イーハトーブ国王の巡回

国王自ら王国内の野草や動物などの健全性を調べた記録である。度々記録に出てくるテニスは王国の国技であることを申し添える。

矢尻型の葉をつける オモダカ

2014-04-30 06:12:39 | 日記
オモダカ科(Alismataceae); オモダカ属(Sagittaria); オモダカ(S. trifolia)
学名: Sagittaria trifolia L.
和名: オモダカ(面高、沢瀉)
英名: Arrowhead

 どぜう庵の用水路の中でオモダカを見つけた。根元の方に白い花弁が3枚で球形の雌しべの着いた雌花が咲き、上の方に雄花が咲く。葉の形は素直に見て英名のArrowhead(矢尻)がぴったりだと思う。オモダカという名前の由来は葉の形が人の顔に似ているというのが1つの説であるというが、どう見ても人の顔には見えない。もう1つは中国語で湿地を意味する涵澤(オムダク)から来たという説があり、こちらの方なら少しは納得がいくが、この名からは植物のイメージが湧かない。
 クワイ(S. trifolia var. edulis) はオモダカの栽培変種だという。日本ではおせち料理で食べられるというが、朕はまだ残念ながら食べたことは無い。しかし、美味しかったら普段でも食卓に上るはずなので、多分その程度の味なんだろうな。



用水路で見つけた。(花巻市笹間、2013年9月9日)


雌花。(花巻市松どぜう庵、2013年8月19日)


雄花。(同上)


果実。(同上)



白くて細長い三角形の穂をつける クサヨシ

2014-04-29 06:59:35 | 日記
イネ科(Poaceae); イチゴツナギ亜科(Pooideae); カラスムギ連(Aveneae); クサヨシ属(Phalaris); クサヨシ(P. arundinacea)
学名: Phalaris arundinacea L.
和名: クサヨシ(草葦)
英名: Reed canary grass

 ドライブしていて、田の脇などで見かける白くて細長い三角形の穂をつける草が気になった。群生している様子が印象的で美しい。何かのデザインの図柄にもなる様な気がするほどである。色々調べた結果クサヨシと判定した。田や湿地帯に生育していること。最初は円柱状だが、その後穂が開いて花が咲き、実が成ると再び円柱状に戻るという特性を持つことなどがその理由だ。
 名前の由来はヨシに似ているが草っぽいからということだ。なるほど、アシは2~6mにもなるほど大きく木質化して細い竹の様になる草だが、クサヨシは70~180cmと一回り小さく木質化しない。また、生育する場所も水辺の同じような場所だからだろう。しかし、ヨシの出穂は夏の終わりから秋なのに対して、クサヨシは初夏である。また、ヨシの穂は薄茶色のモコモコした感じなのに対してクサヨシの穂は白くて細長い美しい三角形であり、植物学的にも全く異なる属である。


田んぼの脇に群生していたクサヨシ。(花巻市野田、2013年6月11日)


田んぼの脇に群生していたクサヨシ。花が咲き始めの穂は円柱状で、花が開くと細長い三角形になる。(花巻市湯口、2013年6月13日)


同上。穂を拡大。(同上)


クサヨシが群生しているところ。まるで着物の柄の様で美しい。(同上、2013年14日)


休耕田で見つけた。大雨の後でほとんどが倒れている。(花巻市松園、2013年7月13日)


休耕田で生えていたクサヨシ。(紫波町、2013年7月17日)


同上。少し拡大。(同上)


同上。穂を拡大。(同上)


11月になり再び穂を閉じたクサヨシ。(花巻市矢沢、2013年11月30日)


巨大な網を張る オニグモ

2014-04-28 05:42:30 | 日記
クモ綱(Arachnida); クモ目(Araneae); コガネグモ科(Araneidae); オニグモ属(Araneus); オニグモ(A.ventricosus)
学名: Araneus ventricosus L. Koch
和名: オニグモ(鬼蜘蛛)

 8月の末釜石の実家に帰ったとき、夕方大きなクモが一生懸命に網を作っているところに出くわした。かなり大きな網で直径2mぐらいにも見えた。基本となっている糸は家の屋根から庭に生えているキンモクセイの木だ。この紐を縦糸にして、大きな網をほぼ水平に作っていた。
 あいにく夕方だったので光が採れず、しかもクモがすばしっこく動き回るので不鮮明な写真しか撮れなかったが、大きさや形からしてオニグモと判定した。
 しかし、ウィキペディアには「オニグモは夜間のみ円網を張るのが普通である。網は大きなもので、垂直に張られる。網の目はかなり粗い。」と記載されていた。つまり、どうも水平には張らないらしいのだ。そこで、水平に網を張るクモはいないかなと調べてみたら、ドヨウオニグモというのがいた。しかし、このクモは小型で、5.5~10mmしかない。水平に網を張っているのが気にはなるが、オニグモで間違いではないと思う。
 オニグモは夜網を張り、夜明け前に張るのとは逆の手順で網を片付けるのだそうだ。さて、ファーブルはニワオニグモが片付けた網を食べてしまうのを観察し、食べた網を原料に再び翌日網を張ることに感嘆したのだそうだ。このことについては異論が出て、網に着いていた虫を食べているのを見間違ったのだということになったが、のちに同位元素を使用した実験で、張られた蜘蛛の巣に同位元素を含ませ、その元素が一旦クモに取り込まれ、翌日張られた網に再び同位元素が出てきたことから、ファーブルの観察の正しさが証明されたのだそうだ。ファーブルは偉い!蚊に刺されながら夜中に観察したんだろうな。


観察したのはこんなクモ。オニグモと判定した。(釜石市中妻、2013年8月27日17:46)



写真が不鮮明で見にくいが大きな網が写っている。(同上)



同上。こちらの写真はフラッシュをたいて撮影。(同上)



大部分が無性生殖をする ヒヨドリバナ

2014-04-27 13:15:22 | 日記
キク科(Asteraceae); キク亜科(Asteroideae); ヒヨドリバナ属(Eupatorium); ヒヨドリバナ(E. makinoi)
学名: Eupatorium makinoi T.Kawahara et Yahara
和名: ヒヨドリバナ
英名: Boneset

 ヒヨドリバナ(鵯花)とはキク科の多年草。日本各地の林道の脇、草原や渓流沿いなどの日当たりの良い場所に自生する。ヒヨドリが鳴く頃に開花することから、この和名になったとされる(ウィキペディア参照)。
 最初に見つけたときからずーっとオトコエシだと思っていた。しかし、改めて写真を良く見てみると、花が全く違う。オトコエシの花は白色で小さいけれど5枚の花弁が散房状に多数着くのに対して、見つけた花は5~6個の筒状花が集まった頭花が散房状に着いている。図鑑(注1)をよく調べてみた結果、この花はヒヨドリバナだと分かった。参考にした図鑑にはヒヨドリバナも載っていたが、何故か掲載されている写真は紫色の花であり、最初に図鑑を見たときは色が違うので無視してしまっていたのだ。掲載された写真を良く見ると写真の注釈には白花が普通であると記載されていた。
 昨年から現在までヒヨドリバナと取り違えたオトコエシには未だに出合っていないが、ヒヨドリバナはあちこちで見つけることが出来た。道路脇や近所の公園、神社のある山などでよく見かけた。
 ヒヨドリバナの写真を眺めていてふと疑問に思った。花はヨモギの花の筒状花の部分にそっくりだ。二叉に分かれた雌しべが突き出ているのが見える。しかし、花粉はどこにあるのだろう。気になって調べてみたら、ヒヨドリバナは有性生殖するものもあるが、無性生殖で増える方がずっと多いのだという。つまり、花粉が無くても種を作れるのだ。花粉が見あたらないのはそのせいなのだろうか。
 無性生殖をするヒヨドリバナはジェミニウイルスに感染しやすいのだという。つまり、無性生殖の方が簡単に種を作り増殖することができるのだが、その分遺伝的に同一なので病気に感染しやすくなるらしい。
 有性生殖するヒヨドリバナはどこに生えているんだろう。また、そのヒヨドリバナは花粉をたくさん作るのだろうか。色々と興味がわいてきた。
 無性生殖をする植物の身近な例としてはタンポポが上げられる。知らないだけで他にもたくさんの種類があるのだろう。また、植物の種を作るやり方としては有性生殖と無性生殖があり、有性生殖でも他家受粉と自家受粉がある。それぞれにメリットとデメリットがある。ヒヨドリバナのおかげで色々なことを考えさせられた。
 


道路脇で群生しているヒヨドリバナを見つけた。(花巻市湯口、2013年7月10日)


同上。花をズームアップ。クルマトンボがとまっていた。(同上)


花を真上から撮影。頭花が咲き始め頭花から出た細い花柱が見える。(同上、2013年7月17日)


頭花をズームアップ。ひとつの頭花には5~6個の筒状花が見られ、筒状花の先が5裂しているのが見える。筒状花から2つに分かれた花柱が突き出て長く伸びている。ヨモギと同じだ。(花巻市星が丘せせらぎ公園、2013年8月16日)


サワヒヨドリの果実。白い冠毛が着いている。(同上)


注1: 山渓ハンディ図鑑1 増補改訂新版 「山に咲く花」





先の尖った白い花穂を湿った場所に咲かせる ヌマトラノオ

2014-04-26 06:26:12 | 日記
サクラソウ科(Primulaceae); オカトラノオ属(Lysimachia); ヌマトラノオ(L. fortunei)
学名: Lysimachia fortunei
和名: ヌマトラノオ

 小さな花を長い花穂につけ、先端が動物の尾の様に尖っていることから、しばらくの間オカトラノオだと思っていた。しかし、よくよく調べてみると見つけた場所が田の脇の様な湿った場所だったこと、花穂の先が図鑑に載っているほどには深く垂れず、直立したものも多く認められること、丈が低いこと、葉の幅がやや狭いこと、花がややまばらなことなどからヌマトラノオと判定した。
 時期によりかなり違っていて、7月に見つけたものは、図鑑に載っているように花穂の先が尖っているが、8月に入り、花が終わりかけた株は先が尖っておらず、ヌマトラノオなのかどうか暫く確信が持てなかった。花が咲き上がっていくに連れて先端は丸い感じになる様だ。花巻ではそれほど珍しくはなく、あちこちでこの花を見つけることが出来た。


1番最初に見つけたヌマトラノオ。草の茂みの中から所々顔を出していた。(花巻市湯口、2013年7月10日)


最初に見つけた場所の直ぐ近くの田んぼの脇にたくさん咲いているのを見つけた。(同上、2013年7月15日)


同上


他の荒れ地でも見つけた。(花巻市天下田、2013年7月17日)


同上。花穂を拡大。(同上)


荒れ地の中の湿地帯でクサヨシの茂みの中に花の終わりかけたヌマトラノオを見つけた。白い大きな花穂はクサヨシ。小さな白い点に見えるのがヌマトラノオ。花穂の先端部だけに花が残っている。(花巻市湯口、2013年7月31日)


8月に入り、花穂の先端部にだけ花が残っているヌマトラノオを見つけた。この時期になると、先端部の尖りは無くなるようだ。(花巻市桜台、2013年8月12日)