Chiro's Memo

My Sweet RoseとRosariumの更新記録です。

世紀末の画家と人間像

2005-09-09 21:03:35 | 美術
私は世紀末象徴主義者の描く美しい人物画が好きなのですが、
画家によって表現されるイメージは様々です。

私の最も好きなモロー作品の一つ「夕べ」に描かれている人物は、
中性的あるいは両性具有的な姿で描かれています。
初めて見たモロー作品「雅歌」はソロモンの雅歌に謳われた花嫁のイメージを描いたものですが、
現実の人間というよりも、女神か妖精のようです。
モローの描く人物はまさに夢の中の人物といった感じです。
これらの人物の住まう夢幻的な世界に、私はとても魅かれています。

ウォーターハウスの描く女性たちは、
たとえ女神や妖精であっても生身の肉体を持った女性のような感じがします。
「ヒュラスとニンフたち」の水の精(ニンフ)たちは、空気のように希薄な存在ではなく、
触れることのできる身体と意思を感じさせる瞳を持つ娘たちです。
人物の存在感をとても感じるのですが、モデルの個性が強烈ではないので、
同じモデルを使った別の作品を見ても、それぞれの作品世界の主人公として見ることができます。

ロセッティの場合、「ベアタ・ベアトリクス」では、ダンテの「新生」に登場するベアトリーチェを、
「プロセルピナ」ではギリシア神話に登場する黄泉の女神プロセルピナ(ペルセフォネ)を描いているのですが、
モデルの個性が強すぎるせいか、物語の登場人物ではなく、モデル自身の姿のように感じます。
他の作品で違う人物として登場していても、
あくまでエリザベス・シダルやジェイン・モリスという人物として描かれているように思えます。
ロセッティは物語のヒロインの姿を借りて、愛する女性の姿を描いたのだと思います。

そして今回タイトル画像とした「生命の天使」を描いたセガンティーニに見られる
ほかの画家たちと異なる特色は「母性」を感じさせる人物を描いていることです。
「生命の天使」とセガンティーニの描く「母」なるものについては、今後詳しく取り上げたいと思いますが、
この「母」としての天使の姿には惹きつけられてやみません。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ドイケン)
2005-09-10 14:35:28
mixiって、ご存知ですか?

コミュニティなのですが、招待がないと参加できないらしくて、僕も今日招待されたんですけど、イマイチよく分からないので、変な理由ですが、ご興味があれば招待します!モリゾと印象派にとりあえず僕は登録してみました。
Unknown (千露)
2005-09-11 00:01:42
>ドイケン様

mixiについては聞いたことがあります。

今のところHPとブログで交流するのだけで手一杯なので、

興味はあるのですが、参加するのはやめておきたいと思います。

せっかく声をかけてくださったのに申し訳ありません。
Unknown (てんこ)
2005-09-11 19:41:49
セガンティーニって、分割派のセガンティーニでしょうか。記憶の中の絵とは、ずいぶん雰囲気が違うので、同名異人かなあと。

ロセッティは、女性を愛しすぎる人なんでしょうね。

後に彼は、亡き妻に捧げた詩稿を取り戻すために、人に命じて妻の墓を暴かせたりしてますけれど、それがいっそう彼の心を痛めたようですね。

彼が求める芸術の美と、自分の人生との間にある奈落のような谷間。ボッティチェリがサヴォナローラに入れあげて芸術家としては自滅の道をたどったのと、何となく似てるような気がします。

彼はミレイほど、社会人として器用でなかったから。



Unknown (千露)
2005-09-11 21:02:23
>てんこ様

セガンティーニは分割派のジョヴァンニ・セガンティーニで間違いありません。

一般には牧歌的なアルプスの風景画で知られていますが、

今回示した「生命の天使」や「逸楽の懲罰」といった象徴主義的な作品も多く描いています。



ロセッティの生涯を見ていると、いかにも芸術家といった雰囲気の破滅型の人生ですね。

しかし彼は終始芸術家として自分の美学を追求し続けることができたのではないかと思います。

ミレーは結婚後は生活のために手間のかかるラファエル前派の手法を捨てて、

お金になりやすい作品を制作するようになっています。

そこが二人の一番の違いなのでしょうね。
Unknown (桂田)
2005-09-14 01:31:40
ここに千露さんが挙げられた作品のなかではベアタ・ベアトリクスが一番好きだったりします。実物は観たことないんですが、あの恍惚の表情はスゴいと思います。おっしゃるように、少なからずモデルに対するロセッティの感情移入が見て取れますが、こういう熱意から出る人物画の迫力って描き手の心のうちが想像できるぶん、心の琴線が刺激されます。
ベアタ・ベアトリクス (千露)
2005-09-14 22:16:48
>桂田様

これまでに何度も述べていますが、「ベアタ・ベアトリクス」は私がラファエル前派に興味を持つきっかけとなった作品です。

美術史の本に載っていた小さな図版でしたが、

ベアトリーチェ=エリザベス・シダルの浮かべる表情に魅了されてしまいました。

神戸で開催されたテイト・ギャラリー展には「プロセルピナ」やミレーの「オフィーリア」は来ていたのですが、この作品は来ていなかったので残念でした。

いつか実際の作品を見てみたいです。
Unknown (てんこ)
2005-09-15 07:03:07
こんにちは。またTBしちゃいました。

美術のこととか論語のこととか考え出すと止まらなくて。

バーン・ジョーンズは、ウォーターハウスとはまた違って、すてきですね。メルヘンぽいとこが好きです。
Unknown (千露)
2005-09-15 19:27:34
>てんこ様

こんばんは。TBとコメントありがとうございます。



バーン・ジョーンズの女性像はあまり生身の女性という感じがしませんね。

まさに御伽噺のヒロインといった雰囲気です。