路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

18世紀のプロファイラー

2015-07-08 | ★ほんの日常



最近読んだ「人生相談」が面白かったので、
真梨幸子さんの他の作品も読んでみた。

「殺人鬼フジコの衝動」と「インタヴュー・イン・セル」。
この本と本の間にある「私は、フジコ」は
本屋さんで見付けられなくて読んでいないが面白そうだ。

そもそもイヤミスの代表的な作品という事で
本屋で見掛けてはいたもののタイトルに怖さを感じて
手に取るのを躊躇う人も多いと思う。私もその一人。

両作品とも物語に登場する実在の曲と絵画が
本全体のイメージを形作るのに大きな意味を持っている。

前者は「恋するシャンソン人形」と後者は「ジン横丁」。
怖い歌と怖い絵。
この後者である「ジン横丁」、酒に溺れた者たちの地獄絵だ。
作者は18世紀のイギリスの画家ウィリアム・ボガース。
風刺画の父と呼ばれた人。

興味深いのは、1751年の作品で「残酷の四段階」と題された四枚続きの銅版画。

第一段階 犬の肛門に矢を突き刺そうとするトム・ネロ(小動物虐待)
第二段階 馬に鞭を打ちつけるトム・ネロ(動物虐待)
第三段階 愛人を殺害するトム・ネロ(殺人)
第四段階 残酷の報い 司直の手で生きたまま解剖されるトム・ネロ(罪の報い)

ボガースはフリーメイソンに属しており、この作品は
実はフリーメイソンに関する絵だとも言われていて
その処刑の様子を書き留めたのがこの第四段階ではと言われているが
真実は謎のまま。
しかし、この経過は最近の猟奇的少年犯罪の典型的パターンともいえる。
18世紀に既に少年犯罪の辿る経過をプロファイルしていたのかも知れない。

それにしても衝撃的作品だが、この時代ではお金持ちの貴族しか
肖像画を残せないにもかかわらず、ボガースは自分の召使の肖像画を描いている。
とてもリアルで活き活きとした表情の召使達の顔は誇らしげだ。
貴族に金で雇われて肖像画を描くというのは
実像を捻じ曲げて描かねばならない場合もあって
思うように描けないストレスフルな仕事だったのかも知れない。
この辺にブラックなユーモアと風刺の精神を感じずにはいられない。



猟奇的殺人を犯した少年Aが本を出版した事でかなり物議を醸している。
心の闇の真実が解き明かされる事は出来るのだろうか。









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