とはずがたり

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滑膜マクロファージが関節恒常性を制御する

2020-03-13 18:13:32 | 免疫・リウマチ
滑膜にはいわゆるA細胞というマクロファージが存在することが以前から知られているが、この論文ではそのoriginやsubtype、病的状態における変化を詳細に解析した。健常な滑膜組織では末梢血単球とは異なるoriginを有する(したがってparabiosisでは移植されない)CX3CR1+CD68+F4/80+ lining macrophageが滑膜マクロファージの40%をしめ、関節腔を隔てるバリアーを形成している。CX3CR1+ lining macrophageはCSF1Rを発現するMHCII+CX3CR1− interstitial macrophagesに由来し、この細胞は自己複製能を有するとともに、上記lining macrophageやRELM-α+ macrophageへと分化する。Serum transfer arthritisモデルや関節リウマチ患者滑膜においてはlining macrophageによって形成される滑膜バリアーが破綻し、末梢血単球に由来するLy6G+ polymorphonuclear leucocytes (PMNs)の滑膜内への侵入が生じる。CX3CR1をdepleteしたマウスではPMNsの滑膜内侵入および関節炎の増悪が見られた。以上のことから局所マクロファージであるCX3CR1+ lining macrophageが関節内腔を隔てるバリアーとして機能し、関節恒常性に重要な役割をしていることが明らかになった。 
Nature. 2019 Aug;572(7771):670-675. doi: 10.1038/s41586-019-1471-1. Epub 2019 Aug 7.
Locally renewing resident synovial macrophages provide a protective barrier for the joint.


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