仕事でちょっと行った台湾の話です。
昨日に引き続き台北の廃墟事情に関して。
右も左も廃墟感溢れる建物が並ぶ町並みに誘われて、
しばらく歩いていると、
画像のような解体現場にでくわしました。
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正面のアパートは現役ですが、
下に写る塀にはかつて何らかの構造物がくっついていたのでしょう。
手前を解体した時に無造作に塞いだままになっています。
正面の建物の右側の壁面の中腹あたりに、
すこし赤く見えるところがありますが、
これが昨日の記事にアップした、
セメントの外壁から露出する煉瓦部分です。
手前の解体現場に散乱する破片に赤く見えるのも、
全て煉瓦片です。
ちょっと歩くと、また似たような解体現場があります。
こちらには立入禁止のロープが張ってありましたが、
相当年期が入っていたので、
だいぶ長い間この状態なのではないかと思います。
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ここで気になるのは、
画像左寄りに写る2カ所の白い壁です。
なぜこれだけ残しているんでしょうか?
ちなみに左奥に写る煉瓦造りの小さな建物は、これまた現役の民家で、
撮影中に郵便配達の人が手紙を届けていました。
近づいて見るとこの2つの白壁は、
民家の壁も兼ねているので壊せないようですが、
しかし、この壁の残し方に、
日本の街の感覚から言ったらありえなさを感じます。
街中には解体現場や解体途中の建物も沢山ありますが、
中には半分解体された建物の壁面の、
各階にぽっかりと口を開ける寸断された廊下の先に
洗濯物を干している光景も見ました。
確かに、風通しが良いとは思いますが・・・
そしてこれら瓦礫の中に建つ
廃墟よりも廃墟然とした人が棲む建物をみているうちに、
大友克洋の『アキラ』や『童夢』の光景を思い出します。
大友克洋のコミックに登場する廃墟は、
限りなく細かく壊れていますが、
同時にその中で人が生きている廃墟です。
日本ではこのような状態になる遙か前に人の手を放れるので、
こういった光景は滅多に生まれませんが、
台湾では日常の一風景になっています。
台湾の初日、高速道路から見た廃墟は、
実はその多くが廃墟ではなかったのかもしれないと思えてきました。
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【特集】台湾
・#01 高速からの光景
・#02 原住民・邵族の村
・#03 原住民・邵族と拉魯島
・#04 日月潭
・#05 涵碧樓大飯店 The Lalu
・#06 台北の廃墟
・#08 ボーダーレスな台北の廃墟
・#09 大繁華街の完全廃墟
・#10 台湾の廃墟感覚
・#11 活気ある廃墟的光景
・#12 檳榔売り
・#13 最終回
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