Chiro's Memo

My Sweet RoseとRosariumの更新記録です。

惑星vol.2―金星

2006-08-28 21:57:53 | 美術
金星は地球のすぐ内側を周っている惑星で、
地球よりもやや小さいのですが、
太陽系の惑星の中では最も地球に近い質量を持つ星です。
金星の公転周期は225日なのですが、自転周期が243日なので
日の出から日没までのほうが1年よりも長い計算になります。
しかも他の惑星とは自転の向きが逆なので、
金星の地上では太陽は西から出て東に沈むことになります。

金星は地球よりも内側を公転しているため、明け方と夕方にしか見ることが出来ません。
地球から見ると太陽、月の次に明るい天体のため
夜明けに見えるものを「明けの明星」
日没後に見えるものを「宵の明星」と呼びました。
平安時代には「夕星(ゆうづつ)」と呼ばれ、
「枕草子」にもすばるやひこぼしと並んで美しい星のひとつとしてあげられています。

金星はその美しい光から女性名を当てられることが多く、
メソポタミアで美と愛と豊饒の女神イシュタルの名をつけられて以来
ギリシアではアフロディテ、ローマではウェヌスと呼ばれました。
ウェヌスの英語読みがヴィーナスです。
ちなみに月の海や山に地名がつけられているように
金星の山や谷にも地名がつけられており、
その地名にはレダ、アルテミス、イシュタル、ラクシュミ、ギネヴィアなど
世界各地の神話や伝説に登場する女性の名前がつけられています。
惑星記号はヴィーナスの持物である手鏡を図案化したもので、♀のマークでおなじみです。

ヴィーナスは海の泡から生まれたとされていますが
彼女が最初に上陸したのは地中海のキプロス島もしくはキュテラ島とされています。
キュテラのフランス語読みがシテールで、
ヴァトー「シテール島の巡礼」は愛の女神の生誕地を訪れる恋人たちの姿を描いたものです。
ヴィーナスの持物は鏡のほかに白鳥や白い鳩、薔薇などがあります。
そして侍女の三美神や息子クピド(キューピッド:ギリシアではエロス)を伴った姿で表されることもよくあります。

ヴィーナスの姿は説話の中で表されるよりも理想の裸婦像として表現されることが多く、
「ミロのヴィーナス」を初めとする数々の女性裸体像が「ヴィーナス」と呼ばれています。
ジョルジョーネ以降「横たわるヴィーナス」の主題が生まれ
画家たちは「ヴィーナス」の名のもとに理想の女性美を追求していくこととなります。

今回の画像はボッティチェリ「ヴィーナス」です。
古代の美の復興と新たな美の創造の融合された美神の姿です。

惑星vol.1―水星

2006-08-27 20:37:45 | 美術
水星は太陽系の惑星の中では最も小さく太陽に近い場所にあり、公転周期は88日です。
つまり水星では一年は(地球の感覚で言うと)たった88日しかないのです。
しかし自転周期は59日くらいなので、日の出から次の日の出までは59日×2=118日で、
水星では一日のほうが一年よりも長いのです。
見かけの明るさは-0.4等から5.5等まで変化しますが、
太陽の近くにあるため、日の出前もしくは日没後のわずかな時間しか見ることが出来ません。

水星は太陽の近くを回っているため天球上の運行が早く、
そのため俊足の神メルクリウス(マーキュリー)の名がつけられました。
メルクリウスはギリシアではヘルメスと呼ばれます。
彼は神々の使者で、通常神々の行くことの出来ない冥界へも行くことが出来ます。
そのためペルセフォネの迎えにもヘルメスが遣わされました。
また人類最初の女性パンドラを地上へ連れて行ったり、
アフロディテ、ヘラ、アテナの中で最も美しい女性を決めさせるために
羊飼いとなっていた王子パリスのもとへ黄金の林檎を持っていったのも彼です。

今回の画像はボッティチェリ「春(ラ・プリマヴェーラ)」(部分)です。
この絵に見られるようにヘルメスは一対の翼のついた帽子(ペタソス)をかぶり
同じく翼のついたサンダルを履いています。
彼が手にしているのは蛇が巻きついた「ケリュケイオン」という魔法の杖で
ヘルメスのシンボルとされ、水星を表す惑星記号にも図案化されて使われています。
彼は詐術にも長けており、アポロンも彼にだまされたことがあります。
足の速さもあいまって泥棒や賭博の神としても知られることとなりました。
またヘルメスは商業の神でもあり、
ヘルメスの杖は商業学校の校章としても用いられます。
そして竪琴やアルファベットを発明したのもヘルメスだとされています。

惑星vol.0―冥王星

2006-08-26 23:36:34 | 美術
新シリーズは今話題の「惑星」について語ってみたいと思います。
今回はvol.1ではなくvol.0として「冥王星」をテーマにします。

長年「太陽系の惑星の数は9個」という認識があったので、
一つ惑星の数が減ってしまうというのは
たとえ冥王星が消えてなくなってしまうわけではないとしても
なんだか寂しい気がします。

国際天文学連合によって8月24日に定められた「惑星」の定義は
(1)太陽を周回する
(2)自らの重力で球状となる
(3)軌道周辺で、圧倒的に支配的な天体
とされました。
冥王星は月よりも小さな天体で、本体の54%もの大きさの衛星カロンを持っています。
このことから定義の(3)を満たさないため、「惑星」から外れることとなりました。
そして冥王星よりも大きな小惑星セレスや
2003年に発見された新天体も「惑星」とはされませんでした。

冥王星は1930年にアメリカ人トンボーによって発見されました。
海王星の軌道にずれが生じるため、9個目の惑星の存在が予想され、
膨大な天体写真を撮影したものを調査して発見されたものです。

この「第9惑星」は、太陽系最果ての惑星と考えられたため、
ギリシア・ローマ神話の冥界の王プルートにちなんで名づけられました。
日本では「冥王星」の訳語で知られることとなります。

しかしその後観測技術の進歩により新発見が相次ぎ
冥王星をそのまま「惑星」と定義づけられるのかどうか議論が起こります。
そしてようやく先日「惑星」の定義が定められたのです。

「惑星」といえば英国の作曲家ホルストによる管弦組曲が有名ですが、
この組曲には「冥王星」はありません。
「惑星」が作曲されたのは1914~16年にかけてで、
冥王星が発見される15年前なのです。
しかし2000年に英国でホルストの専門家により「冥王星」が作曲され、
最近日本でも「冥王星」の収録されたCDが発売されたそうです。
しかし今後「冥王星」は「惑星」ではないというのが定着すれば
「冥王星」の含まれた組曲「惑星」は浸透しないように思えます。

ギリシアの黄泉の神ハデス(プルート)は大神ゼウス、海神ポセイドンの兄弟です。
冥界の王ということであまり神話にも顔を出しませんが、
有名なのがペルセフォネ(プロセルピナ)を攫った話です。
なぜハデスがペルセフォネに恋をしたのかといえば
アフロディテが愛の力を誇示しようと
エロスに恋心を起こさせる黄金の矢をハデスに向けて射させたためです。
この物語についてはこちらで述べています。

冥界へ行くためにはスティクス川という川(いわば三途の川)を渡らなくてはなりません。
この川の渡し守がカロンです。
カロンはエレボス(暗黒)とニュクス(夜)の息子です。
スティクス川を渡るための船賃も決まっていて
ギリシアでは死者の口に銅貨を一枚入れる習慣があったそうです。

今回の画像はロセッティ「プロセルピナ」です。
ハデス(プルート)を題材にした作品でいいものが無かったので
黄泉の女王プロセルピナを描いた作品を選びました。

プラド美術館展

2006-08-25 14:57:19 | 美術
昨日(8月24日)大阪市立美術館で開催されているプラド美術館展を見に行きました。

朝5時半に地元を出発し特急、新幹線を乗り継ぎ5時間かけて大阪へ到着しました。
早速天王寺の大阪市立美術館へ向かいます。
私が行ったときには美術館の外にまで行列が出来ているということは無く
すぐに中に入って見ることが出来たのでよかったです。

今回の展覧会は大阪市立美術館開館70周年記念に開催されたもので、
西日本初のプラド美術館展とのことです。
展示作品の多くが日本初公開の作品で構成されています。

1.スペイン絵画の黄金時代―宮廷と教会、静物―
16世紀~17世紀のスペイン絵画で構成されています。
エル・グレコ、リベーラ、スルバラン、ベラスケス、ムリーリョといった
スペイン・バロックを代表する画家たちの作品が一同に会していました。

エル・グレコ 十字架を抱くキリスト
十字架を荷いゴルゴタの丘へ向かうキリストの姿を描いた作品です。
寒色を中心とした色調とキリストの姿だけを浮かび上がらせる構成に
グレコの描き出そうとした神秘性を感じ取ることが出来ます。
キリストの光輪が四角に描かれているのは、
ギリシア・イコンの伝統によるものです。

ベラスケス ヴィラ・メディチの庭園、ローマ
ベラスケスがイタリアに滞在していたときに描かれた風景画です。
当時スペインでは風景画というジャンルは確立していませんでしたので
小品ですがこの作品は画期的なものといえます。

マルティネス・デル・マーソ 皇妃マルガリータ・デ・アウストリア
今回のタイトル画像とした作品です。
ベラスケスの肖像画で名高いマルガリータ王女の15歳の姿です。
この作品は父フェリペ4世の死によってスペインに里帰りしたときに描かれ
喪服を身に着けています。
以前図版でこの作品を見たときにはあまり感銘を受けなかったのですが、
実際の作品を見てみると、
質感の豊かさと皇妃の表情の繊細さを十分感じることの出来る作品でした。
マーソはベラスケスの娘婿で、宮廷画家として活躍しました。

ムリーリョ エル・エスコリアルの無原罪の御宿り
ムリーリョは数多くの「無原罪の御宿り」を描いていますが、
この作品のマリアほど愛らしく描かれたマリアはありません。
白い服は純潔を意味し、青いマントは信仰を意味しています。
そしてプットーの捧げ持つ百合と薔薇はマリアを象徴する花です。
図版で見ていたときから好きな作品の一つだったのですが、
実際の作品を見て色彩の美しさ、つややかさ、柔らかな質感に魅せられてしまいました。

ムリーリョ 貝殻の子供たち
今回の展覧会のチラシやポスターになっている作品です。
ムリーリョは愛らしい子供を描くことに巧みで、
風俗画にも子供を描いた優れた作品が数多くあります。
この作品の幼児イエスはとても愛らしいのですが、
やはり神の子らしく威厳を備えた表情をしています。

2.16-17世紀のイタリア絵画―肖像、神話から宗教へ―
ティツィアーノ、ヴェロネーゼ、ルカ・ジョルダーノなど
ルネサンスからバロック期にかけてのイタリア絵画で構成されています。

ティツィアーノ ヴィーナスとオルガン奏者
豊麗なヴィーナスがアモール(クピド)を伴い音楽を聴きながらくつろいでいます。
音楽は官能的な愛の歓びを象徴するもので、ヴィーナスにふさわしいものです。

ティツィアーノ サロメ
健康的な若い娘の姿をしたサロメです。
この作品については詳しく取り上げたいとおもっております。

グイド・レーニ クレオパトラ
毒蛇に自らの胸を噛ませ自殺するクレオパトラの姿です。
レーニは何点もクレオパトラを描いています。

3.フランドル・フランス・オランダ絵画―バロックの躍動と豊饒―
ルーベンス、ファン・ダイク、プッサン、クロード・ロランなどの作品で構成されています。

ルーベンス フォルトゥーナ(運命)
通常フォルトゥーナは目隠しをして運命の車輪を回す姿で表されますが、
ルーベンスは不安定な球に乗る女性の姿で表現しています。
どちらかといえば暗いイメージのフォルトゥーナですが、
みずみずしい肉体と生き生きとした表情のルーベンスのフォルトゥーナからは
豊かな生命力を感じ取れます。

4.18世紀の宮廷絵画―雅なるロココ―
18世紀スペインの宮廷画家をはじめ、
ティエポロ、ブーシェといったロココ時代を代表する画家の作品が展示されています。

ルイス・メレンデス ボデゴン:風景の中の西瓜と林檎
「ボデゴン」とは「台所画」の意味で、スペインで独自の発達を遂げたジャンルです。
台所で調理をする情景を描いたものや、食器や食物を描いたものなど様々です。
普通寓意的には「果物」はこの世の無常を表しますが
このきれいに割れた西瓜からは儚さよりも旺盛な生命力を感じます。

5.ゴヤ―近代絵画への序章―
ゴヤ初期のタペストリー下絵、宮廷肖像画、「黒い絵」まで
7点の作品でゴヤの画業を凝縮しています。

ゴヤ ビリャフランカ侯爵夫人マリア・トマサ・デ・パラフォクス
侯爵夫人を夫である侯爵の肖像を描く画家として描いています。
意志の強そうな眼と毅然とした態度が印象に残りました。


プラド美術館展を見た後、中之島へ移動し中之島倶楽部で昼食をとりました。
ここは重要文化財に指定されている中之島公会堂の地下にあるレストランで、
オムライスが名物料理です。私もオムライスをいただきました。
中之島は雰囲気のある建物が多く、大阪でも好きなスポットの一つです。
ただ残念なのが公会堂の見学が出来ないということです。
催し物がある場合は仕方がありませんが、
そうでないときは有料のガイドツアーででも見学させてくれればいいのにと思います。

その後大阪市立科学館でプラネタリウムを見ました。
現在は「流れ星の正体にせまる」というテーマで投影が行われており、
学芸員によるわかりやすい解説とともに満天の人工星空を楽しみました。
さそり座、へびつかい座、いて座、夏の大三角形と
夏の夜空の美しさを再認識しました。

このあと地下鉄で大阪港へ移動し海遊館へ行きました。
十数年前に一度行ったきりだったので、もう一度行ってみたいと思ったのです。
陸の上では鈍重なアザラシやペンギンが
いったん水にもぐるとまるで空を飛ぶようにすばやく動くのに驚いたり、
ラッコの愛らしいしぐさを楽しんだりしました。
圧巻は「太平洋」を表した大水槽です。
悠々と泳ぐジンベイザメの「遊ちゃん」はまさに海遊館の女王といった趣です。

その後弁天町で猫グッズ店に寄ったのち梅田まで戻り
書店やCDショップで買い物をしました。

帰りは神戸からフェリーだったので、四国へ帰ってきたのは25日の朝です。
船の到着が遅れたので、松山駅までタクシーを飛ばしてぎりぎりで間に合いました。

黄道十二宮vol.12―うお座

2006-08-23 20:24:35 | 美術
この「黄道十二宮」のシリーズも今回で最終回となりました。

うお座は四等星以下の暗い星ばかりで構成された星座です。
リボンでつながれた二匹の魚の姿を象っています。
現在春分点はこのうお座の中にあります。

この二匹の魚はアフロディテとエロスの母子が変身した姿です。
ナイル川のほとりで神々の饗宴が開かれていましたが、
騒ぎを聞きつけた怪物テュフォンがやってきました。
アフロディテとエロスは川に飛び込んで魚に変身して逃げました。
そのときはぐれないようにするために、互いの尾をリボンでつないだといいます。

画像はモロー「アフロディテ」です。
モローは神話を題材にした作品を数多く描いていますが、
ヴィーナス(アフロディテ)の姿を描くことはあまりありませんでした。
しかしイタリア留学中にボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」の模写を手がけ、
未完成に終わったその模写をわざわざ額装して部屋に飾っていたそうです。
この画像のアフロディテもボッティチェリのヴィーナス同様
海の泡から生まれたばかりのようです。

黄道十二宮vol.11―みずがめ座

2006-08-22 20:25:16 | 美術
画像が見えない場合は(更新)をクリックしてみてください。

みずがめ座は三ツ矢の形に並んでいる四つの星が目印となっていますが、
暗い星ばかりのあまり目立たない星座です。
太陽がこの星座に入るころ、メソポタミアでは雨季に入るため
水に関係ある星座となったと伝えられています。
水瓶から流れ出た水は魚の口に注ぎますが、これがみなみのうお座です。
アラビア語で「魚の口」を意味する1等星フォーマルハウトは
秋の星座の中の唯一の1等星です。

みずがめ座は美少年ガニュメデスの姿を象っています。
ガニュメデスについてはこちらを御覧ください。

実は私はみずがめ座なのです。
といってもガニュメデスのように神々を魅了する美貌の持ち主ではありません。
みずがめ座の気質としては知性的、芸術家肌、独創的、クールなどがありますが、
あまり私には当てはまらないように思います。
しかし好奇心旺盛、周りを気にせず自分の道を行く、
神秘的な物事が好きなどというのは、なんとなく当たっているようです。

本日の画像はモロー「ガニュメデス」です。
この作品は去年のモロー展にも出展されていました。
光輪を背負ったガニュメデスは単なる人間の少年というよりも
すでに神々の仲間入りをしているようです。

黄道十二宮vol.10―やぎ座

2006-08-21 11:17:59 | 美術
やぎ座は秋の訪れを告げる星座です。
華やかなさそり座やいて座と異なり暗い星ばかりで構成されています。
逆三角形に星々が並んでいますが、
古代の人々はこの逆三角形を「神々の門」と呼び、
死者の魂が天国へ昇る際にくぐる門と考えていました。

やぎ座は上半身がヤギで下半身が魚の姿をした牧神パンの姿を象っています。
通常パンは上半身が人間で下半身がヤギの姿で表され、
葦笛シュリンクスを吹いて羊飼いやニンフたちと踊ったり、
バッカスの従者サテュロスとニンフを追い回したりしています。
またパンには怒りに駆られる恐ろしい一面もあり、
「パニック」の語源ともなっています。

あるとき神々はナイル川のほとりで饗宴を開いていましたが、
そのとき怪物テュフォンが現れました。
神々はそれぞれ変身して逃げ出し、
パンもヤギの姿に変身して逃げようとしたのですが、
逃げ場を失ってしまい、魚に変身して川へ飛び込みました。
ところが彼はあわてていたため変身がうまくいかず、
上半身はヤギのまま下半身だけが魚の姿になってしまいました。
この一部始終を見ていたゼウスが面白がって
パンのこの姿を星座にしたといわれています。

今日の画像はバーン=ジョーンズ「プシュケとパン」です。

黄道十二宮vol.9―いて座

2006-08-19 21:47:39 | 美術
昨日は一週間ぶりの休日だったので、
どこかへ出かけようかと思っていたのですが。
台風の大雨でどこへも行けませんでした。

更新が滞ってしまいましたが、元気にしておりました。
今他に熱中していることがあってそちらに精を出してしまっております。
ついブログの更新を怠ってしまうので、忘れないようにしないといけません。

いて座はまさに今の時期の星座です。
1等星は無いのですが、北斗七星によく似た並びの南斗六星が目印となっています。
この星座は銀河の中心方向に向いて位置しているため
空の澄んだところでは天の川の見事な姿を見ることが出来ます。

いて座は半人半馬のケンタウロス族の長ケイロンが弓を構えた姿を象っています。
ケンタウロス族の多くは乱暴で人間たちから嫌われていましたが、
ケイロンは賢明で教養豊かな馬人で、多くの英雄を育てました。
ヘラクレスには武術を、カストル(ふたご座)には馬術を、
アスクレピオス(へびつかい座)には医学をそれぞれ授けたといいます。
そしてイアソンを育てたのもこのケイロンです。

人間とケンタウロスとの間に争いが起こり、
ヘラクレスも参戦していました。
そのときヒドラの毒矢を誤ってケイロンに撃ってしまったのです。
ケイロンは不死身であったため、毒による苦しみから逃れるため
大神ゼウスに願い、空の星座になったと伝えられます。

本日の画像はモロー「詩人を運ぶケンタウロス」です。
ケイロンを描いたものではないのですが、
ケンタウロスを題材にした作品で一番好きなものなので、この作品にしました。

黄道十二宮vol.8―さそり座

2006-08-16 20:25:43 | 美術
さそり座は7月から8月にかけて南天でよく目立つ星座です。
さそりの心臓に当たる真っ赤な1等星アンタレスを中心に
S字型の曲線を描き、きちんと毒針もついています。
アンタレスとは「火星に対抗するもの」という意味で、
この星が火星と同じくらい赤いことから名づけられました。

このさそりは冬の星座のオリオン座で知られる
狩人オリオンを刺し殺したさそりです。
力自慢で優れた狩の腕前を持っていたオリオンは
自分にかなう動物などいないと豪語していました。
そういったオリオンの傲慢さにヘラ女神は怒り、
大きなさそりを差し向け、オリオンの足を刺して殺させました。
オリオンは死後星座となってもさそりを恐れ
さそり座が天にある間は隠れて出てきません。
オリオン座とさそり座は天球の正反対に位置しているため
同時に夜空で見られることはありません。
この様子が神話にも取り入れられました。

本日の画像はプッサン「盲たるオリオンのいる風景」です。
さそりの画像は見つからなかったので、オリオンの画像にしました。
この作品に描かれた物語については次の機会に語りたいと思います。