とはずがたり

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エナメル細胞に対するフッ化物の作用

2020-03-14 19:29:15 | 骨代謝・骨粗鬆症
フッ化物(fluoride)は歯や骨などの石灰化組織に沈着し、適切量の摂取はう蝕予防効果があることが知られています。フッ化物が添加さている歯磨き粉もたくさん売られていますし、海外では水道水にフッ化物が添加されている国も多くあります。しかし過剰量のフッ化物摂取はdental fluorosis(斑状歯など)やskeletal fluorosisを惹起します。この論文ではフッ素(NaF)刺激がエナメル細胞において、特異的な細胞内カルシウムシグナルを生じることを明らかにしています。またこれによってミトコンドリア機能にも影響を与えます。この結果はエナメル細胞においてはフッ素の特異的な受容メカニズムが存在する可能性を示唆するものです。ただしこの研究で使用しているNaFの濃度はmM単位と非常に高濃度のものですし、NaFが蛋白抽出時にphosphatase inhibitorとして使用されていることを考えると、この濃度で投与すれば色々な反応を生じるのは当然な気もします。
Sci Signal. 2020 Feb 18;13(619). pii: eaay0086. doi: 10.1126/scisignal.aay0086.
Fluoride exposure alters Ca2+ signaling and mitochondrial function in enamel cells.


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