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中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

精神疾患(2)

2011-09-08 09:30:06 | 中国のこと

 中国国営新華社通信によると、中国の精神障害者は2009年時点で1億人以上に上り、このうち重度の患者は1600万人を超えた。単純計算では100人中13人が精神障害者であることになり、心臓疾患やがんなどを上回っているそうだ。中国の人口は13億と多いが、それにしても精神障害者が1億人以上とは凄まじい。

 

中国ではここ数年、精神障害者による児童への無差別殺傷事件のほか、大学生による自殺の多発、台湾電子機器大手の従業員による連続自殺などが大きな社会問題として注目されている。山西省厚生庁疾病予防所の所長は「中国の精神障害病の患者数はB型肝炎の患者数に接近しており、社会の安定を脅かしている」と強い懸念を示しているという。

 

全国の成人の12%に当たる住民を対象に行った調査によれば、成人の中で何らかの精神障害を持つ人は約18%で、このうち鬱病が約6%、不安障害が約6%、薬物乱用による障害が約6%という結果だった。また、鬱病と不安障害は男性より女性が多く、若い世代よりも40代以上が多い。またアルコール依存症は男性は女性の38倍となり、農村住民の方が都会の住民と比べて鬱病もアルコール依存症も多かったという。やはり農村部は貧困の度合いが強く、生活苦から鬱になったりアルコール依存に陥るのではないか。

 

子どもの精神障害も増加しているそうだ。北京市の1800の家庭を対象に3年間の追跡調査を行った結果、3分の2の家庭で不適切な教育から、子どもたちがさまざまな精神的障害を抱えているという。不適切な教育というものがどのようなものか分からないが、一人っ子に過度の期待をかけて教育し、子どもを追い詰めているのではないだろうか。

 

 大学生にも精神障害が多い。精神障害の発病率は、全疾病の中で1989年の約20%から98年には約27%に増加しているし、天津市が大学生5万人を対象に行った調査でも精神障害は16%以上にも達し、北京大学ではこの10年で精神障害を理由に休学、退学した学生は、全退学者の約3分の1を占めたという。中国の高校生の大学進学熱は過熱する一方で、とりわけ貧しい農村部の学生は良い大学を卒業して良い就職をすることで貧困から抜け出すことを目指すが、入学してから不適応を起こすことも多いのだろう。

 

  中国の発展は目覚しい。経済的には日本を抜いて米国に次ぐ世界第2位の国だ。しかし急激な発展に伴ってどうしても負の面が出てくるようだ。これからも社会の歪が改善されない限り、精神を病む人たちは増えるのではないか。

 

  精神障害者は非常に増えているのに、専門的な医療機関や専門医師の不足は深刻だと言う。中国疾病予防センターのデータによれば、2005年末時点で、全国に精神疾病医療機関はわずか572カ所しかなく、精神科医の人数は1万6383人、精神科医は10万人に1人しかいないことになるとのことで、いかにも遅れている。実入りの多い一般の医師は希望するが、地味な精神科医になろうという希望者は少ないのか。