蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

メタバースと医療  (bon)

2023-06-11 | 日々雑感、散策、旅行

 メタバースについては、拙ブログ2021.12.8「メタバース」に記事投稿して
いますので、その初めのところを引用しました。 記事は、当時新聞に大々的
に取り上げられていましたのでネットも参考にして記事にしました。

 メタバースとは、インターネット上に構築された3次元的な仮想空間を言い
ます。 人はVR(バーチャルリアリティ)ゴーグルをつけて参加し、参加者
はそれぞれアバター(分身)で登場して、現実と同じような趣味の集いやセミ
ナー、講演会、発表会など様々なイベントなども行えるコミュニティが構成
されるというのです。商業的な売買なども行えるというのです。

 すでに2003年に構築された「Second Life」というメタバースでは、世界中
共通の気象条件や地理的条件が設定されていて、土地の所有、商業行為、観光・
娯楽、銀行、株式取引など様々な現実と類似の仮想現実が構築され、その中
でアバターによるコミュニケーションはじめ様々な現実社会と同じような活動
が仮想空間で行われるのです。なので、ルールや規則、エチケットなども約束
されています。

       メタバースの例
        (PR TIMESより)

 当時の記事から、時間、空間を超えて誰でもが仮想現実の世界で、現実と
同じような行為が出来るわけですが、現実よりもより広い交流が出来るととも
に、同じ目的を持つ人達や専門分野の人達がより集まりやすい環境が作られ
ることが理解されるでしょう。当面は、ゲームやエンタメの世界でいろいろ
と具体化が進められているようです。 例えば、 2020年に実施されたトラ
ヴィス・スコットのバーチャルコンサートでは、同時接続数1230万人という
小さな国家の総人口並みの人数が参加しているといいます。

 

 しかし当然、医療の分野においても、これらVRを主体とした仮想現実の世界
において種々に活用できる分野があることは容易に想像できるところでした。
そのことが、今回、昨年12月に講演された『医療におけるメタバースの現状と
将来』(小山博史氏、東京大学大学院医学系研究科教授、医博)と題した
講演録が手元の会報にありましたのでその概要を紹介したいと思いました。

       論文(部分)
     (医学書院、小山氏論文より) 

 大きく4つの分野で、メタバースが役立つとされています。
 先ずは、①手術教育への応用です。脳外科手術では、細かい手技訓練が必要
であるが症例数が少ないためその機会が得られにくい。研修医は小動物で手術
訓練をするが動物愛護の観点から困難となってきている。これを補い3D環境
で、具体的なCTやMRIなどの医用画像検査データを用いた精巧な仮想人体を用
いて、一人のみならず手術関係者が集まって訓練を行うことが可能となると
予想されています。現在では、まだ一人だけがVRを用いた訓練ができるよう
です。

       応用例
       
              (メディアホールディングスより)

 ②闘病支援環境への応用 国立がんセンターでは、骨髄移植後のがん患者
の多くは、移植後約2か月間無菌室で闘病生活が必要とされ、この闘病期間の
生活で、不眠、イライラなどの神経症やうつ状態を仮想世界で疑似体験する
ことにより、抑うつを防ぎ、疑似歩行で下肢の廃用性萎縮や心肺機能の低下
を防ぐことが出来るというのです。また将来的には、在宅医療や在宅リハビリ
などメタバースを利用したサービスへと発展することが考えられる。
 ③ 術前検討への応用 黄斑前膜摘出手術の訓練用シミュレータでは、
手術における触覚を感じることが出来、本当に手術をしているように感じる
というのです。また、脳神経外科では、患者個々のCTやMRIデータから各自の
脳と血管を融合し精密な三次元CGで再現し、術前検討のための手術シミュレー
ションが可能となった。
 ④ 医療福祉へ応用 例えば視覚多様性(色盲)への理解を深めるため、
仮想教室に多色彩の教材が色覚多様性の者にどのように見えるか体験的に学習
できるようにする。 また、うつ病患者に対する偏見を軽減するVRでは、うつ
病患者の視点に立った差別的行為などを体験し、患者の立場に立つことで、
症状への理解を深め共感しうつ病患者への偏見を軽減する。 また、聴覚は
正常なのに言葉の聞き分けがが困難なため聞き取りが困難なような患者向けに、
例として、仮想空間に仮想“すし屋”を作って、テレビや客の話声などの雑音
の中に、間違いやすい言葉を流して聞き取り訓練をする。

               

 以上にいくつかの、講演者の体験からの例が話されていますが、これら
個々の具体的な目的に合わせメタバースの活用が今後もさらに広く考えられ
実現されてゆくことと思いますが、さらに、将来的には、メタバースの中の
仮想病院に優秀な専門医が集まり高度な医療サービスを提供できる時代が想定
されています。

 ただ、メタバースの与える人体への影響、例えば没入感、認知の切り替え、
心理的な面、VR酔いなど新しい事柄についてさらに深い洞察とその対策が求
められているとあります。

               

 この講演録を見て、将来的な構図を描くのはまだ先のお話のように感じま
すが、個々の具体的な応用については、現状でも、メタバースまで行かなく
てもVRつまり仮想現実の世界で十分有用な分野がありそうに思いました。

 

 

 

Andrea Bocelli, Sarah Brightman - Time To Say Goodbye (HD)

 

 

 

 


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2 コメント

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Unknown (M.S)
2023-06-12 06:07:40
 とても苦手です。
日常の生活で、どれだけAIやメタバースのお世話になっているのだろうか?と考えると、これ抜きにしては生活がたり立たないかも、と思います。
しかし、AIは毎回三塁打を打てるバッターだと思いますが、思わないところでホー厶ランを打つ人間が好きです。その間にどんな失敗やムダがあろうとも。・・・ダメですね。これでは皆んなについて行けないのは分かっているのですが。
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時代は進む・・ (bon)
2023-06-12 08:53:50
M.Sさん、いつもコメントありがとうございます。
人間には情緒があって、好き嫌いがあって、感情の起伏もありますが、
機械には、それらの感覚はないでしょう。AIで、理解しているように見えることも、
本当は、理解しているように振舞っているだけ。
知っているように見せかけているだけ、喜びを表現しているように作られているだけ・・
しかし、今は皆スマホを持つ時代なりましたが、つい最近まで、個人個人が持ち歩く電話(メールやその他)が出来るとは思っても見なかったですね。
人と機械は根本的な違いがあり、それでよいのでしょうね。
花を見ると美しいと感じる。蛍を見ると昔を想い出す・・。人と出会って、楽しいと思う・・。
いつくしむ、あこがれる、希望を持つ、悲しむ、嘆く・・ AIは、そのようにまねることができるかもしれませんね。
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