今日、10月6日は陰暦8月15日。中国では中秋節と言い、春節(旧正月)、元宵節(陰暦1月15日)、端午節(陰暦5月5日)とともに「中国の四大伝統祭り」と呼ばれている。一年のうちで最も円く光り輝くと言われる中秋名月を愛でる日で、この日の夜は一家団欒して月見をする。
月に群雲だったが。
やがて美しい姿を現した。月見団子も一家団欒もない月見だが、やはりいいものだ。
元宵節には湯圓(tangyuan:だんご)、端午節には粽子(zongzi:ちまき)を、そして中秋節には月餅(yuebing:げっぺい)を食べる。この日が近づくと、人々は月餅を贈答するのが習慣で、西安の旅行社に勤めている李真は、日頃関係があるホテルなどから、たくさんの月餅が届けられ、うんざりするほどだと言っていた。
日本でも月餅は菓子店などでいつでも販売されているが、中国ではこの季節以外にはあまり見かけないと言う。日本人は月餅が好きだということになっているのか、よくみやげ物として勧めるらしい。みやげ物の月餅は平凡なものだが、中秋節の月餅は中国各地にいろいろなものがあるらしく、最も有名なものは広東風のもので、普通に見るものや日本で売っているのはこの種類だ。前にも豆腐乾や西安の稠酒で紹介した趙珩(Zhao Heng)の「中国美味漫筆」(青土社)によると、広東風の月餅の餡にはさまざまなもの、蓮の種、卵黄、椰子の実の繊切り、豚の脂身の砂糖漬けなどが入れられているようだ。蓮茸蛋黄(lianrongdanhuang)と言う月餅は蓮の種を砕いたもの(蓮茸)と塩ゆでした小さな卵黄(蛋黄)が入っていて、切るとちょうど黄身が月のように見える。私は好きだが、中国の北方人には甘すぎてべたべたしているので評価されないと趙珩は言っている。西安の李真は豚の脂身の入ったものは好きでないと言っていた、
上海では杏花楼(Xinghualou)の月餅が有名で人気がある。趙珩は次のように述べている。
月餅はブリキ製の箱に詰められているが、その箱にはきわめて伝統的な「嫦娥、月に奔る」図案が描かれ、左下の隅に「杏花楼」の三字があり、(中略)
杏花楼の月餅は皮が薄く餡が大きい。やはり広東風の月餅に属し、餡のつくりが入念で、材料が純正で、糖分の含有量が適度で甘いのにべとべとしないのが最大の特徴である。
嫦娥は「じょうが」と言い「姮娥」とも書いて「こうが」と言う、仙薬を盗んで飲んで月に逃げたという、昔の中国の民話の中の女。不老不死・美女のシンボルとされている。
杏花楼の月餅は直径が8センチくらい、厚さが2センチ程もあってずっしりと重く、1人で一度にはとても食べきれない。
通常の習慣の範囲の贈答なら問題はないが、贈答用に使われる月餅は年々豪華になり、中には高級ブランデーやワインなどと抱き合わせたものや「住宅付き月餅」などもあって、時には賄賂に使われ、汚職の原因ともなっていたらしい。まるで時代劇で商人が悪徳役人へ賄賂として差し出す小判入りの菓子折りそっくりだ。また過剰包装がごみの山を生み出すということで、2004年に上海市は月餅の過剰包装の抑制と抱き合わせ販売の禁止を決めたようだ。西安の謝俊麗は包装が月餅そのものの重量の何10%か以上になってはいけないことになったと言っていたから、全国的な規制でもあるのだろう。いずれにしても満月を象った月餅をめぐるこの騒ぎは、名月も曇らせる現代人の愚かさについて考えさせられる。
月に群雲だったが。
やがて美しい姿を現した。月見団子も一家団欒もない月見だが、やはりいいものだ。
元宵節には湯圓(tangyuan:だんご)、端午節には粽子(zongzi:ちまき)を、そして中秋節には月餅(yuebing:げっぺい)を食べる。この日が近づくと、人々は月餅を贈答するのが習慣で、西安の旅行社に勤めている李真は、日頃関係があるホテルなどから、たくさんの月餅が届けられ、うんざりするほどだと言っていた。
日本でも月餅は菓子店などでいつでも販売されているが、中国ではこの季節以外にはあまり見かけないと言う。日本人は月餅が好きだということになっているのか、よくみやげ物として勧めるらしい。みやげ物の月餅は平凡なものだが、中秋節の月餅は中国各地にいろいろなものがあるらしく、最も有名なものは広東風のもので、普通に見るものや日本で売っているのはこの種類だ。前にも豆腐乾や西安の稠酒で紹介した趙珩(Zhao Heng)の「中国美味漫筆」(青土社)によると、広東風の月餅の餡にはさまざまなもの、蓮の種、卵黄、椰子の実の繊切り、豚の脂身の砂糖漬けなどが入れられているようだ。蓮茸蛋黄(lianrongdanhuang)と言う月餅は蓮の種を砕いたもの(蓮茸)と塩ゆでした小さな卵黄(蛋黄)が入っていて、切るとちょうど黄身が月のように見える。私は好きだが、中国の北方人には甘すぎてべたべたしているので評価されないと趙珩は言っている。西安の李真は豚の脂身の入ったものは好きでないと言っていた、
上海では杏花楼(Xinghualou)の月餅が有名で人気がある。趙珩は次のように述べている。
月餅はブリキ製の箱に詰められているが、その箱にはきわめて伝統的な「嫦娥、月に奔る」図案が描かれ、左下の隅に「杏花楼」の三字があり、(中略)
杏花楼の月餅は皮が薄く餡が大きい。やはり広東風の月餅に属し、餡のつくりが入念で、材料が純正で、糖分の含有量が適度で甘いのにべとべとしないのが最大の特徴である。
嫦娥は「じょうが」と言い「姮娥」とも書いて「こうが」と言う、仙薬を盗んで飲んで月に逃げたという、昔の中国の民話の中の女。不老不死・美女のシンボルとされている。
杏花楼の月餅は直径が8センチくらい、厚さが2センチ程もあってずっしりと重く、1人で一度にはとても食べきれない。
通常の習慣の範囲の贈答なら問題はないが、贈答用に使われる月餅は年々豪華になり、中には高級ブランデーやワインなどと抱き合わせたものや「住宅付き月餅」などもあって、時には賄賂に使われ、汚職の原因ともなっていたらしい。まるで時代劇で商人が悪徳役人へ賄賂として差し出す小判入りの菓子折りそっくりだ。また過剰包装がごみの山を生み出すということで、2004年に上海市は月餅の過剰包装の抑制と抱き合わせ販売の禁止を決めたようだ。西安の謝俊麗は包装が月餅そのものの重量の何10%か以上になってはいけないことになったと言っていたから、全国的な規制でもあるのだろう。いずれにしても満月を象った月餅をめぐるこの騒ぎは、名月も曇らせる現代人の愚かさについて考えさせられる。
お店からの帰りに東の空に輝いていました。
月餅は何度かいただきましたが・・・
あまり好きではありません。
お菓子ひとつにも色々思いが込められているんですね。
昨日西安は曇ってきれいなお月様が見られなかったで残念でした。