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黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

池島炭鉱 #09 郷地区

2010-01-21 05:17:47 | 池島炭鉱
長崎県にある21世紀まで操業していた、
九州最後の炭鉱、池島炭鉱をお送りしています。
池島には、これまでアップして来た炭鉱施設と、
それに付随する住宅棟エリア以外に、
炭鉱進出前からあった郷地区とよばれる村落がありますが、
これがとても風情がある村落で、
南海の孤島に残る時間の蓄積を感じさせてくれます。



郷地区は島の北側の斜面の、
窪んだところに通る一本道の両側に広がっています。
勿論いまでも多くの人が住んでいるので、
現代的な民家もありますが、
同時に木造の古い家屋も混在し、
村独特の雰囲気を作り出しています。



メインストリートの坂を、
ほぼ上から下へ見てみようと思います。
上の方は炭鉱に近い事もあってか、
かつてスナックなどの店舗だった店が軒を連ねます。
以前はパチンコ屋もあったようですが、
閉山の頃の火事で焼失してしまったそうです。



ところどころに空き地があるものの、
現在でも、操業時にあったと思われる建物が、
ほぼそのままの形で残っています。





上画像の右側に写る「旅館 美松」
すでに営業は終わっているようですが、
現在宿泊できる中央会館ではなく、
こういった旅館にも泊まってみたかったものです。





スナックの看板をだす店はまだ幾つも残っていますが、
現在ではこの千代ともう一軒だけが、
不定期で営業をしているようです。
疲れを癒す炭鉱マンで、
どれだけ賑わったんでしょう。



斜面を降りきった平坦地にも、
同様に小規模な飲屋街があったようですが、
こちらの商店街はどこも営業は終わっているようです。
「千羽鶴」といった店名が、
時代を感じさせてくれます。



斜面の下半分は、
店舗ではなく、主に住宅が建ち並んでいますが、
石積みの階段の上に立つ木造家屋は、
年期の入ったものが多く、
背景に竪坑櫓が立つ光景を見ると、
炭鉱街だったんだと実感します。



南方の離島ではよく見かける、
石積みの擁壁は、おそらく接合剤を使わず、
組み上げだけで作られたものじゃないでしょうか。

郷地区の外れは、
かつて江戸時代に小番所と呼ばれる、
オランダ船の見張りおよび中国からの抜け荷などを監視する、
小屋があったそうです。

画像はその小屋ではありませんが、
極めて低い2階、土壁から露出する木舞など、
かなり古い建物のようにみえます。

炭鉱進出も前からあり、
炭鉱とともに変化しながらも、
また別の時間を歩みだす村落、
郷地区はとても興味深い村だと思います。

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12月17日発売のvol.14号に、
池島炭鉱が特集されています。



blogにアップしていない、
選炭工場の詳細や住宅街の様子が掲載されています。
特に選炭工場は、一般では入る事の出来ない場所で、
採掘された石炭が製品になるまでの行程を伝える、
貴重な遺産だと思うので、
興味のある方は是非ご覧ください。


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