黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

【特集】台湾 #04

2006-01-30 09:53:17 | 臺灣旅行記


仕事でちょっと行った台湾の話です。
最初の記事から登場する日月潭(にちげつたん・sun moon lake)について少し。
台湾で最大の淡水湖の日月潭は名勝でもあり、
複雑に入り組んだ湖岸や岸からの眺望は、
神奈川県にある芦ノ湖に近い雰囲気があります。
実際湖のデータを調べてみると、
日月潭:
海抜748m、水深27m、周囲37km、面積5.4平方キロ
芦ノ湖:
海抜725m、水深44m、周囲21km、面積7平方キロ
なので、海抜の高さが同じくらいなのが、
似た空気感をだしているのかと思います。
面積に比べて周囲が長い日月潭は、
芦ノ湖より入り組んでいることになります。

湖の周囲には観光街が点在しますが、
日本で言ったら、箱根と熱海を足して2で割ったような雰囲気です。
安宿系はケバい観光街の中に林立し、
高級系の宿泊所は景色のいいロケーションに単体で建っているあたりは、
湖観光地の基本的な造りと同じです。

芦ノ湖との最大の違いは湖の水の色で、
かなり緑がかっていますが、
その緑が「緑」というより「翠」の印象を受けます。
湖水に繁殖する大量の微生物が作り出す色だそうです。



この季節台湾では滅多に晴れないので条件は悪かったですが、
画像の湖面が翠がかっているのがわかると思います。
湖面一杯に霧が立ちこめる枯淡の風景は、
幻想的な雰囲気を醸し出します。

湖には見慣れない舟が何艘か浮かんでいました。
長方形の板状の甲板の端に、
いい感じに錆び付いた鉄製の小屋が乗っかり、
前方に巨大な四手網を装備した漁船です。



船の左や右奥に草の生えた小さな島が見えますが、
これは昨日までの記事で触れた原住民、邵(サオ)族に伝わる、
漁のための人工魚礁です。
竹を編んだものに泥を敷き、野花や雑草を植え、
下へ伸びた根が食べ物を探して集まる魚を誘き寄せる構造で、
日月潭の湖畔にはこの魚礁が沢山浮かんでいます。

夜になると、湖畔の観光地の明かりが、
霧の立ちこめる上空に反射して、
昼とはまた違った風景を作り出します。



中央に島のように見えるのは島ではなく半島で、
日月潭の複雑な入り組み方がわかります。
半島の左側が日潭、右側が月潭と呼ばれています。
半島の右3分の1位の位置の手前に、
ほんの少し黒が濃い部分がありますが、
そこがかつて邵族が住んでいた、
そして台湾921大震災で崩壊してしまった、
拉魯(ラルー・lalu)島の痕跡です。

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【特集】台湾
・#01 高速からの光景
・#02 原住民・邵族の村
・#03 原住民・邵族と拉魯島
・#05 涵碧樓大飯店 The Lalu
・#06 台北の廃墟
・#07 『アキラ』の世界
・#08 ボーダーレスな台北の廃墟
・#09 大繁華街の完全廃墟
・#10 台湾の廃墟感覚
・#11 活気ある廃墟的光景
・#12 檳榔売り
・#13 最終回
 


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2 Comments

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おお~ (GG-1)
2006-01-31 03:53:13
霧に浮かぶ半島のなんて幻想的な光景でしょう

芦ノ湖には度々行っておりますが、霧が掛かったら掛かったで殆んど前が見えなくなるか、ピーカンの星空で、こんな良い具合の光景は見たことが有りません

網を広げた船も、見慣れないので最初帆船の帆かとも思いました

月潭なんて字を見ると月餅を連想してしまいます~

格調を壊し、すみません。食いしんぼなもので・・・
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芦ノ湖と日月潭 (廃墟徒然草)
2006-01-31 05:21:54
▼GG-1さんへ



肉眼では、ここまで明るくは見えません(汗

少し長時間なので・・・



私も芦ノ湖、箱根へは何度も行っていて、

特に記憶にあるのは小田急山のホテルに泊まった時のことです。

夜、一面霧がたちこめ、

おっしゃるように前が全く見えませんでしたが、

これは芦ノ湖の西側に施設らしい施設がないからでしょうか。

でも逆に前方がみえないおかげで、

湖面と霧と空の境界線がまったくなくなり、

霧の中から満天の星がグラデーションで立ち上がっていたのは、

日月潭とは違ってとてもよかったです。



月餅で思い出しましたが、月餅を食べませんでした。

お菓子らしいお菓子を殆ど食べませんでした。

食事に興味があおりなら、台湾はいいんではないかと思います。

スタッフは皆、おいしいおいしいを連発していましたから。

私には全体的に寝むたい味に感じられて、

日本に帰って食べたソース焼きそばが浸みましたが(悲

 

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