Chiro's Memo

My Sweet RoseとRosariumの更新記録です。

今までに買った高かった本

2006-12-25 22:21:00 | 
昨日ウォーターハウス画集(6800円)を買って、
これまでに買った高い本は何だろうと振り返ってみました。
今持っている一番高い本は「図詳ガッケンエリア教科事典」(全18巻)なのですが、
これは自分でお金を払って買ったものではないので除くと

Best3は
 象徴派世代1870-1910 ピエール・ルイ・マチユ 訳:窪田般彌 18540円
 ラファエル前派画集「女」ジャン・マーシュ 訳:河村錠一郎 12360円
 失われた時を求めて(全10巻) プルースト 訳:井上究一郎 12300円
となりました。
ちなみに4番目がウォーターハウス画集、5番目がバーン=ジョーンズ画集(5150円)となります。

「象徴派世代」は10年ほど前高知へ展覧会を見に行った帰り、
高知市内の書店で偶然発見し、18540円という値段と本の大きさにもひるむことなく
即決で購入した本です。
ボール箱に入った本で、箱の絵はトーロップ、表紙カバーはオスベールです。
箱書きに「主な画家103人とカラー図版149点から 克明に浮かび上がる象徴主義と世紀末の全貌。」とあるように
世紀末象徴主義美術を網羅した本となっています。

「ラファエル前派画集」はいずれ詳しく取り上げたいと思っております。
これは学生時代にバイト代をはたいて買った本です。

「失われた時を求めて」は一度読んでみたいと思い、文庫本全10巻セットを購入したのですが、
途中で挫折してしまい、ほとんど手をつけていない状態です。
これも学生時代に買いました。

最近はあまりしなくなったのですが、以前は漫画本の大人買いもしていました。
とはいえ長編漫画はほとんど古書店で買ったので、そんなに高価なものはありません。

最高のクリスマスプレゼント

2006-12-24 21:31:55 | 
本日私にとって最高のクリスマスプレゼントがやってきました。

それはウォーターハウスの画集です。
最もプレゼントといっても6800円自分で払って買ったものですが…
今年中には入手できないかもしれないと思っていたので、本当にうれしいです。
本を持って帰る間笑いが止まりませんでした。
傍から見たら不気味な人物だったかもしれません。
家に帰ってから美しい作品の数々を眺めて悦に入っていました。

今年の休みは今日で最後で明日から元日まで休みなしです。
なので本の全文をゆっくりと読むのは新年以降となる予定です。

宿命の女―イギリス・ロマン派文学の底流

2006-12-13 23:47:12 | 
宿命の女―イギリス・ロマン派文学の底流

キーツ、シェリーを初めとする英国ロマン派詩人の描き出す
妖しくも魅惑的な「宿命の女」たちについて論じた本です。
ここでは各章ごとに主な「宿命の女」を画像つきでご紹介します。

第一章 愛に殉じた<宿命の女>
 キーツ「冷たい美女」

王子や騎士を誘惑し虜にしてしまう「冷たい美女(つれなき姫)」は
「宿命の女」の原型となったキャラクターです。
しかし彼女はただ冷酷なだけではなく、愛した騎士を現世に戻すという心優しい一面も持ち合わせています。

 キーツ「イザベラ―めぼうきの鉢」

フィレンツェの名家の娘イザベラと使用人ロレンゾの悲恋を題材にした詩です。


第二章 妖魔の国の女たち
 キーツ「レイミア」

蛇女レイミア(ラミア)は愛した人間を滅ぼし、かつ自らも絶命してしまいます。


 キーツ「エンディミオン」第三巻

「エンディミオン」に登場する魔女サーシー(キルケ)は
「愛らしい偶像的存在だが、邪悪な欲望を持ち、心は冷たい女」という
典型的「ファム・ファタル」として表現されています。


第三章 霊・肉のヴィーナス

 キーツ「サイキのうた」

サイキ(プシュケ)はエロス(クピド)によって神の一員となった女性です。
キーツは彼女を詩的霊感を与える女神として表現しています。


第四章 ラファエル前派の<絶世の美女>
 ロセッティ「天国の乙女」
この作品についてはこちらで取り上げております。

 ロセッティ「生命の家」

「生命の家」は官能的な美を謳いあげたソネット集です。
ロセッティのソネットに登場するリリスは
男を官能の網で捕らえ、破滅に追いやる魔性の女として表現されています。


第五章 呪縛の愛から頽廃のエロスへ
 テニスン「シャロット姫」

彼女についてはこれまで何度も語ってきましたので今回は画像の掲示のみといたします。
シャロットの女についてはこちらにまとめております。

 スウィンバーン「ヴィーナス賛歌」

退廃的なエロスの具現としてのヴィーナスを描いています。

 ワイルド「スフィンクス」

ワイルドの詩に登場するスフィンクスは1000世紀生き続けても若さと美しさを失わない、半人半猫の美女です。

こうしてみていくと「宿命の女」にも様々な姿があることがわかります。
純情可憐な「純愛の女」
残酷無比な「魔性の女」
いずれもその魅力(魔力?)にとりつかれたら、傍から離れられなくなりそうです。

黄泉の女 To the End of the World

2006-12-06 23:39:25 | 
黄泉の女 To the End of the World 解説:滝本誠 1995 トレヴィル

以前紹介した「水の女」「眠る女」と同じシリーズの画集です。

本の題名に「黄泉」とあるように「死」をテーマにした作品が多く取り上げられています。
「水の女」「眠る女」と比べるとテーマが抽象的な気もしますが、
美しい作品の数々は見ていて楽しめます。

Love and Life
ウォッツ『愛と生』『ディアナとエンディミオン』
レイトン『オルフェウスとエウリュディケ』
モロー『スフィンクス』『オイディプスとスフィンクス』
クノップフ『愛撫』など
様々な「愛」と「生」の対比を描いた作品が紹介されています。
『クピドとプシケー』(アニー・スウィナートン)も紹介されていますが、
クピドは「愛」をプシケーは「魂(生)」を象徴します。

Wounded Angel
バーン=ジョーンズ、ウォーターハウス、メルリらの描く
死の匂いを纏った精霊たちの姿を見ることができます。
この章の表題は『傷ついた天使』(ヒューゴー・シンベルグ)からとられています。
傷を負った少女の姿の天使が二人の少年によって運ばれている絵です。
天使すらも「死」の誘惑から逃れられないかのような印象を受けます。

Punishment of Lust
メデイアやモルガン・ル・フェなどの魔女をテーマにした作品や
ベックリン『死の島』 ロセッティ『プロセルピナ』など
冥界の色濃い作品が紹介されています。
表題はセガンティーニ『淫蕩の罪』に拠るもので、
『よこしまの母たち』も共に紹介されています。
この二つの作品については以前このブログでも取り上げました。
 雪と氷のニルヴァーナ

Night with her Train of Stars
レイトン『ペルセポーネの帰還』 ホードラー『選ばれし者』など
「死」からの救いをイメージさせられる作品が紹介されています。
表題作『夜と星の列車』については、
初めはなぜこの作品が「黄泉」と関わりがあるのか判りませんでした。
この作品の主題を知ってから、
人間にとって逃れ得ない運命である「死」への恐怖からの救いを
美しい母としてのの天使の姿で表しているのであろうと思うようになりました。
人は皆、時が来れば赤子となって「母なる夜」に抱かれるのでしょう。

眠る女 Sleeping Beauty

2006-11-24 20:10:25 | 
眠る女 Sleeping Beauty 解説:山田登世子 1995 トレヴィル
 美しいものはすべて眠る。
 この世を、時の歩みを忘れ果てて。
本書帯より

以前トレヴィルから出版されていた「女」シリーズ(?)の三冊目です。
最近河出書房新社より『水の女』が復刻されました。
『黄泉の女』『眠る女』の復刻もしていただけると、本当にうれしいのですが…。

世紀末象徴主義・ラファエル前派の画家たちの描くさまざまな「眠る女」たちを
4章に分けて紹介しています。

Flaming June
表題となった『燃え上がる六月』をはじめとするレイトンの作品のほか、
アルバート・ムーア、アルマ=タデマ描くまどろむ古代の女たち
ホイッスラー、ティソ描く近代(当時においては「現代」)の娘、
ミレイ描く“お寝む”になってしまった幼女など(実に愛らしいです)
多様な「眠る女」の姿を見ることができます。
中でもクリムト『少女』の多くの女たちが一体になって眠る姿には
「輪廻」というか、「生命の循環」を感じます。

Sleeping Princess
バーン=ジョーンズの『いばら姫』を初めとして、
ウォルター・クレインの『眠り姫』やウォーターハウスの『聖カエキリア』など
物語に登場する「眠る女」たちの姿が紹介されています。

The Nightmare
フュスリ『夢魔』のほかデルヴィル、ムンクなどの情念に満ちた「眠る女」が紹介されいます。
これらの作品を見ていて
眠っているときに見る夢は甘美なものだけではなく、
時として恐ろしいものであることもあると感じました。
この章の冒頭はクリムト『ダナエ』なのですが、
この後に登場する悪夢の女たちを見ていると、
あの恍惚とした表情をしたダナエの歓びも儚いもののように思えます。

Hope
ウォッツ『希望』ブレイク『あわれみ』といった
これまでに見てきた「眠る女」とは異なった系統の女の姿を見ることができます。
悪夢の女たちの後で見る『希望』は
パンドラの箱を開いてしまった人間の最後の寄る辺のように思えます。
これら「眠る女」の姿は世紀末象徴主義者たちの
20世紀という新しい時代に対する「恐れ」の表れであったように思えます。
混沌の世紀末で未来への展望が開けない中
ある者は美しい夢を追い求め、永遠に眠り続ける女を描き、
またある者は己の内面を「悪夢」の形で表したのではないでしょうか。


久々にMy Sweet Roseの更新を行いました。
美術エッセイの追加と展覧会覚書の追加です。
いずれもブログの再録です。
体力が回復すれば、他のコンテンツの追加も行いたいと思います。

全国アホ・バカ分布考

2006-11-20 10:42:33 | 
全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路 松本 修(新潮文庫)

「アホ」と「バカ」の境界線はいったいどこにあるのか…
1990年に人気深夜番組「探偵!ナイトスクープ」に寄せられた
そんな素朴な疑問から生まれたのが「全国アホ・バカ分布調査」です

初めは単純に「アホ」と「バカ」の境界線は東京と大阪の間にあると思われていましたが、
調査を経るうちに、「アホ・バカ」表現には多様性があることがわかり、
全国の「アホ・バカ」表現の分布を調べるという試みに発展しました。

「アホ」や「バカ」といった「つまらない」言葉の調査は
「アホらしく」また「バカバカしく」思われたのか、
それまで専門家によってなされたことはありませんでした。

全国各市町村へのローラー作戦や、古文献の研究など
様々な調査を経て生まれたのが「全国アホ・バカ分布図」です。
その分布図を見ると、畿内で生まれた新しい「アホ・バカ」表現が
同心円状に全国へ広まっていく様子がわかります。
すなわち「バカ」は古い時代に畿内で生まれ、関東や中四国西部・九州まで広まった言葉であり、
「アホ」は一番近年になって畿内で生まれた言葉であることが判明したのです。

分布図完成後も更に「アホ」「バカ」といった言葉の語源にまで
様々な形でアプローチしています。

「アホ」や「バカ」といった言葉は
使い方によっては人を傷つけるものとなる言葉であるにもかかわらず
決して本当に人を貶めるための言葉ではないというがわかりました。
むしろ家族や親しい人に対して愛情をこめて発する言葉が
「アホ」であり「バカ」であるように感じます。
だからこそ京で生まれた新しい「アホ・バカ表現」が
次々と全国へ広まって行ったのではないかと思います。

素朴な疑問から始まった壮大な知的探求を楽しめる一冊です。

久しぶりに図書館へ

2006-11-17 21:59:02 | 
タイトル通り久しぶりに図書館へ行きました。
市内の図書館はあまり歴史や美術関連の本は充実していないので、
今回は小説ばかり借りました。

10代~20代の頃はほとんど小説は読まなかったのですが、
一身上の都合で前の職場を退職し、
プータロー生活だったころに図書館に通い詰めて、
様々な小説を読むようになりました。

ここ最近はあまり小説を読んでいなかったのですが、
久々に図書館に行って手が伸びたのは小説ばかりでした。
特に好きな作家というのは無いので、
「ジャケ買い」ならぬ「表紙借り」もしくは「タイトル借り」をしています。


lapis様や遊行七恵様のところで漫画喫茶の2号店が開店しているのを見て
「漫画喫茶Chiro」も2号店を作ってみたいな~などと思ったのですが、
いかんせん私の読んでいる漫画のレパートリーが少ないので、
2号店開店は難しそうです。
おそらく特定の作家やジャンルにこだわった2号店になってしまいそうなので、
時間のあるときに作ってみたいと思います。

水族館の通になる

2006-11-13 10:50:59 | 
水族館の通になる―年間3千万人を魅了する楽園の謎 中村元 (祥伝社新書)

私は水族館好きで、今まであちこちの水族館に行っていますが、
実際の水族館のこととなると知らないことばかりです。
この本は以前鳥羽水族館のプロデュースを手がけ、
現在は新江ノ島水族館のアドバイザーを務めている著者が
水族館に関する素朴な疑問に答えており、
読んでいるうちに水族館の世界に引き込まれていきます。

近頃は各地に大型の水族館がオープンしていますが、
それらの水槽の大きさの表現は
必ず「世界最大級」となっており、「世界最大」とはなっていないそうです。
それは「最大」と言い切ってしまうと誇大広告となる恐れがあるからです。
先日各地の水族館の公式サイトを見てみたのですが、
どこの水族館でも「世界最大級」と「級」をつけた表現になっているのを見て、
この本に書かれているとおりだと感じました。

一方「日本最小」を自称する水族館は各地にあるそうで、
そういった水族館も紹介されています。
どれも小さくても展示に工夫を凝らしたり、
特定のジャンルにこだわったりした楽しい水族館です。

また水族館の動物で一番エンゲル係数が高いのは
体が大きく大食いなシャチでも
カニ・アワビ・ウニ・ホタテが大好物のグルメなラッコでもなく
海草を大量に食べるジュゴンだということを初めて知りました。
どうして草を食べていてエサ代がかかるのかというのは
魚介類であれば市場から仕入れることができますが、
海草はジュゴンのエサにするためだけに採取しなくてはならないからです。

現在大阪・海遊館のほか、鹿児島と沖縄の水族館でジンベイザメが飼われていますが、
ジンベイザメは日本でしか飼育されていないということも初めて知りました。

他にも
「日本人はなぜ水族館が好きなのか」
「ペンギンは日本の夏の暑さは平気なのか」
「ピラニアの水槽の掃除はどうしているのか」
「地震のとき水族館は大丈夫なのか」
など様々な疑問に答えてくれています。

この本を読み終えると水族館に行ってみたくなります。
愛媛県内にはイルカやアシカのいるような大型の水族館は無いのですが
長浜高校の自然科学部が校内で運営している長高水族館
四万十水系の淡水魚を中心とした松野町のおさかな館があります。

蔵書増殖中

2006-11-07 10:55:43 | 
私は高校卒業までは定額の小遣いをもらっていなかったこともあり、
ほとんど本を買うことはありませんでした。
本は「図書館で借りて読む」ものだったのです。

大学入学後その反動もあってか、いろいろと本を買い込むようになりました。
特に卒論を書き始めてからは、世紀末関連の本を色々と買いました。
それらの本は大学の図書館にもあったのですが、
常に手元において参照したいと思ったからです。
「世紀末芸術」「世紀末の夢 象徴派芸術」「ラファエル前派の夢」など
当時購入した本の一部です。

大学卒業時、一部の本は手放しましたが、
世紀末関連の本はほとんど持ち帰りました。
さらに展覧会めぐりで都会に出たときに書店で世紀末関連の本を発見するたびに
買っては持ち帰ったので、ますます蔵書が増えていきました。

最近はハードカバーの専門書はあまり買わないのですが、
文庫・新書・叢書は興味がある内容のものを見かけるとついつい買ってしまいます。
文庫・新書は雑学物(地理・歴史・民俗関係の雑学)をあれこれ読んでいます。
活字本だけではなく漫画も増殖しています。
数ヶ月前に雑学物の文庫・新書を中心に50冊ほど古本屋に売ったのですが、
それでもまだたくさん本が家にあります。
なのでまた蔵書の整理をしなければならないなと思っています。
でも「世紀末関連」を中心とした美術本を手放すつもりはありません。

漫画喫茶Chiro

2006-10-06 20:00:44 | 
「漫画喫茶Chiro」へようこそいらっしゃいました。
当店では「あ」から「わ」まで各一冊ずつ、
一人の作家の作品につき一点のみ置いております。
すべて店主千露が読んだことのある作品ばかりです。
店主の趣味により少女漫画が多いのですが、
よろしければ、お時間の許す限りおくつろぎくださいませ。
なお当店はお飲み物はお好きなものを持込となっております。

「あ」『■姫―あきひ―』佐伯かよの(■は火偏に華)
「あ」のつく作品は私の好きなものが多く、選ぶのに一苦労したが、
あえて歴史物以外の作品を持ってきた。
画廊を舞台に展開される人間ドラマである。
「い」『イスタンブル物語』森川久美
第一次大戦後のトルコの革命を描いた作品。
ケマル・アタチュルクの登場する作品は貴重だと思う。
「う」『海のオーロラ』里中満智子
「輪廻転生」をテーマにした歴史SFロマン。
「え」『エイリアン通り(ストリート)』成田美名子
ポップでおしゃれな雰囲気の作品であるが、友情や家族についても考えさせてくれる。
「お」『王家の紋章』細川智栄子
私が古代オリエントの歴史に興味を持つきっかけとなった作品。
いったいどんな形で完結するのか大変気になる。
「か」『花冠のマドンナ』さいとうちほ
ルネサンス時代のイタリアを舞台にした作品。
いかにも少女漫画的展開のストーリーであるが、
ヒロインの相手役の王子様よりも敵役のチェーザレ・ボルジアのほうがかっこいい。
「き」『キャンディ・キャンディ』いがらしゆみこ 原作:水木杏子
私が最初に読んだ少女漫画。
現在著作権関連のトラブルのため再販されていないのが残念。
「く」『クリスタル・ドラゴン』あしべゆうほ
私は一度しか読んだことが無いが、古代ケルト世界に興味がある人は楽しめると思う。
「け」『玄奘西域記』諏訪緑
「宗教」と「人の心」という重いテーマを扱いながらも
美しい絵柄と時おり交えられるギャグによって重苦しさは感じない。
読後感のさわやかな作品。
「こ」『煌如星シリーズ』藤田あつ子
シリーズ名なのでやや反則かもしれないが、好きな作品なのでここにあげる。
清朝中国の風俗が華麗な絵柄で描かれ、本格ミステリーとしても面白い作品。
「さ」『サザエさん』長谷川町子
戦後の復興期から高度成長期にかけての日本の姿がここにある。
アニメしか知らない人も一味違う魅力を知ることができると思う。
「し」『修道士ファルコ』青池保子
騎士出身の腕の立つ修道士が様々な事件に巻き込まれる作品。
中世ヨーロッパの修道院生活が生き生きと描かれている。
「す」『スケバン刑事』和田慎二
私は最初テレビドラマから入った世代だ。
同じくドラマではまった友人が全巻そろえて、それを借りて読んだ。
原作のほうがはるかにハードな世界である。
「せ」
「そ」『ゾッチャの日常』生藤由美
飼い猫ゾッチャと愉快な猫仲間たちの繰り広げるコメディ。
絵柄も可愛らしくて、猫好きにはお勧めの一作。
「た」
「ち」『小さなお茶会』猫十字社
詩猫(しじん)の“もっぷ”と奥さん“ぷりん”のほのぼのメルヘン。
漫画というよりも詩的な絵物語といった趣の作品。
「つ」『ツタンカーメン』山岸涼子
ハワード・カーターを主人公に描くツタンカーメン王墓発掘のドラマ。
「て」『T.E.ロレンス』神坂智子
「アラビアのロレンス」の生涯を描いた作品。
ヨーロッパとアラブ二つの世界の狭間で苦悩する彼の姿が心に残る。
「と」『動物のお医者さん』佐々木倫子
「と」も名作ぞろいだったが、
かわいいチョビとかっこいいミケお姐さんの魅力によりこの作品を入れる。
「な」『長い長いさんぽ』須藤真澄
作者の愛猫ゆずとの別れを描いた作品。
「に」『N.Y.(ニューヨーク)小町』大和和紀
明治初期の東京・北海道・ニューヨークを舞台にしたロマンチック・コメディ。
ギャグとシリアスのバランスが絶妙である。
「ぬ」『鵺』木原敏江
『夢の碑』シリーズ所収の長編で江戸時代後期を舞台とする。
『夢の碑』は「鬼」をテーマとした作品集であるが、
この作品には不思議な力を持った「鬼」は登場しない。
人の心のうちにこそ「鬼」がいるのだと感じさせられる。
「ね」『ねこめーわく』竹本泉
ごく普通の女子高生がある日突然「猫の世界」に召喚されてしまう。
かわいい猫たちとユニークな設定が楽しい作品。
「の」
「は」『パール・パーティー』名香智子
「真珠」の養殖と販売をめぐって繰り広げられるドラマ。
美しい登場人物たちによって展開される華麗なストーリーは見もの。
実は私の暮らす街が舞台として登場する作品。
「ひ」『ぴっぴら帳(ノート)』こうの史代
セキセイインコの“ぴっぴらさん”と飼い主キミちゃんによる四コマ集。
現代が舞台であるが、どこかノスタルジックな匂いのする作品。
「ふ」『ブラック・ジャック』手塚治虫
これは絶対はずせない作品。
「へ」『ベルサイユのばら』池田理代子
少女漫画で歴史物が数多く描かれるきっかけとなった作品。
私は「女性セブン」でリバイバル連載されているときに初めて通して読んだ。
「ほ」『北走新選組』菅野文
箱館戦争を扱った3編からなる短編集。
美しい絵柄の少女漫画であるが、史実に忠実な展開がなされている。
「ま」『眉月の誓』長岡良子
藤原不比等の青年~壮年期を描いた作品。
美しい絵柄、史実に基づいた上で独自の歴史解釈がなされた物語は必見。
「み」『みかん・絵日記』我孫子三和
私にとって絶対はずせない作品の一つ。
漫画を読んでいて涙が出たのはこの作品だけである。
「む」
「め」『メイプル戦記』川原泉
セ・リーグ七番目の球団「スイート・メイプルス」は女子だけのチーム。
そのメイプルスがペナントレースを戦っていく物語。
個性豊かなチームメンバーのエピソードが楽しい。
「も」
「や」『ヤヌスの鏡』宮脇明子
20年前にドラマ化されたが、原作とはやや異なるストーリー展開である。
多重人格を扱った作品の代表的なもの。
「ゆ」『夢見る惑星』佐藤史生
大陸移動説を題材にした本格的SFであるが、歴史物のファンにもお勧め。
この「惑星」がどこなのかはラストで明かされる。
「よ」『妖鬼妃伝』美内すずえ
私が最初に読んだ美内作品は『ガラスの仮面』ではなく、こちらである。
読んだ後は雛人形、地下鉄、デパートの催し物会場が怖くなることは必至だ。
「ら」『ラヴァーズ・キス』吉田秋生
最近映画化されたが(映画は未見)本当に一こま一こまが映画のワンシーンのような作品。
「り」『李朝・暗行記』皇なつき
李朝の朝鮮を舞台にした作品。
流麗なタッチで描かれた朝鮮の衣裳や風俗は必見。
「る」『ルートヴィヒⅡ世』氷栗優
19世紀のバイエルン王を主人公にした作品。
シャープな絵柄で描かれる耽美な世界。
「れ」『歴史は夜つくられる』星野之宜
『妖女伝説』所収の短編。
20世紀初頭、豪華客船の処女航海で若き考古学者は謎の美女と出会うが…
考古学者エドワードと謎の美女マドモワゼル・ツェーレは実は歴史上の有名人。
ラストでその正体が明かされる。
「ろ」『ローマへの道』萩尾望都
バレエダンサーを主人公とした作品。
彼がトラウマを克服していく中で、ダンサーとしても成長を遂げるところが見もの。
「わ」『綿の国星』大島弓子
美しい絵柄、かわいいチビ猫のキャラクター、細やかな心理描写
どれをとっても本当に良質の作品である。

「少女漫画限定」にしたわけではないのですが、
ほとんどが少女漫画になってしまいました。(それも歴史物と猫物)
これまで「絵画」「音楽」と選んでみましたが、
実を言うと一番楽しかったのがこの「漫画」です。
入れたいのに入れられなかった作品が多々あるので、
いずれそれらの作品についても記事にしたいと思います。