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蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

ヒトの繁殖戦略  (bon)

2015-12-09 | 日々雑感、散策、旅行

 また、会報記事からの受け売りですが、ご容赦ください。

 長谷川眞理子氏(総合研究大学院大学副学長)の「進化生物学から見た少子化~ヒトだけがなぜ特殊
なのか~」と題する講演記録から、その要約をご紹介します。(世界の人口推移については、調査した
数字に変更しました。)

 1万年前の地球人口は、125万人以下であったのが、その後 農耕や牧畜が広まり、5000年前には1億人、
17世紀には5億人、19世紀までの200年間で10億人となり、それが100年後には20億人、さらに40億人と
なるのに75年しかかからず、2000年には世界人口は60億人を超え、現在72億9600人と推計されています。
(国連データより推計)

       
                                 (ネット画像より)

         
 このように、ヒトは、異常な大繁殖をしていたということですが、この調子で永久に増え続けるのは
不可能で、どこかで頭打ちとならざるを得ないのですね。 これの兆しが“少子化”? 
 (人類の急激な増加をもたらしたのは、医術、医薬の発明によるところも大きいようですが、
産業革命以降の食料の貯蔵・保存技術によるところが大きいと記憶しています。)

 「ゾウの時間、ネズミの時間」(本川達雄 中公新書)(2011.9.19ブログ記事アップ)にも述べられて
いますが、動物の生息密度(適正密度)(ある広さに、いくつの個体が生息できるか)は、体重にほぼ
反比例するといい、例えば体重1㎏の動物は1㎢あたり32個体、体重65㎏なら1.5個体程度で、
つまりヒトでいえば2人以下(1.5人)となりますが、地球上の全人口を全陸地面積で割り算すれば、
1㎢あたり44人もの人が住んでいる計算となり、適正密度の20~30倍も住んでいることになります。
生物学から見ると、ヒトは多すぎるということになります。 これは、石油などのエネルギーを使っている
からだというのです。

 また、環境の収容容量を「K」、出生率を「r」とする「個体群生態学」の生存戦略については、
当ブログ“r-K戦略説”(2012.3.18)に記事アップしていますが、要するに、一度にたくさんの
子供を産む戦略を取るか、1子だけを産み強く育てる戦略を取るかの進化の方法論で、哺乳類は
全体として「K型」で、中でも霊長類は極端なK型なのだそうです。

 ヒトは、脳が極端に大きく、成熟年齢が遅く、寿命が非常に長いですが、同じ大きさの脳を持つ動物と
妊娠期間を比べると、本来ヒトの妊娠期間は3年あってもおかしくないそうですが、それだと胎内で
大きくなりすぎて出産できないので、どちらかといえば未熟な状態で生まれるので、その後の育児が
大変になる。そして、子供に投資する期間も長期にわたり、さらに保育園、学校、医者など社会全体で
育てているといえるので、これを「共同繁殖」というそうです。
 ヒトの特徴をまとめますと、①生み初めが遅いため繁殖可能期間が非常に短い、②繁殖期間終了後に
20年の寿命が残されている といっています。

 余談ですが、かって私が北陸勤務をしていた時、能登半島の輪島近くに門前町(2006年に輪島市に合併)
という総持寺がある町の海辺の民宿に一泊したことがありましたが、この民宿のご主人と酒飲み話に、
丁度、町長選挙の直前で、その主人も立候補されていたので、話題は、この町をどう発展させて行くかに
終始していましたが、ご主人が言うには「この町の世帯数は800世帯足らずで、その内、生殖能力の
あるのは何世帯あるが、実際に子供を産む可能性のあるのは、何世帯で 後は子供を産まない。
結婚適齢の娘は、何人しかいない・・」 そんな話を、本題とは違いますがフト想い出されました。

 動物、とくに霊長類の中でもヒトは産み初めが遅く、繁殖のピークも繁殖可能期間も短いですが、
先進国における現代の女性は、旅行、大学院、資格、キャリア、趣味、自己実現など「自己投資」の
可能性が大幅に増え、「配偶者探索」にも膨大な時間とエネルギーを投じ、果ては結婚に飛び込む決心が
付かず、子育て努力に過大な負担感や犠牲感を想像してしまう。
 現代女性の生活史戦略は「自己投資」と「配偶者選択」は、インフレ状態で、「子育て投資」は
非常に小さくなっている・・と述べられています。

 このように見てきますと、生態学的に見ても「経済発展による環境の飽和とK型社会への移行によって、
必然的に出生率が低下する」となりますが、さらに、行動生態学の男女の葛藤の理論からも
「男女の力関係において、女性の力が増えれば、出生率は必ず低下する」といえ、いずれ、どこの国でも
少子化問題が起こると言える。 つまり、「非婚化と晩婚化の増加こそが日本における少子化の最大の
原因である」と結ばれています。
 必然的な流れなんですね~。 


 

 

 

 

 

 

 


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