イーハトーブ国王の巡回

国王自ら王国内の野草や動物などの健全性を調べた記録である。度々記録に出てくるテニスは王国の国技であることを申し添える。

道端などで良く見かける ヤブマメ

2014-10-31 21:25:58 | 趣味・特技
マメ科(Fabaceae); ヤブマメ属(Amphicarpaea); ヤブマメ(A. bracteata subsp. edgeworthii var. japonica)
学名: Amphicarpaea bracteata subsp. edgeworthii var. japonica
和名: ヤブマメ(薮豆)

 ツルマメやヤブツルアズキはなかなか見つからないが、ヤブマメはあまり珍しくはない。道路脇でも良く見かけるし、テニスコート脇の金網ネットに絡みついていたりする。河原などにもかなりたくさん生えているのを見かけた。
 葉は小葉が3~6cmの3出複葉で、他の植物に絡みついて伸びている。ツルマメやヤブツルアズキよりも小さめだ。花は旗弁が紫色で他は白っぽい。1.5~2cmの蝶形花だ。しかしかなり細長い。秋になると長さ3cm程度の豆果がなり、中には3個ほどの種子が入っている。種子は小さく長さ3.5mm程度でウズラの卵のような模様がある。
 ヤブマメの最大の特徴は地中に閉鎖花をつけることだろう。従って地下にも実をつける。こちらの方は長さ1cm程度と地上の豆よりもかなり大きく、アイヌはこの豆を食料源にしていたとのことだ。


8月、テニスコート脇の金網にヤブマメが絡みつき、花を咲かせ始めた。(花巻市金矢広域公園、2013年8月19日)


9月になり、花がたくさん咲き始めた。(同上、2013年9月11日)


花を拡大。正面から。(同上)


花を拡大。横から。(同上)


豆果がなり始めた。(同上、2013年9月19日)


ヤブマメの種子。ウズラの卵のような模様がある。長さ3.5mm、幅は3mmほどだ。(花巻市桜台、2013年11月19日)

普通は4枚だが5枚のときもある花弁の数がいいかげん チョウジタデ

2014-10-30 22:00:49 | 趣味・特技
アカバナ科(Onagraceae); チョウジタデ属(Ludwigia); チョウジタデ(L. epilobioides)
学名: Ludwigia epilobioides
和名: チョウジタデ(丁字蓼)、タゴボウ(田牛蒡)

 近所の水田が今年一部埋め立てられてその一部に住宅が建った。それ以外の土地にはあっという間に色々な植物が生えてきた。その中に今まであまり見かけなかった植物を見つけた。調べてみてチョウジタデと分かった。
 アカバナ科の植物であり花は黄色だが、花のすぐ下に細長い子房が着いている様子は確かにアカバナと良く似ている。花弁や萼の数は通常は4個だが5個の場合もある。こんな植物って良くあるのだろうか。頭花を作る植物なら舌弁の数が異なるのは普通だが、1つの花で花弁や萼の数が異なるというのにはびっくりした。こういう植物もあるんだね。
 茎が赤く、秋になると葉も紅葉するのだというが、残念なことに、田んぼの雑草と位置づけられた植物の宿命で紅葉する前にきれいに草刈り機で刈り取られてしまった。残念!
 ちなみにチョウジタデという名は丁字(クローブ)に似ていることから来ているという。


宅地に変えられた土地に生えてきたチョウジタデ。赤く長い子房の先に花が着く。萼は4個。(花巻市桜台、2014年8月13日)



同上



同上。(同上、2014年8月16日)



同上



こちらは5弁花が咲いていた。(同上)



花をズームアップ。(同上)

若い葉の形がボロ傘に似ている ヤブレガサ

2014-10-29 21:18:30 | 趣味・特技
キク科(Asteraceae); キク亜科(Asteroideae); ヤブレガサ属(Syneilesis); ヤブレガサ(S. palmata)
学名: Syneilesis palmata
和名: ヤブレガサ(破れ傘)

 釜石市の大天場山の杉林の中でヤブレガサを見つけた。すぐ近くにモミジガサも生えていた。
 全体の雰囲気はモミジガサと良く似ているが、葉はかなり大きく直径40cmほどの葉がモミジガサよりも多く深裂し、裂片は7~9程度である。葉柄が盾状につくのも特徴である。
 頭花もモミジガサと良く似ているが、モミジガサよりも多い7~13個の両性花により構成される。柱頭の先が2つに分かれクルンと輪になるところも似ている。
ヤブレガサという名前は、春先に葉柄が伸びだして葉が完全に展開する前の形が破れた傘に似ているところから来ている。
 モミジガサ(シドケ)と同様春先の葉が展開する前のものは山菜として食べられると言うが、朕はまだ食べた事がない。シドケよりもやや苦いらしい。
 

大天場山の杉林の中でヤブレガサを見つけた。葉が葉柄に盾状に付く。葉には深い切れ込みがあり7~9個の裂片に分かれている。(釜石市八雲町大天場山、2014年7月5日)


頭花を拡大。頭花は7~13個の両性花により構成される。柱頭の先が2つに分かれてそれぞれがクルンとまるまり輪を作っている。(同上)


同上


同上


同上

手の平のような葉っぱを着ける モミジガサ

2014-10-28 18:30:28 | 趣味・特技
キク科(Asteraceae); キク亜科(Asteroideae); コウモリソウ属(Parasenecio); モミジガサ(Parasenecio delphiniifolius)
学名: Parasenecio delphiniifolius
和名: モミジガサ(紅葉笠)シドケ、シトギ、モミジソウ


 釜石の大天場山の薄暗い杉林の中で、大きな手の平のように切れ込んだ葉の植物を見つけた。花茎が立ち上がり、細長い円錐花序で白い花の蕾がたくさん着いている。あまり見かけない植物だなと思って調べてみたら、モミジガサだと分かった。
 モミジガサというとあまりピンと来ないが、シドケと言えば岩手では誰でも知っている山菜である。春先に葉が開く前に茎を取って茹でて食べる。ほろ苦くて少し食べる分にはおいしい山菜だ。市販用に栽培もされているようだ。東北地方では一般的だが、それ以外ではそれほど一般的でないと聞いたことがある。
 大きくなったシドケの葉っぱを見ると、なるほどモミジガサという名も頷ける。
 花は5個の筒状花からなる頭花を多数着ける。筒状花は雄しべが合着して黒い筒状となり、雌しべをその中に抱く。花粉はその中に出来るのだが、その中を伸びてくる雌しべが花粉を押し出す。花粉が出た後で、雌しべが柱頭を出して受粉する仕組みであり、雄性先熟となっている。雌しべの柱頭は2つに分かれてそれぞれがくるんと丸まって輪を作る。なんとも面白い形だ。コウモリソウ属の仲間は皆こんな感じで良く似ている。


薄暗い杉林の中で見つけたモミジガサ。花はまだ蕾だ。(釜石市八雲町大天場山、2014年7月5日)



同上



8月になると花が咲いた。(同上、2014年8月14日)



花穂をズームアップ。(同上)



頭花を上から撮影。5個の筒状花で構成される。黒い筒状の雄しべの中から雌しべが出て来て花粉を押し出す。雄性先熟である。その後で柱頭が更に伸びて来る。伸びてきた雌しべの先は2つに分かれて、くるんと丸まって輪を作り、受粉の体勢を整える。面白い形だ。(同上)



頭花を横から撮影。(同上)

栗のイガイガのような果実を結ぶ ミクリ

2014-10-27 20:09:49 | 趣味・特技
ミクリ科(Sparganiaceae); ミクリ属(Sparganium); ミクリ(S. erectum)
学名: Sparganium erectum
和名: ミクリ(実栗)

 北上市の和賀川沿いにある和賀川グリーンパークの池にミクリが生えていた。花軸の下の方に白く長い柱頭を放射状に突き出した数個の雌頭花を咲かせ、その上の方に雌頭花よりやや小さい雄頭花を多数咲かせる。こちらの方は白い雌しべの先に黒い葯を付けている。果実は名前のように栗のイガイガのように先が尖った実だ。雌頭花も雄頭花も果実も球形である。果実は直径約2cmだが、雌頭花と雄頭花はそれぞれ1cm、約6mmと順に小さくなる。花軸にこれら球形の果実や花が咲いている様子美しいとは言い難いが何だか楽しい。
 6月中旬に丁度雌花と雄花が咲いているのに出会ったが、アブが飛びながら一生懸命雌頭花の柱頭に口先を付けていた。蜜でも吸っていたのだろうか。
 ミクリの塊茎は生薬としても用いられ、生薬名を三稜(サンリョウ)と言い、漢方では腹部の腫瘤や腹痛、胸痛、月経障害、打撲傷などに用いられてきたという。


グリーンパークの池でミクリを見つけた。下に白い柱頭を出した雌頭花があり、その上に雄頭花が多数見える。(北上市和賀川グリーンパーク、2014年6月18日)


同上


雌頭花を拡大。(同上)


雄頭花を拡大。(同上)


雌頭花に一匹のアブが飛びながら口を柱頭に差し込んでいた。蜜でも吸っていたのだろうか。(同上)


7月になると果実がなり始めた。(同上、2014年7月2日)


同上


9月になると葉は枯れてしまい、栗のようなイガイガの果実だけになった。(同上、2013年9月9日)


同上