イーハトーブ国王の巡回

国王自ら王国内の野草や動物などの健全性を調べた記録である。度々記録に出てくるテニスは王国の国技であることを申し添える。

大国主命がウサギの傷を治すのに用いたガマ

2014-02-28 07:55:22 | 日記
ガマにもいくつか種類があるようだ。ガマ、コガマ、ヒメガマの3種類だ。コガマは穂の大きさがガマよりも小さく、草丈も一回り小さい。また、葉もガマと較べて細いという特徴がある。ヒメガマは花穂の雄花と雌花の間が離れているのが特徴だ。昨年あちこちでガマやヒメガマを見つけた。
 ガマと言えば神話に出てくる因幡の白ウサギの話が有名だ。ワニに皮をはがされたウサギの体を大黒様(大国主命)がガマの綿毛で直してやったという話だ。実際ガマの花粉は蒲黄(ほおう)いい、生薬として利用されてきている。他の生薬と配合して利尿(りにょう)、通経薬として用いられる他、収斂(しゅうれん)性止血薬として、そのまま傷口や火傷(やけど)に散布薬として用いられる(注1)。
 蒲焼きの「蒲」もガマから来ているという。串を刺して焼く形がガマの穂の形に似ているからだ。だったらなぜガマヤキといわないのだろうかとこれはこれで気になる。また、蒲団の「蒲」もガマの穂の綿毛を昔蒲団に用いたところから来ているのだという。実際ガマの11月の末頃ガマの穂が崩れて綿毛になり風に吹かれて飛んでいくが、なるほどモコモコフワフワして蒲団に詰めたら温かそうだ。なかなか役に立つ植物だ。


6月に見つけたガマの穂。緑色の雌花の穂の上に雄花の穂が続いて伸びている。(花巻市松どぜう庵、2013年6月23日)


7月に見つけたガマの穂。雄花は枯れて細くなり、雌花は黒ずんで太くなっている。(花巻市湯口自然休養村、2013年7月15日)


別な場所でも群落を見つけた。同上。(紫波群紫波町、2013年7月17日)


7月、ヒメガマの群落を見つけた。穂がガマよりも細く長い。また、雌花の穂(下の茶色い部分)と雄花の穂(上の紫色がかって少し細くなった部分)の間に隙間があるのが特徴。ガマの場合にはここに隙間がない。(花巻市松どぜう庵、2013年7月16日)


9月、別な場所で見つけたヒメガマ。上記のものよりも雌花の穂がかなり太く短い。やはり雄花と雌花の間に隙間があるのでヒメガマだと思うが、見た印象はかなり違う。本当に同じ種類として分類して良いのだろうか?(北上市和賀川グリーンパーク、2013年9月9日)


11月末、ガマの穂が崩れて綿毛になり始めた。なるほどフワフワして蒲団に詰めたら温かそう。(花巻市矢沢、2013年11月30日)


綿毛をクローズアップ。綿毛の先に小さな種が付いている。(同上)


注1: イー薬草・ドット・コム http://www.e-yakusou.com/sou/sou174.htm



仲良くやろうぜオオキンケイギクさん!

2014-02-27 07:37:33 | 日記
6月中旬釜石街道をドライブしていて、道路脇の花壇に黄色い花がたくさん咲いているのを見つけた。シャスタ・デージーも混じって咲いていた。人為的に植えたものなのか自然に生えてきたのか不明である。家で調べてみたらこれはオオキンケイギクだと分かった。花は直径4~5cmあり、野生の花にしてはかなり大きい。
 北アメリカ原産のこの植物についてウィキペディアには以下のように記載されている。「日本には1880年代に鑑賞目的で導入された。繁殖力が強く、荒地でも生育できるため、緑化などに利用されてきた。河川敷や道端の一面を美しい黄色の花々で彩る本種は、緑化植物としても観賞植物としても非常に好まれた。しかし、カワラナデシコなどの在来種に悪影響を与える恐れが指摘され、2006年に外来生物法に基づき特定外来生物として栽培・譲渡・販売・輸出入などが原則禁止された。また、日本生態学会により日本の侵略的外来種ワースト100に選定された。河原植生への本種の侵入がよく注目されるが、低木林や高木林など自然度の高い環境にも侵入・定着が可能だといわれており、河川植生の遷移が進行し森林化しても本種は残存し続けるものと考えられる。」
 要するに、きれいな花で、繁殖力も強いので法面の緑化等に利用されてきたんだけれど、在来種を圧迫し始めている植物らしい。しかし、オオキンケイギクには罪はなく、これを導入した人間に罪がある。そうはいっても植物はしたたかだ。いかにオオキンケイギクが強いとは言っても、全ての環境で優位に立つ訳でもないだろう。かつてセイダカアワダチソウが問題視されたが、ある程度繁殖すると自ら産出する生育抑制物質により生育が悪くなるなどの現象があり、結果としてそれほどはびこってもいない。自然には強い調整能力があるのだと思う。人間が介入して過度に自然に介入しない限り自然の力により、落ち着くところに落ち着くのではないだろうか。何でもかんでも人間が介入して大騒ぎするのも何だか無駄な感じがする。たとえば松枯れ病やナラ枯れなどもある意味自然のサイクルであり、放っておけば自然に落ち着くところに落ち着くのだと思う。慌てふためいて、農薬やらを散布するのはかえって良くない。それよりも、自然の修復力を高めるようにすることの方が大切だと思う。大騒ぎするよりもじっと見守る忍耐強さが必要だ。
 昔日本に来たときから苦労してきたんだよね。仲良くやろうぜオオキンケイギクさん!


釜石街道脇で見つけたオオキンケイギク。(遠野市宮守。2013年6月12日)


花のアップ写真。八重咲き。(同上)


近所で見つけたオオキンケイギク。(花巻市日居城野、2013年7月3日)


花のアップ写真。八重咲き。(同上)


釜石の河原で見つけたオオキンケイギク。(釜石市甲子川千鳥町付近、2013年7月23日)


花のアップ写真。一重咲き。コスモスそっくりだ!最初見たときは本当にコスモスの一種だと思った。(同上)


8月のオオキンケイギク。花が終わり始め種を作り始めている。タンポポと異なり綿毛はないので、人間が介入しない限り自然に遠くまで拡散する事は無い。(花巻市日居城野、2013年8月2日)


イモムシみたいな実をたくさんつけるイタチハギ

2014-02-26 07:47:02 | 日記
    6月中旬釜石街道をドライブしていた時、道路脇の土手に黒っぽい花が咲いているのが気になった。車を止めて良く見ると丈の低い木で、葉はニセアカシアの葉に似た感じの複葉なので豆科の木だろうと思った。ただし、花は豆科特有の旗弁が目立たず、蝶形花に見えない。花穂もニセアカシアやフジのように下垂せずにルピナスのように立ち上がる。あまりきれいとは言えず、たくさん咲いている割には華やかな感じがない。なんだか動物のシッポのようにも見える。気をつけてみると道路脇の土手にかなりの頻度で見つける事が出来た。家に帰って調べてみたら、やはり豆科の植物でイタチハギと分かった。「北アメリカ、メキシコ原産で日本には韓国から1912年に初めて導入され、1940年代以降、緑化や観賞用として本格的に輸入された。日本各地に野生化している」(注1)という。また、「日本生態学会では、これらの侵略性を考慮してイタチハギを日本の侵略的外来種ワースト100に選定しているというが、緑化植物としての有用性も考慮して、導入や栽培規制は行われていない」(注1)とのことだ。
 なるほど、そう思って注意してみるとこの木はあちこちに生えているのが分かる。秋になり花も終わったのでこの木の事はすっかり忘れていたが、盛岡の太田の森の中を散歩していたら、緑色のイモムシのような実をたくさん着けている木を見つけた。気味が悪いほどたくさん着けていて、その重さで枝もしなっているほどだ。このときは全く何の木かも想像も出来なかったが、後でイタチハギの実である事が分かった。花穂の大きさは10~20cmほどなのに、この実を着ける穂はかなり長く30~50cm程にも見える。受粉した後で成長するのだろうか。


釜石街道沿い鱒沢付近で見つけたイタチハギ。(遠野市宮守町鱒沢駅付近、2013年6月12日)



花穂をズームアップ。動物のしっぽのようだ。(同上)



盛岡市太田の森で見つけたイタチハギ。イモムシのような気持ち悪いような実がたくさん成り、枝も重みで垂れ下がっている。(盛岡市太田、2013年9月18日)



高級な麻(ラミー)の原料となるカラムシ

2014-02-25 07:12:46 | 日記
麻とは長くて強い繊維が取れる植物の総称であり、世界には、20種類以上の特徴の異なる麻があるという。代表的なものは大麻、苧麻(チョマ)、亜麻等があげられるが、衣料用繊維として「麻」と品質表示できるものは、苧麻・ラミー(Ramie)と亜麻・リネン(Linen)の2種類。さて、この苧麻・ラミーがカラムシ(苧・茎蒸)なのである。カラムシはイラクサ科カラムシ属に分類され、古代から麻糸の原料として栽培されてきた植物だという。綿花の導入によりその糸の原料としての地位は奪われてしまったが、現在でも麻の原料として利用されている。日本ではカラムシ(の仲間)の繊維で織った布が上布(じょうふ)で、現在でも越後(越後上布・小千谷縮布)、宮古(宮古上布)や石垣(八重山上布)が知られている。カラムシとはこんなにもありがたい植物だったのだ。織物としてのラミーとリネンは異なる風合いを持ち高級な衣料用素材となっている。
 カラムシの葉は互生し、長さ10~15cmの広卵形で先が尾状にとがり、大きさのそろった鋸歯がある。表面はざらつき、裏面には白っぽい綿毛が密生して白っぽいのが特徴。


田んぼ脇の土手に群生しているのを見つけた。(花巻市笹間、2013年6月11日)



少し拡大。葉が互生しているのが特徴。葉の裏も白っぽいのが分かる。(同上)



古代人はアカソをどうやって利用したのだろうか?

2014-02-24 09:19:43 | 日記

森の中や草の生い茂った土手等に普通に見られる植物だ。名前のとおり茎が赤い。葉は対生で荒い鋸歯があり、先端が大きく3裂し、中央の裂片が長く伸びるのが特徴。たぶん誰でもどこかで見かけているはずだ。イラクサ科カラムシ属に分類されるが、カラムシ属の植物は古代から衣類の材料にされてきたという。漢字では赤麻と書くように、アカソもまた麻糸の原料となった植物の1つである。残念な事にアカソが古代からどのように用いられてきたのかについて詳しく記述した情報には行き着かなかった。カラムシは栽培されて利用されてきたようだが、アカソはどうだったんだろう。カラムシと同様に栽培もされて利用されてきたのだろうか。そして原料によって取れた糸の性質に違いがあったんだろうか。



河原で見つけたアカソ。葉が卵円形で先端が3つに割れ、中央の裂片が長く伸びている。(釜石市甲子川の河原、2013年5月24日)


田んぼの土手でも見つけた。(花巻市笹間、2013年6月11日)


8月中旬花が咲き始めた。(花巻市桜台、2013年8月12日)


上の方に雌花下の方に雄花が咲く。(宮城県岩沼市、2013年9月1日)


雌花をクローズアップ。(同上)


雄花をクローズアップ。雄花はまだ開いていない。(同上)