そして時の最果てへ・・・

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インビジブルハンド

2008-12-26 14:06:19 | 雑感
近代経済学を基礎付け、資本主義について考察を遺したアダム=スミスは、その著書「国富論」にて、個人全体が利益を追求すれば価格決定のメカニズムや利益の再分配という「見えざる手」によって社会全体の利益へとつながる、という趣旨の文章を書いています。

「資本主義経済は放っておけば自然とハッピーになるように仕組まれている。だから政府は極力市場には介入するな。」

これは確かに机の上では正しいんですよ。人間みんなが合理的な判断のもと経済活動を営めばみんなハッピーになれるシステム。

ただ、この古典資本主義には「人間の性」が欠けてるんです。本命にばかり賭ける人がいる一方、大穴一発狙いする人もいるからこそギャンブルが成立する。そもそも期待値が0.5未満だったら賭ける人がいない。「人それぞれ考え方が違う」という大前提を見落とした理論なんですよね。

そして、「期待値が0.5未満でもわりとギャンブルに乗っかる人が多い」世の中は、ケインズの言う「不完全雇用を伴う均衡」という、古典資本主義の理想からほど遠い地点で(かなしいかな)安定化してしまうワケです。

ではここで、不完全な状態をどうやったら理想に近づけられるか?それの役割をケインズは政府に求め、教科書でお馴染みのニューディール政策に代表される財政出動など、需要を管理する政策を提案するんです。


小泉さんは規制緩和をし、小さい政府を目指し、
「お前の両足で立て!」
と言ったワケです。で、立てなかった人に対するケアを放っておいたために今ヒドイことになっちゃったと。

麻生さんは財政出動を積極的に行い、大きな政府を目指し、
「俺が全部面倒みてやる。ただしお前の子供の借金だけどな!」
と言ったワケです。

・・・そのわりに救われている人がいないのは、ケインズ経済学の運用が人間の手に負えない代物だからなのか?それとも麻生さんがヘタレてるからなのか?

ハーヴェイロードの前提とか、戦争なしに完全雇用を達成できないとか、ケインズ経済学にも問題点があり、修正すべきは修正しなきゃならないんですが、そんなのを通り越して、今のニッポンはヒドイ気がするのはワタシだけ?

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