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業務&ITコンサルタントのひとり言

コンサルティング活動を通じて感じることを勝手気ままに記載

トランプ関税:自分だったらこうする。

2025年04月17日 07時21分37秒 | 経済
トランプ関税の狙いは二つある。その一つは製造業を国内に戻す事である。そして二つ目の目的は、かの国を経済圏から排除する事である。これらをしっかり理解しないと、トランプ大統領を単なる世界の秩序を壊す独裁者としか見えないだろう。しかし実情は違う。

現在のアメリカでは、アメリカでは作っていない身の回りで使う商品が沢山ある。例えば、スニーカー、野球帽、安価や洋服や食器類、などなど沢山ある。そしてそれらの商品の多くは中国で作っている。自動車などの裾野の広い産業や最先端の製造業をアメリカに戻す事も大事であるが、一部の身の回り品の製造も、アメリカに戻す必要がある。その為、これらの商品を製造しているかの国に対して、高い関税を掛けている面も多少はある事を理解する必要がある。そして関税による税収が増えた分、Sales Taxを削減するのではないかと思われる。

残念ながら、二つ目の目的を理解出来ていない人が多い。トランプ大統領がこれを行おうとしている理由は、かの国が余りにも露骨に世界をコントロールしようとしたからだ。アメリカや日本の土地を買い漁り、企業を買収して技術を盗み、社会をコントロールしようとした。これを日米のみならず殆どの国に対して行っている。アメリカもUSAIDを使って世界をコントロールしていたが、それは裏で隠れていやっていたために、表にはでなかった一方で、かの国は余りにも急激に露骨にやり過ぎた。これが我慢の限界に達した状況であるが、残念ながら日本の多くの政治家はこの問題点に取り組んでいない。

では自分だったらどうするか?トランプが既に行った様に、主要なパートナー国との関税は、多少下げるだろう。しかし一方で、かの国の製造業が持つ東南アジアの工場からの輸入は削減したいハズである。そして、かの国から日本や韓国を含めた東南アジアからのバイパス輸入も阻止したいハズである。そうであれば、日本&韓国及び東南アジアに対する関税はそれ程下げないだろう。

但し、これらの国がかの国からの輸入品への関税を課せば、アメリカはこれらの国からの輸入関税をさ下げるのではないだろうか?自分だったら、ここまで交渉をする。何故なら、二番目の目的が本気であるからである。

さてこれからトランプ大統領はどうするだろうか?
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:3月5日の日経「米競争力低下の恐れ」の記事の幼稚さ

2025年04月12日 10時20分31秒 | 経済
3月5日の日経に「車産業、コスト9兆円増」と云うタイトルの記事があったが、そのサブタイトルが「米競争力低下の恐れ」と書かれており、米国の民主党に忖度した記事であろう。トランプ関税で価格は上がるだろうが、競争力の低下とは何を根拠にしているのだろうか?

これはトランプ米大統領を批判したいだけの記事なのだろうが、一体なにを言いたいのだろうか…。これは米国が始めた自動車関連製品に対する関税化に対して述べているのだが、この”米競争力低下”とは、一体どの国のどの企業を指して言っているのだろうか?

日本や欧州のメーカだけでなく、アメリカの自動車関連企業もメキシコやカナダで製造している。それで当然これらの企業は、日本などのアメリカから見て海外の企業と同様に、米国で製造している製品との競争力は低下するが、どの企業もお同じ条件であり、優劣・勝者はない。GMやフォードなども、メキシコで沢山製造しているからだ。

メキシコやカナダ以外で製造して米国に対して輸出している製品に関しも同様に、米国内で生産している製品との比較に置いて、当然競争力は低下する。もしこの記事が、この事を指しているのであれば、”競争力低下の恐れ”ではなく、”競争力が低下する”なのだが、アメリカの企業にとっては何の痛手もない。あるのは、消費者が若干高い金額を払わさせられる事であるが、トランプはその分を減税で補おうとしている。そしてドル安に誘導したいと考えているハズである。

トランプ大統領を意図している事は、製造業の米国へ戻す事であり、地産地消の観点では正しい方針である。なので、日本の企業もその方針に出来る範囲内で、従うベキである。

もしこの記事が、米国で製造している製品の海外での競争力の低下を指しているのであれば、これは殆ど有り得ない話である。何故なら、自動車などの米国製の製品は、米国以外ではあまり売れていない。自動車は、南北のアメリカ大陸と中国以外では殆ど売れていない。そしてメキシコやカナダで製造している自動車を米国以外に持っていけば良いので、影響はそれほど高くはないだろう。

農作物の競争力の低下であれば、これは有り得る。しかしこの記事では、農作物を指しているとは到底思えない。

トランプ大統領はUSAIDの解体をする事で、マスメディアの偏向報道を無くし、間違ったGlobalizationを進めたディープステートと戦っている。これを撲滅するにはまだまだ時間がかかりそうだ。そして中国のデカップリングである事も、理解する必要がある。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:トランプ関税に大騒ぎする経済学者とマスメディアの愚かさ

2025年04月09日 20時30分18秒 | 経済
米国トランプ大統領が仕掛けた関税化によって、世間が大騒ぎしている。株は暴落(日本は乱高下)し、経済学者は一斉にトランプ関税を批判している。しかし自由貿易を是としてきた経済学者が間違っていると言いたい。何故なら多くの国民は貧乏になったからである。

4月7日の日経の一面では、『米「鎖国」暗転する世界』と云うタイトルの記事があり、そして「トランプ大統領への手紙」と題した論説では、「多くの経済学者が関税引き上げ競争は、世界経済に打撃をもたらすと警告しています。」と書いている。本当だろうか?これはどの視点で物事を見るかによって違ってくる。

クリントン政権下辺りから、Globalizationが加速化し、企業の寡占化が進んでいった。80年代辺りまでは独占禁止法の元で、国や地域内で複数の企業が切磋琢磨しながら、共存共栄みたいな感じで経済発展を行っていた。しかしクリントン政権あたりから、世界レベルでの大企業の独占化が進んでいき、国家よりは企業の立場が優先される様になっていった。

その結果、一部の大企業の、しかも一部の業務に携わっている人達のみが潤い、残りの多くの人達は、貧乏になっていった。具体的な例で云うと、アマゾンは企業としては潤っている。しかしアマゾンの倉庫で働いている人達は、最低賃金に近い時給で働いている。1980年代までの日本は一億総中流と云われていたが、今は半数以上の人が生活に困っている。

但し消費者としての立場から見ると、物価が下がった事で恩恵を預かっているので、Globalizationが悪い事ではないと勘違いしている。そして、現在の社会構造で恩恵を受けている人達(既得権益者)はこの状況を守ろうとし、マスメディアを使って様々な妨害(嘘や間違った報道)を行っている。

「世界経済に打撃をもたらす…」は多分、その通りだろう。しかしこれはトランプ大統領が言っている事でもあるが、今の世界は”既得権益者”と云う癌細胞に乗っ取られた瀕死の状態であり、大手術を行った所である。その為、暫くは安静にする必要があり、復活するには長い年月が必要だろう。数か月で回復できるか、または数年掛かるのかは、今まで誰も経験していないので分からないが、既得権益者の悪意が広く知られる様になれば、手術後の回復も早まるだろう。

繰り返すが世界の経済のあるべき姿は、関税のない自由貿易ではなく、”緩やかな地産地消経済”である。そしてこれを実現する為には、関税化は不可欠である。この事は、自分の著書にも書いている。但し、今回のトランプ関税は、若干不公平感や高すぎな面もあるが…。

そしてWTOが行う事は、関税障壁を無くす事ではなく、関税化を是としたルール作りである。無秩序な関税化は阻止すべきであり、緩やかな地産地消社会を築くために、適切な関税化のルールを考えて欲しい。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:2月26日の日経「働く時間 より短く」の間違い

2025年04月06日 08時28分04秒 | 経済
2月26日の日経に「働く時間 より短く」と云うタイトルの記事があったのだが、よくもまぁこの様なデタラメな分析をした記事を書くよな…と感じた。労働時間が短くなった原因は103万円の壁なのだが、それに全く触れていないと云う事は、財務省に書かされているのだろう。

この記事では、数年前との比較において、日本人の労働時間が減っており、そしてコロナ過であった2000年との比較においても、労働時間の戻りが他国と比べて少ないと言っているのだが、二つの面で間違いがある。

間違いの一つ目は、コロナ禍では多くの国が経済活動を止め、そして失業者に対して支援を施したのだが、日本はある程度の経済活動を続けたダケでなく、企業が従業員を解雇しない様に、企業に対して支援を施している。そのお陰で、コロナ過での日本の労働時間の落ち込みは他国より少なかったハズで、当然、今現在の戻りの割合も、他国よりは少なくて当たり前である。

二つ目の間違いはもっと重要で、日本の場合は103万円の壁があるから働かないだけである。パートであっても、時間当たりの賃金は少しずつ上昇している一方で、103万円の壁が変わらなければ、自ずと労働時間は減らす必要がある。

2024年度の平均労働時間は、月で約80時間との事で、年間にすると960時間となり、時給が1070円で丁度103万円辺りになる。時給が900円だと、約1140時間働ける事になる。この事から、単に103万円の壁が長年変わらなかったから、労働時間が減っているだけである。

この様なクズな記事を書かせている財務省の解体と、財務省のポチ議員の政界からの抹殺を、本当に急ぐ必要がある。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:2月22日の日経「鴻海、まずはEVで連携」から見える日本の社会の問題点

2025年03月29日 12時18分50秒 | 経済
台湾の鴻海が日産への支援に興味がある様で、ホンダとの協業を提案しているとの記事が先月22日にあった。近年、日本の大企業が経営不振から海外企業に買収されたり、経営者が外国人になるケースが多い。これは日本人が経営する能力が無い事を意味している。

何十年も大きく成長を続けている日本の大企業は大変少ない。日本人ではない孫さんのソフトバンク等の振興の企業以外では…。少なくとも、歴史の長い企業では見当たらない。トヨタ以外の殆どの大企業は、既に創業者の子孫以外の人達が経営に携わっていて、世間的には東大を頂点とする俗に云う超一流大学出身者が経営者になる事が殆どであろう。

一方で、台湾ではこの鴻海やTSMC、韓国でも複数の企業が日本の得意だった領域を制覇している。

この問題が意味する事は、東大を頂点とする日本の高等教育が、世の中に必要な人材を排出していないと云う事であろう。特に昨今、東大出身者が多い企業程、業績が悪くなると云う事を言っている人が複数人居る。実際、自動車業界では、日産の東大卒の割合がトヨタやホンダに比べて多い様だ。そして、霞が関の役人の所業は目に余るモノがある。

理工系の学生であれば、その道での研究を推し進める事で社会に貢献できる事が期待できる。しかし一方で、文系の学生は、クダラナイ優越感のみが醸成されているのではないだろうか?

東大生は、減点主義の日本の社会で減点が少ない学生として、東大に昇りつめた人間である。その為、減点される事、即ち批判を受ける事を極端に避けるのであろう。批判をされたくない、そして失敗を恐れる人達なのだろう。

その様な心理状態にある人間は、前例のない事はできないし、当然チャレンジはできない。その様な人間が企業のトップになったら、その会社は停滞し、場合によっては破綻に向かう事もある。

理工系の研究者であれば、失敗が何時も付き物である事を知っているが、文系の高学歴の人間は、失敗を極端に恐れるのだろう。人間は、失敗から学ぶ事が多いのだが、失敗を恐れ、批判を恐れるが余り、何もしない、そして自分達の利益のみを追及する社会のとっての癌の様な人間になってしまっている。

この様な高学歴の文系人間には、額に汗して働く事の尊さを学んでもらうしか、彼等を社会にとって役に立つ人間育てる方法ないのではないだろうか?
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:2月22日の日経「大学 迫る『35年の崖』」を考えよう

2025年03月20日 13時31分00秒 | 経済
2035年には、大学への進学者数が激減するとの記事があった。現在の出生数を見ればこうなる事は明々白々である。この記事では中央教育審議会が大学の規模縮小や再編・統合の促進を答申したとあるが、文科省が進めた教育政策が間違いだった事の証であろう。

根本の問題点は、文科省に限らず理念や哲学の無い人達に、行政や政治を任せてはいけない事なのだが、問題点を整理したい。

一つ目の問題点は、大学教育の本来の意味や目的を考えていない役人や政治家、そして国民が多い事である。高等教育は世の中の役に立つ人間を育てる事であり、この点についてはほぼ全ての人が同じ考えを持っていると思うが、具体的にどの様な教育を施す事で世の中の役に立つ人間を育てられるかに関する理念や哲学が欠落している事が問題である。

大学教育では、単に知識を詰め込む事ではなく、情操教育が大変重要である。その為、英米、特にアメリカの大学は自然が豊かな環境で大学教育が行われている。またこの時期は、子供を自立させるタイミングでもある。子供達を学生寮や、学生仲間で共同生活を送る事で、自立を促す事が出来る。

なので英米の多くの大学のキャンパスではリスが走り回っている様な田舎や郊外に設置され、都会の喧騒や誘惑から離れた所にある場合が多い。一方日本の多くの大学は都心部にあり、遊びの誘惑が沢山ある。その様な大学では、学生が勉強に集中する事は難しいだろうし、情操教育の場としても決して適していない。

二つ目の問題は教育の中身である。知識の詰め込みではなく、考える能力を教える事が一番大事である。自分で考え、その考えを発言する能力が、今(多分、昔から)の日本人には欠けている。その結果、問題点の発見、または気づく能力が大変低い。高学歴者になればなるほど、持っている情報量が多いので模範解答はできるが、前例の無い事に対する対応力は大変低い。理念や哲学が無いため、前例踏襲しか出来ないのである。

三つ目の問題点は、昭和中期以降に専門学校の延長線上にある様な小規模の大学を増やした事である。都会の大学だけでなく、地方の公立大学にも、この様な小規模の新しい大学が沢山開校した。特に平成以降に沢山出来たのではないだろうか?平成の時代では、既に少子化傾向が見えていたにも関わらず、小規模の大学を増やした事は、理念や哲学の欠如以前の問題である。単に、役人の天下り先として開校したと云われても、言い訳のしようが無いだろう。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:12月2日の日経、「『よろい』失う日本企業」で考える必要があるアメリカの欲望

2024年12月22日 12時35分21秒 | 経済
12月2日の日経の一面に、「『よろい』失う日本企業」と云う記事があった。アメリカの肝いりで進められている株式の持合い解消によって起こっている問題であるが、これは海外の投資家が日本の企業の利益をむさぼる為の工作である事を知っておく必要がある。

この記事には、「アクティビストはトヨタを頂点とした巨大企業グループに照準を合わせている」とある。そして、豊田自動織機がデンソー株を全量売却し、株主還元に充てるとの事で、「市場の要望や期待に答えた」とある。自分の利益しか考えない投資家の圧力に屈した形だが、大変愚かな判断である。

アクティビスト達は、日本企業の株式の持合いが、欧米に比べて低い資本効率の元凶と云う名目で、日本の企業に持ち合い株の売却を迫ってきたが、果たしてこれは正しい指摘だろうか?

もし株式の持合いが企業活動においてマイナスであれば、トヨタは自動車業界で世界のトップ企業になっていない。特に、1980年代の後半は、日本の企業の多くが世界のトップ企業として君臨していた。そしてその頃は、アメリカの企業でトップにランクしていた企業は大変少なかった。当時、日本の企業は株式を持合いをしており、アメリカは当然株式の持ち合いなどしていなかった。株式の持合いが企業経営に悪影響するとの根拠は大変薄い。

また、非上場企業でも高い業績を上げている場合も多い。因みに、12月16日の日経に、上場しないオーナーが「先行投資や抜本的な構造改革などの中期的な施策実行の足かせになる可能性がある」と考えているとある。

日本の企業の問題点は、経営者層の劣化であり、従業員の劣化である。経家者がしっかりとしたビジョンを持ち、但し方向に経営の舵をきっていれば、トヨタグループの様に、安定した成長を続けている。一方日産の様にダメな経営者が経営を行い、特にゴーンの様な目先の利益しか追わない様な経営者の登場で、日産は足腰が弱ってしまい、経営がおおかしくなっている。日産グループは株式の持合いを解消してる方であるが、それと経営とは全く因果関係はない。日産の場合はあくまで”系列”と云うグループ企業をぬるま湯にした事が問題であった。

そして経営者だけでなく従業員の劣化は、日本の高等教育の劣化が起因している。欧米に追い付け老い越せをおこなっていた時代までは、日本の教育はそれ程悪くはなかったが、追い付いた後に日本を引っ張っていける人材を育ててこなかった事が、今の日本の社会の停滞であろう。株式の持合いなど、全く関係ない。

繰り返すが株式の持合いは解消する必要はない。持合いを無くす事で、返って不要な事(アクティビスト)に体力を奪われる事になり、メリットはない。正しい経営をしている限りは...。そして日本の利益をむさぼり、潰していく事が一部目的である事を知る必要がある。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:10月23日の日経「欧州からの休暇革命『休み下手』返上で高時給」への期待と問題点の本質は?

2024年12月01日 11時22分43秒 | 経済
10月23日の日経に、「欧州からの休暇革命『休み下手』返上で高時給」云う記事があった。休暇を多く取りながら労働生産性を上げて行く事の重要性を言いたいのだろうが、これがもっと推進される事を願っている。しかしそこにたどり着くには高いハードルがある。

この記事には「英国では週休3日を企業に促す法案の提出に向け動く。日本でもJR西日本など大手企業が導入に前向きだ。」とある。そしてこの記事には、DMG森精機に関して次の記載が続く。「1700時間対2300時間。森社長はドイツ社の社員が日本の7割強の年間労働時間で同等の成果を上げているのに驚いた」とある。そしてDMG森精機は休暇を増やしても、連結営業利益が3期連続で最高を更新したと…。

我々読者は、休暇を増やしたダケで、生産性が上がった訳では無い事を理解する必要がある。この様な事ができたのは、日頃から高いレベルの仕事を求めているDMG森精機だからこそ出来た事であろう。そして森社長はその高いレベルの仕事を実現している対価として、記事には次の事を記載しいている。「休暇は社員への投資だ」。

但し、ここで注意する必要があるのは、3期連続の増収の結果、”1700時間対2300時間”の差がどの程度縮まったのか?である。あくまで想像であるが、この差はまだまだ大きいであろう。

”『休み下手』返上で高時給”を実現する為には、ただ単に週休3日制などの休暇を増やしても、労働生産性が上がる訳ではない。これを実現する為には、主に次の3個の前提条件を満たす必要がある。

・労働生産性を上げる為には、業務の仕方を変える必要があり、効果的そして効率的な業務の仕方に変える必要がある。
・社員(人)が、仕事よりも家庭やプライベートを優先する様になる事である。
・仕事の成果に対しては、会社は厳しく評価する必要がある。

森精機の実際の仕事の仕方を見た事がないので、あくまで漏れ聞こえてくる情報を元にした想像ではあるが、森社長は上記の3個の前提条件を理解し、実行しようとしている様に見える。是非頑張って頂きたいし、他の企業の模範になって頂きたい。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:10月21日の日経「『守永流』同意なき回収 停滞破る目覚めの劇薬」への期待と問題点

2024年11月30日 14時24分54秒 | 経済
10月21日の日経に、「『守永流』同意なき回収 停滞破る目覚めの劇薬」云う記事があった。日本電産と言った方が伝わるが、ニデックと言う会社の創業者である守永氏の経営手腕によって買収した会社が良くなっていく内容だが、守永氏の手法には問題点もある。

記事の中に、「1日の営業件数を買収前の5倍に増やし、顧客からの見積もり依頼は3倍に増えた」とある。そして「買収した(された)企業の経営が好転するのに、平均2年が掛かる」とあるが、この買収では即座に効果が表れている様だ。流石、永守流である。

しかしこの記事には、一般論では一見良い事ではあるが、本当は問題がある改善策が書かれている。それは、「調達部門では複数の取引先から見積もりを取り、3~5回の価格競争が原則となった。」とある。これは一般的には、正しい改善策と考えられているが、これを実施されると、多くの下請け企業は自社の利益を削って値下げ交渉に応じる事になり、下請け企業の従業員への給与を上げる事に苦しむ事になる。

勿論、下請け企業も企業努力して改善・改革を行い、利益を増やす事も可能である。しかし、この買収された企業は、3~5回の値下げ交渉をされている下請け企業と同じ様に、製造業の大企業から値下げ要求に長年苦しんできた会社である。会社を変えていく事は大変な事である事を、一番よく知っているハズであるが...。

その昔、日産にゴーンが乗り込んできた頃、日産は仕入先に対して軒並み2割カットを伝えてきた。当時丁度、自分もコンサル業務で日産と取引をしていたのだが、2割カットを依頼される事が分かっていたので、3割増しの価格で見積もりを出し、言い値で注文を取った事がある。但し、その契約はT&M(Time and Material)と云う、実際に掛かった金額を請求する契約で、見積りした金額程の費用が掛からない事を分かっていたので(管理していたので)、実際の請求額は見積もり金額より少ない金額で出した事がある。多くの日本人が、この様な気構えで仕事(取引)をすれば、これ程長い間、給料が停滞する事は無かったのだが...。
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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:10月11日の日経「ドコモ、国産優先を転換」の問題点の本質は

2024年11月17日 10時00分00秒 | 経済
10月11日の日経に、「「ドコモ、国産優先を転換」云うタイトルの記事があった。これは、日本の電子・通信産業は、世界で競争出来なくなったと云う事の象徴であろう。1980年代辺りまでは世界のトップランナーだった日本のこの分野の企業の衰退は、大変残念である。

何が起こっているかというと、この記事では「基地局富士通から海外製」とある。そして「ファーウェイ、エリクソン、ノキアが3強で、NECと富士通合わせても約2%。」との事である。ドコモの発注が2%と云う事は、世界では殆ど売上がないとの事であろう。惨敗と云える。

昔はNTTからの通信関連の発注は、殆どがNECや富士通の国内企業だった。企業としてはNTTから安定した注文があり、企業経営はそれで成り立っていた。また通信関連の市場は今とちがってそれ程大きくなく、技術の進歩も今程早くなかったであろうし、市場も今程Blobal化していなかった。その為、海外への積極的な展開は行わず、日本の市場で安住していた。

国内に安住している内に技術の革新に取り残され、世界では勝負出来ない企業に成り下がっている。これが今の日本の電子・通信関連企業の現状である。70年代辺りまでは、日本は海外に打って出ないと食べていけないと云われていて、多くの企業が海外に販路を求め、海外でも売れる製品を開発してきた。それが日本の市場で満足し始めた事で、世界で戦えない企業になった典型的な例であると云える。

12日にも富士通に関連する記事があり、「富士通、ITシフトに拍車」とある。通信機器関連では商売が出来ない為、ITビジネスに販路を求めているとの事だ。しかし残念ながら、富士通はIT関連での海外でのビジネスはあまり進出できておらず、殆どが国内企業を相手にしたITビジネスである。海外でもあると云う人もいるだろうが、それは買収した海外のIT企業の業績のみで、富士通が日本の企業の海外子会社へのITシステム開発で、富士通が選ばれる事は殆どない。

何故なのだろうか?日本人は、今まで海外や外国人をコントロールして来た経験がない。俗に云う植民地を持った事はあったが、欧米の様に外国、又は外国人をコントロールし、搾取する様な事は行って来なかった。この性質が、日本の企業の海外展開にも表れており、日本の殆どの企業では、海外法人の運営は現地に任されており、コントロール出来ていない状況にある。

昨今のGlobal企業でのITシステムの導入では、業務や管理の統一化を推進しているが、日本の企業または日本人が海外方針をコントロール出来ていない為に、日本主導で業務や管理体系の統一化を行えていないケースが大変多い。外国の子会社の言いなりになっているのが状況である。

しかし一方で、日本の業務や管理体系が特殊であるが為に、日本主導で統一化できない面もある。これらの二つの問題点を解決しない限り、日本の企業がGlobal化する事は大変難しいであろう。そして今自分は、正にこの問題を解決する為に取り組んでいる。何とかしないと…。
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