% confidence interval [CI] 70 to 99)で、人工呼吸器装着(hazard ratio [HR] 0.33, 95% CI 0.16 to 0.68)、70歳以上(50歳未満と比較したHR 0.29; 95% CI 0.11 to 0.74)患者では改善が見られにくかったとのことです。また性別、居住地、併存症、remdesivir治療までの罹病期間については有意な差がありませんでした。死亡例は7例(13%)でうち6例が補助換気を受けていました。死亡リスクが高かったのは70歳以上(70歳未満と比較したHR 11.34; 95% CI, 1.36 to 94.17)、ベースラインのクレアチニン高値(HR/mg/dL 1.91; 95% CI, 1.22 to 2.99)でした。有害事象は32例(60%)、重篤な有害事象は12例(23%)に見られ、多臓器障害、敗血症ショック、急性腎障害、低血圧などの重篤な有害事象は補助喚起を受けている患者に多かった。途中で投与を中止した4例(8%)の理由としては腎不全の悪化1例、多臓器障害1例、肝酵素上昇2例で、斑点状丘疹が見られた例もありました。もちろんone armの試験ですし、今後の症例蓄積が必要ですが、この結果はわが国の「ECMOの生存離脱率67%、人工呼吸器の生存離脱率44%(https://gemmed.ghc-j.com/?p=33302)」というデータと比較しても良好なように見えます。
Grein et al., Compassionate Use of Remdesivir for Patients with Severe Covid-19.  
DOI: 10.1056/NEJMoa2007016


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