とはずがたり

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やっぱりマスクは有用!

2020-04-04 06:55:52 | 新型コロナウイルス(疫学他)
白状しますと基本的に私はマスクをつけるのは嫌いです。息が苦しくなる気がするし、メガネも曇るし、しゃべりにくいし。。ただしこれまで何度も書いてきましたように、ウイルスの飛沫による拡散予防にマスク着用は有用と信じております。特に感染者はもちろん、自分が無症状患者(不顕性感染患者)だった時に周囲への飛沫感染を防ぐという意味はあると思っています。しかしながら、特に欧米ではマスクの有用性には懐疑的で、WHOも「マスクつける奴はあほや(とは言ってませんが)」というような態度です(でした)。まぁマスクが有用というしっかりとしたエビデンスがないから仕方ないなぁ、とあきらめておりましたところ、出ましたね。マスクのエビデンス。しかもNature Medicineですよ!
香港大学のグループは呼吸器ウイルス感染症患者を対象に、マスク非着用、マスク(サージカルマスク)着用によって呼気中のウイルス検出率を検討しました。参加者のうち呼気中のウイルスをRT-PCRで検査できたのが123名で、111名において鼻腔あるいは咽頭からウイルスが検出されました。うちわけはヒトコロナウイルス(SARS-CoV-2とかではなく普通の風邪ウイルス)感染17人 、インフルエンザ43人、ライノウイルス54人で、混合感染患者も3名くらい含まれていました。これらの患者において鼻腔スワブ、咽頭スワブとともに飛沫(dropletの大きさが5 μmより大)、エアロゾル(dropletの大きさが5 μm以下)などを30分間採取してウイルス排出をマウス着用前後でRT-PCRで調べました。
(結果)マスクをつけない状態でウイルスRNAが飛沫に検出されたのはコロナウイルス30%、インフルエンザウイルス26%、ライノウイルス28%で、エアロゾルに検出されたのはそれぞれ40%、35%、56%でした。結構エアロゾルにも出てますね。マスク着用の効果は特にコロナウイルスで飛沫、エアロゾルへの排出抑制が著明で、ウイルスの検出は飛沫では30%→0%(p=0.07)、エアロゾルでは40%→0%(p=0.04)でした。一方インフルエンザウイルスでは飛沫26%→4%(p=0.04)と有意に低下させていましたがエアロゾルでは35%→22%(p=0.36)と有意差はなく、ライノウイルスでは飛沫28%→22%(p=0.77)、エアロゾル56%→38%(p=0.15)といずれも有意ではありませんでした。
コロナウイルスのN数がちょっと少ない(N=17)のが気になりますし、ウイルスによる効果の違いの理由はよくわかりませんが、この研究が示していることは①結構飛沫やエアロゾルにウイルスが排出されているぞマスクは有用そうだぞ(少なくとも悪くはない)ということです。この研究にはWHOも関与しているのですが、今後マスク推奨に対してどのような方針を出すのでしょうか。できれば布マスクについても検証してほしいですね。ちなみに外からのウイルス感染をマスクで予防できるかどうかを見ているわけではありません。念のため。


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