イーハトーブ国王の巡回

国王自ら王国内の野草や動物などの健全性を調べた記録である。度々記録に出てくるテニスは王国の国技であることを申し添える。

薄暗い森の中でヒョロヒョロ伸びる ナガミノツルケマン

2014-12-29 16:33:59 | 趣味・特技
ケマンソウ科 Fumariaceaeキケマン属 Corydalisナガミノツルケマン C. raddeana
学名Corydalis raddeana
和名ナガミノツルケマン(長実の蔓華鬘)

 
 森の中の薄暗い道端でムラサキケマンに似た花を見つけた。しかし、ムラサキケマンは紫色なのに黄色い花をつけている。また、ヒョロヒョロ伸びて頼りない感じだ。
 調べてみて最初はツルケマンだと思っていた。ツルケマンは環境省のレッドリストの絶滅危惧IB類(EN)に指定されている。しかし、よく調べてみたらナガミノツルケマンという植物があり、こちらの方が良く見かけられるとのことだ。
 ツルケマンは花がクリーム色でまばらにつき、苞が広卵形。果実は扁平な果で、長さ12-15mm、幅3.5-4.5mmになる長倒卵形で、種子が数個入り、2列に並ぶ。これに対してナガミノツルケマンの花は濃黄色で密につき、苞の幅が細い。果実は細い果で、長さ約1.5cm、幅2-2.5mmになる線状倒披針形で、種子が数個入り、1列に並ぶという。これらの特徴により判定した結果、今まで撮影した写真は全てナガミノツルケマンだと分かった。
 ケマンの仲間が4月~5月に咲くのに対して、8~10月と全く花期が異なる。


薄暗い太田の森の道端でナガミノツルケマンを見つけた。(盛岡市太田、2013年9月18日)



釜石鳥が沢の森の中でも藪の中を這うようにして生えているナガミノツルケマンを見つけた(釜石市鳥が沢、2013年10月1日)



花をアップ。ナガミノツルケマンは黄色だが、ツルケマンはクリーム色だという。(盛岡市太田、2013年9月18日)



果実をアップ。果実は細長く、種子は1列に並んでいるように見える。ツルケマンはもう少しズングリした果実で、種子が2列になっているという。(同上)


青や赤紫の毒々しい色の果実をつける ノブドウ

2014-12-28 21:59:31 | 趣味・特技
ブドウ科(Vitaceae); 亜科(Vitoideae); ノブドウ属(Ampelopsis); 種(A. glandulosa); 変種ノブドウ(A. g. var. heterophylla)
学名: Ampelopsis glandulosa var. heterophylla
和名: ノブドウ(野葡萄)

 道端でどこでも良く見られる。ブドウに似た果実を付けるが青や赤紫色の毒々しい色でとても食べる気にはならない。大きさもかなりまちまちなのはブドウタマバエやブドウトガリバチの幼虫が寄生して、虫えいを作ることが多いせいだという。まともな果実は少ないのだそうだ。しかし、まずくて食べられないと記載されている記事が多いので、少なくとも毒ではないようだ。
 ヤマブドウは森の中に生えて木に絡みついて成長してかなり太くなるが、ノブドウはそんなに大きくなることは無いようだ。
 葉は互生し、葉身は長さ8~11cm、幅5~9cmのほぼ円形で、3~5裂するが、同じノブドウでもかなり形に変異があるようだ。花は薄緑色で小さくてとても地味だ。葉と対生して集散花序をつける。直径3~5mm。花弁と雄しべは5個、雌しべは1個。
 刻んで乾燥させた茎葉を蛇葡萄(じゃほとう)、同様に処理した根を蛇葡萄根(じゃほとうこん)といい、関節痛などに有効であるという(イー薬草ドットコム参照)。


我が宮殿脇の土手に生えているノブドウ。比較的葉の切れ込みが浅い。(花巻市桜台、2014年8月13日)



釜石で見つけたノブドウ。こちらは葉の切れ込みが深い。(釜石市中妻、2014年8月15日)



釜石の甲子川の河原で見つけたノブドウ。更に葉の切れ込みが深く、複雑に切れ込んでいる。(釜石市千鳥町甲子河原、2014年8月31日)



同上。堤防の石垣を覆うようにして生えていた。(釜石市中妻、2014年8月15日)



野ブドウの花。薄緑色で小さくて地味。(釜石市中妻、2014年8月15日)



10月末の果実。赤紫の斑で、大きさもまちまちでまずそう。(花巻市桜台、2014年10月29日)


大きな花穂をつけるが薄緑色で地味 ノギラン

2014-12-27 15:34:00 | 趣味・特技
キンコウカ科(Nartheciaceae); ソクシンラン属(Aletris); ノギラン(A. luteoviridis)
学名: Aletris luteoviridis
和名: ノギラン(芒蘭)

 いつもテニスに行く広域公園で遊歩道に入ってみたら、道端にノギランがたくさん咲いていた。10枚ほどのロゼット状の葉を広げ、そこから長い花茎が立ち上がる。花茎には葉が無く、多数の薄緑色の花をつける。花被片は6枚、雄しべも6本だが、見つけた時には開花後時間が経っていたせいか葯は見あたらなかった。
 花茎は30~50cmほど立ち上がり大きな花穂をつけるが全体に緑色がかっているので地味な印象だ。どういう訳か広域公園の道端にはたくさん生えているが、他の地域ではまだお目にかかっていない。見落としているのかなあ。


広域公園の遊歩道脇で見つけたノギラン。(花巻市金矢、2013年8月25日)



同上。(同上、2014年7月20日)



花穂をアップ。(同上)



同上



同上

どう見ても衣に見えない ノミノツヅリ

2014-12-26 20:49:27 | 趣味・特技
ナデシコ科(Caryophyllaceae); ノミノツヅリ属(Arenaria); ノミノツヅリ(Arenaria serpyllifolia)
和名: ノミノツヅリ(蚤の綴り)
英名: Thyme-leaved Sandwort

 ノミノツヅリも注意してみないと、ハコベやミミナグサなどと間違って見逃してしまう。ハコベの近縁で圧倒的に多いのはコハコベやオランダミミナグサだ。これらと比較すると先に紹介したノミノフスマやウシハコベ、ミヤマハコベなどはかなり生育場所が限定されている印象を受ける。ノミノツヅリは更に少ないような印象だ。やっと見つけても群落を作らず、他の草の中に埋もれるような形で生えている場合が多かった。
 葉は広卵形で葉柄はない。茎や葉には短毛がある。花は5弁花だが萼の方が花弁より長い。他のハコベと近縁な植物と異なり花弁が2裂しないのも特徴である。花柱は3本。
 ツヅリとは綴りと書き継ぎ合わせの衣と解説されていることが多い。しかし全く衣には見えない。この説明は納得できないよな。
 

小学校の裏の道端で見つけたノミノヅツリ。(花巻市桜台、2013年5月19日)



同上。(同上、2013年7月2日)



田んぼ脇の土手で見付けたノミノツヅリ。(盛岡市太田、2014年5月24日)



同上。(花巻市笹間、2014年5月5日)



同上



花をアップ。(盛岡市太田、2014年5月24日)



同上


どこが蒲団に似ているのか ノミノフスマ

2014-12-25 18:48:33 | 趣味・特技
ナデシコ科(Caryophyllaceae); ハコベ属(Stellaria); ノミノコブスマ(Stellaria uliginosa); ノミノフスマ(var. undulata)
学名: Stellaria uliginosa Murray var. undulata
和名: ノミノフスマ(蚤の衾)

 ハコベの仲間だが、全体に細くヒョロヒョロと伸びて枝分かれもまばらな感じである。全体に毛が無い。葉は葉柄が無く長楕円形で、先端が尖る。花は5弁花だがハコベ類の特徴でそれぞれが2つに裂け目が入っていて、10弁花のように見える。
 畦道や水路脇など湿気の多いところで良く見かける。
 フスマとは建具の襖ではなく蒲団のことのようだ。しかし、蒲団と言われても小さいことは分かるが、どこが蒲団と似ているのか理解に苦しむ。
 それにしてもハコベ類は皆良く似ていて注意してみないと区別が難しい。

水路脇に生えていたノミノフスマ。(花巻市笹間、2014年5月19日)



同上



畦道にも生えていた。(同上)



同上



ノミノフスマの花。5枚の萼に5枚の花弁、雄しべは3本見える。(同上、2014年5月5日)



同上。この花には雄しべが5本。(花巻市笹間、2014年5月19日)



同上