新型コロナウイルス感染症が広がり、自宅で過ごす方が多くなったせいか、骨折患者数も減っているような気がしますが、COVID-19と骨折との合併についての論文が中国から発表されました。
カルテ情報からCOVID-19と骨折との合併を拾い出したところ、10例(女性8名、男性2名)の骨折例が抽出されました。このうちPCR検査で確定していたのが6名、3名はPCR陰性でしたが臨床的に疑わしい肺炎症例、1例はPCR未検査の症例でした。年齢は34歳から87歳で、骨折としては低エネルギー外傷が9例、1例は高エネルギー外傷でした。3例は骨粗鬆症に加えて高血圧、糖尿病、COPDなどの併存症を有していました。術前データとしては、4例に白血球上昇、6例にリンパ球減少が見られました。リンパ球減少はCOVID-19の特徴でもあります。著者らはあまり注目していないようですが、D-dimer高値が9例に見られました。COVID-19には凝固異常を示す症例が多いことから、何か意味があるのかもしれません。検査した8名中7名でprocalcitoninが高値でした。またCRPも全例で上昇していました(これについては骨折の影響が大きいと思いますが)。胸部CTでは全例に肺炎所見が見られました。酸素投与は7名に行われ、薬物投与としてはoseltamivir(タミフルⓇ)とmoxifloxacin(抗菌薬)は全例に投与されました。その他イムノグロブリン療法やステロイド投与を受けた患者もいました。施設の問題もあり、人工呼吸器、ECMOを使用した患者はいませんでした。手術を行ったのは大腿骨転子部骨折(50歳女性、76歳男性)、大腿骨頚部骨折(79歳女性)の3例のみでした。経過についてはまだわからないということです。現在手術を絞っておられる病院も多いかと思いますが、今後軽症例も入れると、対応せざるを得ないCOVID-19患者の整形外科手術も増えてくるかと思います。是非日本でも臨床データを蓄積していただきたいと思います。
カルテ情報からCOVID-19と骨折との合併を拾い出したところ、10例(女性8名、男性2名)の骨折例が抽出されました。このうちPCR検査で確定していたのが6名、3名はPCR陰性でしたが臨床的に疑わしい肺炎症例、1例はPCR未検査の症例でした。年齢は34歳から87歳で、骨折としては低エネルギー外傷が9例、1例は高エネルギー外傷でした。3例は骨粗鬆症に加えて高血圧、糖尿病、COPDなどの併存症を有していました。術前データとしては、4例に白血球上昇、6例にリンパ球減少が見られました。リンパ球減少はCOVID-19の特徴でもあります。著者らはあまり注目していないようですが、D-dimer高値が9例に見られました。COVID-19には凝固異常を示す症例が多いことから、何か意味があるのかもしれません。検査した8名中7名でprocalcitoninが高値でした。またCRPも全例で上昇していました(これについては骨折の影響が大きいと思いますが)。胸部CTでは全例に肺炎所見が見られました。酸素投与は7名に行われ、薬物投与としてはoseltamivir(タミフルⓇ)とmoxifloxacin(抗菌薬)は全例に投与されました。その他イムノグロブリン療法やステロイド投与を受けた患者もいました。施設の問題もあり、人工呼吸器、ECMOを使用した患者はいませんでした。手術を行ったのは大腿骨転子部骨折(50歳女性、76歳男性)、大腿骨頚部骨折(79歳女性)の3例のみでした。経過についてはまだわからないということです。現在手術を絞っておられる病院も多いかと思いますが、今後軽症例も入れると、対応せざるを得ないCOVID-19患者の整形外科手術も増えてくるかと思います。是非日本でも臨床データを蓄積していただきたいと思います。
Mi et al., "Characteristics and Early Prognosis of COVID-19 Infection in Fracture Patients." J Bone Joint Surg Am. 2020 Apr 1. doi: 10.2106/JBJS.20.00390. [Epub ahead of print]