蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

当事者意識  (bon)

2014-06-08 | 日々雑感、散策、旅行

 この、“当事者意識” という言葉には、大変印象深い記憶があります。

 ‘89か‘90頃、会社の新しい組織(提案営業部門)に所属していた頃の幹部研修にこの ”当事者意識開発研修
というのを受講したのです。
 トレーニングスタイルでいいといわれ、なんでも成田あたりのホテルに4泊くらいした、初めてのユニークな
研修でした。  とにかく自分自身を見つめる、反発心を起こさず 素直に受容する、他人からの眼による
自身の長所・短所をグループで20以上列挙する・・・など、徹底して自己を空にする。
そして、業務上、組織上などの問題点、懸念事項をとことん突き詰めて行くと、それは結局 自身の問題に
帰着してくる・・など、初めての経験でした。 
受講後は、社内での相互の意思疎通は、かなりスムーズになったように思いましたね。

 前置きが長くなりましたが、先ごろ、いつもの H氏から ”当事者意識に欠ける企業幹部たち” と題する
情報記事が送られてきました。 記事は、当事者意識がいかに大事であるか、そのための上層部のあり方等
について、その必要性が述べられていますが、 だからどうする・・! とまでは、当然ながら自身で考えなさい
というに留まっていますが、全くその必要性は理解できるのです。


 私が受講したユニークな研修は、㈱日本研修センター代表取締役の武島一鶴氏(昭6年生、上智大学
文学部哲学科卒、神学研究科卒、 昭37世界平和記念聖堂(広島)主任司祭などの経歴で、昨年平成25年
他界される。)が、 革ジャンを着て、女性助手を一人伴った小柄ながら態度の大きい講師でした。
私たち受講生は、それぞれの担当部門を率いた大将気取りの事業部長クラス10名ほどで、理屈や信念を
曲げない口から先に生まれたようなツワモノぞろいでしたが、研修3日目にはみんなメロメロ、ヘロヘロに
なっていたようでした。  先生とは、研修後のお付き合いも、しばらく続いたものでした。

             くちなし
                (記事と無関係です。)

 

 それでは、送られてきました記事を以下に転記させていただきます。

****************************

Dialogue MAR/MAY 2014号(p76-79)

『当事者意識に欠ける企業幹部たち』 

(Getting stuff done at work: The village strategy for execution)

       By Liz Mellon and Simon Carter

 

【要旨】大企業などが社内改革や事業見直しなどを外部のコンサルティング会社に依頼するのはもはや
当たり前のことである。しかし、そこで提案され
る企業戦略に対し、社員たちは当事者意識を持つことができているだろうか。

本記事では、企業の上位0.1~0.2%にあたる最上層幹部たちでさえ、関心を持つのは各人が担当する
事業分野についてのみであり、企業全体を見渡すこ
とができていないと指摘。重要なのは、幹部たちが
個人プレーに走らず、自
分たちは自社の事業内容全般に重大な責任を持つ一団だと自覚することだと提言する。
共同筆者のLiz Mellonはダイアローグ誌の編集委員会委員長。 
Simon Carterはバクシー社(デンマーク)の
前CEO。ロンドン証券取引所に上
場する企業のうち時価総額で上位100銘柄に入る(FTSE100)複数の
企業のア
ドバイザーを務めている。

  ------------------------------------------------------------

  企業が戦略立案に関するアドバイスやコンサルティングを受けるのに費やす金額は年々増加傾向にある。
2013年、全世界でコンサルティング料として
支出されたのは総額4150億ドル、そのうち約500億ドルが
戦略コンサルティン
グ費用だった。

 また、社の将来計画を立てるために役員たちが集まる会議や会合のセッティングにかかる費用、戦略立案に
関するトレーニングコースの導入コスト、さ
らに戦略計画に関する書籍の購入代金なども含めると、相当な額に上るはずだ。

  しかし、世界的なコンサルティング会社・マッキンゼーの調査では、システム改革や企業文化改革といった
あらゆる“改革”戦略の70%は失敗に終わ
るという。 企業改革について『ハーバード・ビジネス・レビュー』が
2011年
度に取り上げた記事をまとめたところ、全体として従業員の95%は自社の企業戦略について理解して
いなかった。また、改革戦略の90%は目標とした成
果を上げられずに終わっており、なかでも70%は実行の
段階で失敗していた
ことがわかった。つまり、企業戦略にかけられるコンサルティング費用500億ドルのうち、
350億ドルは無駄になっているということだ。これはいったいなぜなのか。

  その原因として、ビジネスリーダーたちが戦略の形成に重きを置きすぎており、それを実際に遂行するために
必要なことについてまったく考慮できて
いないことが考えられる。戦略を実行に移すのは簡単なことではない。
戦略
の遂行に関してもまた、“戦略”が必要なのだ。

 我々はかつて、7万人以上の社員を抱えるある国際銀行のトップ80人の役員と深く関わって仕事をした
ことがある。まず驚いたのは、彼らが自社につ
いて三人称(その銀行が行っている○○は……、その銀行は
こう主張してい
る、等)で語ることだった。いったい彼らの銀行である以外、誰の銀行だというのか。
 2013年末に同銀行のトップであるCEO同席の上、この役員たちと戦
略の見直しを行ったときも、彼らの
口振りは変わらなかった。上層幹部たち
が自社を三人称で呼び、目前の課題についてまるで管理が不可能
かのように
言い立てることに、CEOは大きな不満を示していた。 

 戦略を実行に移す際の最も基本的な課題がここにあると思われる。つまり、最上層幹部たちには当事者意識が
決定的に欠けているのだ。

 本記事では、企業の上層幹部のことを「村人」と呼ぶことにする。一企業における彼らの人数が、一般的な
「村」の住民の数とだいたい同じだからだ。
ロビン・ダンバーをはじめとする人類学者たちによると、人間が
維持できる
社会関係に最適な個体数は、小さな村と同規模の、150人程度だとされる
(「ダンバー数」と呼ばれる概念だ)。
ダンバーによれば、グループの規模
がこの人数を超えると、関係は不安定になり、壊れ始めるという。

 企業の規模、特性、また地理的な条件によってここで言う「村人」の実際の数は異なるが、企業のなかの
「村人」の数は一般的に約100人だ。例えば、
シスコシステムズは約70人、リオ・ティントは120人、ウィット
ブレッド・グ
ループは40人、ジャガーランドローバーは160人。いずれも企業の上位0.1~0.2%にあたる。

 この100人程度で構成される「村」の役割は重要だ。「村人」たちが、自分たちを一つのコミュニティとして捉え、
企業全体のために意を合わせて行動
しないかぎり、不要な内部抗争によって企業価値は損なわれていく。
最悪の
場合は、企業の存続さえ危ぶまれる。

  たとえどんなに素晴らしい戦略が立案されようとも、そもそも最上層幹部たちで構成される「村」で行き詰まって
いては、それを実行に移す機会は訪
れない。 

 戦略を実行に移すにあたっての問題の根源とされるものは、時とともに変化している。我々の長年の
調査結果から、現代企業が取り組む戦略実行にお
けるボトルネックが、確実に上のレベルへと移行している
ことがわかっている。

 かつてビジネスの専門家たちは、企業の組織ピラミッドの下位にいる反抗的な社員たちが成長の足かせに
なると指摘した。20世紀の最初の70年ほどは、
ビジネス上の障壁は、例えば怠慢な社員であり、彼らを管理する
マネージャー
が必要だと考えられた。 

 しかし1980年代になると、非難の矛先はマネジメント層のうち中間管理職に向けられていく。それまでは
企業をまとめる重要な役割を担っているとさ
れたのが、一転して、中間管理職こそが上層部が立てた戦略を
うまく咀嚼し
て実行に移すことのできない障壁と捉えられるようになったのだ。

 中間管理職の削減は、短期的にはコストカットのメリットがあるかもしれない。だが、中間管理職を削減する
ことで(障壁が減り)、戦略実行におい
て何らかの改善がみられるという証拠は何もない。

 我々の研究では、一般社員でも中間管理職でもなく、上層部(「村人」たち)に戦略実行に対する当事者意識が
欠けていることが、戦略が早期に行き
詰まる要因であることがわかっている。現代では、戦略を実行する上での
な障壁は、最も上のレベルへ移っているのだ。

  多くの企業の「村人」たちの間で、共同責任や説明責任といった感覚がまったく見受けられない。彼らは、
自分たちが一団となることで発生する力につ
いて理解していない。本来は企業のため、幹部たちは心を
一つにして行動し
なければならないはずである。しかし彼らは主に個人単位で動く。自らのチーム、
自らの領域において責任を果たしているだけなのだ。

 幹部たちの意識を変えるために、まずは彼らが集まる頻度を上げる必要がある。年に一度、戦略見直しの
ために2、3日集合するだけでは、真のコミュ
ニティを構築するには不十分である。

 幹部たちの間に集団意識が芽生え、心を一つにして戦略を実行に移そうというメンタリティが生まれなければ
ならない。それがうまくいけば、企業が
前進するために必要なことは何か、そのために自分たちはそれぞれ
どんな役
割を果たせばよいのか、といった意識を互いに共有しようとする感覚が磨かれるはずだ。

 戦略立案には幹部たち自らが取り組む必要がある。そこで自分の意見を述べれば、当事者意識が生まれる。
さらにその意見が考慮され、戦略に反映さ
れれば、その戦略は“自分のもの”だと感じられるようになる。
「実現した
い」という強い思いを抱くようになるはずだ。

  さらに幹部たちは、「企業全体のために」という気持ちを持つ必要がある。現在多くの企業では、幹部たちの
評価は、各人が管轄する事業分野で上げた
成果によってなされている。これでは、自己中心的な行動を
呼び起こしてし
まう。個人的な成果だけでなく、いかに企業全体の成果に結びつくための努力をしたかを
きちんと評価する仕組みを作らなければならない。
 

 「村人」たちは理性だけでなく、もっと心からの衝動で動く必要がある。自社の企業戦略を頭で理解するのと
同時に、そこにコミットしようとする気
持ち・感情の強さが求められるのだ。強い気持ちで当事者意識を持てば、
動にもつながる。

 「村を動かすこと」は、企業が戦略の実行を成功させるために最も重大かつ重要、そして最も難しい最初の一歩なのである。

 

コメント: たとえ、本記事で言う「村人」たちが当事者意識を欠き、己の専門領域に特化した仕事しかしなくても、
トップが強力なリーダーシップを
発揮すれば、戦略はスムーズに実行されるだろう。トップに、それぞれの
門家たちを道具として使い、その行動を統合する力があればいい。だが、おそらく100人以上の専門家たちの
力を巧みに統合できるトップはそれほど多く
ないのではないか。本記事で主張されているように、上層部が
コミュニティ
として機能するようになれば、そこまで強力なトップは必要なくなる。いわば上層部には、リーダー
シップのみならずフォロワーシップも求められてい
るということではないだろうか。

 Copyright:株式会社情報工場

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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