昨日(8月24日)
大阪市立美術館で開催されている
プラド美術館展を見に行きました。
朝5時半に地元を出発し特急、新幹線を乗り継ぎ5時間かけて大阪へ到着しました。
早速天王寺の大阪市立美術館へ向かいます。
私が行ったときには美術館の外にまで行列が出来ているということは無く
すぐに中に入って見ることが出来たのでよかったです。
今回の展覧会は大阪市立美術館開館70周年記念に開催されたもので、
西日本初のプラド美術館展とのことです。
展示作品の多くが日本初公開の作品で構成されています。
1.スペイン絵画の黄金時代―宮廷と教会、静物―
16世紀~17世紀のスペイン絵画で構成されています。
エル・グレコ、リベーラ、スルバラン、ベラスケス、ムリーリョといった
スペイン・バロックを代表する画家たちの作品が一同に会していました。
エル・グレコ 十字架を抱くキリスト
十字架を荷いゴルゴタの丘へ向かうキリストの姿を描いた作品です。
寒色を中心とした色調とキリストの姿だけを浮かび上がらせる構成に
グレコの描き出そうとした神秘性を感じ取ることが出来ます。
キリストの光輪が四角に描かれているのは、
ギリシア・イコンの伝統によるものです。
ベラスケス ヴィラ・メディチの庭園、ローマ
ベラスケスがイタリアに滞在していたときに描かれた風景画です。
当時スペインでは風景画というジャンルは確立していませんでしたので
小品ですがこの作品は画期的なものといえます。
マルティネス・デル・マーソ 皇妃マルガリータ・デ・アウストリア
今回のタイトル画像とした作品です。
ベラスケスの肖像画で名高いマルガリータ王女の15歳の姿です。
この作品は父フェリペ4世の死によってスペインに里帰りしたときに描かれ
喪服を身に着けています。
以前図版でこの作品を見たときにはあまり感銘を受けなかったのですが、
実際の作品を見てみると、
質感の豊かさと皇妃の表情の繊細さを十分感じることの出来る作品でした。
マーソはベラスケスの娘婿で、宮廷画家として活躍しました。
ムリーリョ エル・エスコリアルの無原罪の御宿り
ムリーリョは数多くの「無原罪の御宿り」を描いていますが、
この作品のマリアほど愛らしく描かれたマリアはありません。
白い服は純潔を意味し、青いマントは信仰を意味しています。
そしてプットーの捧げ持つ百合と薔薇はマリアを象徴する花です。
図版で見ていたときから好きな作品の一つだったのですが、
実際の作品を見て色彩の美しさ、つややかさ、柔らかな質感に魅せられてしまいました。
ムリーリョ 貝殻の子供たち
今回の展覧会のチラシやポスターになっている作品です。
ムリーリョは愛らしい子供を描くことに巧みで、
風俗画にも子供を描いた優れた作品が数多くあります。
この作品の幼児イエスはとても愛らしいのですが、
やはり神の子らしく威厳を備えた表情をしています。
2.16-17世紀のイタリア絵画―肖像、神話から宗教へ―
ティツィアーノ、ヴェロネーゼ、ルカ・ジョルダーノなど
ルネサンスからバロック期にかけてのイタリア絵画で構成されています。
ティツィアーノ ヴィーナスとオルガン奏者
豊麗なヴィーナスがアモール(クピド)を伴い音楽を聴きながらくつろいでいます。
音楽は官能的な愛の歓びを象徴するもので、ヴィーナスにふさわしいものです。
ティツィアーノ サロメ
健康的な若い娘の姿をしたサロメです。
この作品については詳しく取り上げたいとおもっております。
グイド・レーニ クレオパトラ
毒蛇に自らの胸を噛ませ自殺するクレオパトラの姿です。
レーニは何点もクレオパトラを描いています。
3.フランドル・フランス・オランダ絵画―バロックの躍動と豊饒―
ルーベンス、ファン・ダイク、プッサン、クロード・ロランなどの作品で構成されています。
ルーベンス フォルトゥーナ(運命)
通常フォルトゥーナは目隠しをして運命の車輪を回す姿で表されますが、
ルーベンスは不安定な球に乗る女性の姿で表現しています。
どちらかといえば暗いイメージのフォルトゥーナですが、
みずみずしい肉体と生き生きとした表情のルーベンスのフォルトゥーナからは
豊かな生命力を感じ取れます。
4.18世紀の宮廷絵画―雅なるロココ―
18世紀スペインの宮廷画家をはじめ、
ティエポロ、ブーシェといったロココ時代を代表する画家の作品が展示されています。
ルイス・メレンデス ボデゴン:風景の中の西瓜と林檎
「ボデゴン」とは「台所画」の意味で、スペインで独自の発達を遂げたジャンルです。
台所で調理をする情景を描いたものや、食器や食物を描いたものなど様々です。
普通寓意的には「果物」はこの世の無常を表しますが
このきれいに割れた西瓜からは儚さよりも旺盛な生命力を感じます。
5.ゴヤ―近代絵画への序章―
ゴヤ初期のタペストリー下絵、宮廷肖像画、「黒い絵」まで
7点の作品でゴヤの画業を凝縮しています。
ゴヤ ビリャフランカ侯爵夫人マリア・トマサ・デ・パラフォクス
侯爵夫人を夫である侯爵の肖像を描く画家として描いています。
意志の強そうな眼と毅然とした態度が印象に残りました。
プラド美術館展を見た後、中之島へ移動し
中之島倶楽部で昼食をとりました。
ここは重要文化財に指定されている中之島公会堂の地下にあるレストランで、
オムライスが名物料理です。私もオムライスをいただきました。
中之島は雰囲気のある建物が多く、大阪でも好きなスポットの一つです。
ただ残念なのが公会堂の見学が出来ないということです。
催し物がある場合は仕方がありませんが、
そうでないときは有料のガイドツアーででも見学させてくれればいいのにと思います。
その後
大阪市立科学館でプラネタリウムを見ました。
現在は「流れ星の正体にせまる」というテーマで投影が行われており、
学芸員によるわかりやすい解説とともに満天の人工星空を楽しみました。
さそり座、へびつかい座、いて座、夏の大三角形と
夏の夜空の美しさを再認識しました。
このあと地下鉄で大阪港へ移動し
海遊館へ行きました。
十数年前に一度行ったきりだったので、もう一度行ってみたいと思ったのです。
陸の上では鈍重なアザラシやペンギンが
いったん水にもぐるとまるで空を飛ぶようにすばやく動くのに驚いたり、
ラッコの愛らしいしぐさを楽しんだりしました。
圧巻は「太平洋」を表した大水槽です。
悠々と泳ぐジンベイザメの「遊ちゃん」はまさに海遊館の女王といった趣です。
その後弁天町で猫グッズ店に寄ったのち梅田まで戻り
書店やCDショップで買い物をしました。
帰りは神戸からフェリーだったので、四国へ帰ってきたのは25日の朝です。
船の到着が遅れたので、松山駅までタクシーを飛ばしてぎりぎりで間に合いました。