イーハトーブ国王の巡回

国王自ら王国内の野草や動物などの健全性を調べた記録である。度々記録に出てくるテニスは王国の国技であることを申し添える。

火縄銃に用いられた イチビ

2014-04-17 07:21:58 | 日記
アオイ科(Malvaceae)、イチビ属(Abutilon)、イチビ(A. avicennae)
学名: Abutilon avicennae Gaertn.
和名: イチビ
英名: Velvetleaf

  8月に休耕地で見つけた。一見してアオイに雰囲気が似ている。葉っぱが大きいのと、花の感じも何となくアオイ科を連想させる。調べてみて、イチビだと分かった。葉はハート型で表面に毛が密生する。これが英名のVelvetleafの由来だろうか。
 インド原産の植物で、日本には平安時代には既に栽培され江戸時代まで利用されていたという。用途は皮が繊維を摂るために利用され、900年代前半に書かれた「本草和名」に記述があり、江戸時代の貝原益軒の書「大和本草」には「皮をとり、麻として布を織り、縄を編み、茎に硫黄を付けてつけ木として用いる」と記載されている。別名、ボウマ(ぼう麻)、キリアサ(桐麻)とも呼ばれ、いわゆる麻の一種として用いられた。また、火縄銃の火口(ひぐち)の芯としても利用され、「打ち火」がなまってイチビになったという。(「野の花散歩」参照(注1))
 また、茎を焼いた炭は火打ち石で発火させた火を移し取る火口(ほくち)としても利用された。
 繊維としては当然現在では利用されないが、近年、西回りのアメリカ経由でトウモロコシ畑の雑草として繁茂したものが、穀物に混じって日本に入ってきているという。こちらの方は東回りのものよりも性質が異なり、非常にしぶとく近年増加の傾向にあるという。そのこともあってか、日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト100に選定され、外来生物法により要注意外来生物に指定されているという。しかし、昨年から現在までこの植物には一回しか出会わなかった。岩手ではまだあまり増加していないのだろうか。
 


8月の休耕地で見つけた。雰囲気がアオイと似ている。また、桐の葉っぱにも似ているのでキリアサという別名も頷ける。(花巻市湯口、2013年8月
19日)



花と実をズームアップ。(同上)