そして時の最果てへ・・・

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「奇跡の人」のセリフから

2009-02-23 23:22:26 | 雑感
「奇跡の人」で哲学をやるにあたっての材料して、以下簡単に話をまとめておきます。

生後6ヶ月で熱病にかかり、視覚と聴覚を失ったヘレン=ケラーは、当然言葉を喋ることができません。そんなわけで日常生活におけるルールも知らずに育ちます。立ったまま食べる、スプーンなど食器を使わず手づかみで食べる、他人のお皿から料理を取って食べる、などワレワレが常識的に守っているマナーを知らないのです。

そこへアニー=サリバンが家庭教師としてやってきました。

サリバン先生がヘレンに教えたのは、例えば右手に人形を持たせ、左手で指文字の「DOLL」と綴らせることでした。本を持たせて「BOOK」、ケーキを食べさせて「CAKE」と。

そこへヘレンの兄がやってきて言います。
「そんなことやって何になるんです?ヘレンは物に名前があることすら知らないのに」

サリバン先生は答えて
「言葉というものを知らないのですから、文字が何なのかわからないでしょうね。まだヘレンにとっては指の遊びにしかすぎませんが、まず覚えなければいけないのは、物には名前があるってことなんです」

サリバン先生は右手の物と左手の(指の動きによる)指文字とが対応していることを教えようとしたのです。そうすれば、右手の物が左手の指文字によって抽象されることに気付くだろう、と。

そのうちヘレンの心境として
「この相手(サリバン先生)は片手によく物を触れさせてはもう一方の片手で何か面白い指の動きをやる。これはいったい何のことだろう。この相手は何故こうも自分に指の動きを教えるのだろう」
となったことでしょう。
と言っても、この段階でヘレンは言葉を知らないので、このナレーションは論点先取りになるのですが。

そんなある日、サリバン先生に井戸水を浴びせられ、肌を流れていく冷たいものを感じた時、
「そうだ!この指の動き、これは『水』を表しているんだ!今までの指の動き!あれらは全てその物の名前を表していたんだ!!」

こうしてヘレンは物に名前があることを知り、最後にサリバン先生に寄り添うと、サリバン先生から「TEACHER」を教えてもらって、めでたしめでたし。


こういったところを踏まえ、サリバン先生のセリフをいくつか挙げておきます。

「心にとって言葉は、目にとっての光以上のものです」

「雛だってときには殻を破って出てくるのよ。あんただって出てこなけりゃ。あんたがそこから出る方法はただ一つ、言葉よ」

「ヘレンは全てのものに名前があるということを学ばせなければなりません。自分の周りにあるものも心の中のことも、この世の全てに対して言葉こそがヘレンの目になるのです」

「ヘレン!私は教えてあげたいのよ!この地上にある全てを!
・・・ねえヘレン。この地上にある全てはあっという間に私たちのものとなり、また消えていくの。
でも私たちには言葉と言う光があって、この言葉を使えば後に遺せるわ!言葉の光に照らせば五千年も昔を見ることができる。
私たちが感じたり考えたり知ったりそれを伝え合ったりする全てが言葉の中にあるのよ!
言葉さえあれば人間は暗闇から抜け出せる!お墓に入っていることはないのよ。たった一つの言葉であんたはその手に世界を握り締めることができるんだわ!」


以上をベースとして少し考えていこうかと。