路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

通  報

2008-01-04 | 『ボス猫』

『茜』の二番目の連れ、『ボス猫』は人間嫌いだ。

人間が少しでも近付こうとすると、「フゥ~ッ」と所構わず威嚇の声を出す。

可愛い名前が貰えなかったのもその愛嬌の無さが一因している。

『影虎』と同じく、夜にしか姿を現さない。



自宅前で『ボス猫』に会った。

モノ欲しそうな顔をするので仕方なく一度家に戻り、

餌を持って出てきたら、団地の階段下の植え込みから顔を出してきた。

餌は欲しいが、近付きたくは無いらしいので、日も暮れて真っ暗な中、

少し餌を置いては二歩下がり……を繰り返していた。

ふと、団地の一階の窓に人影が見えた。

「あ、すいません」と、頭を下げたが返事は無かった。

暫くすると、けたたましいサイレンと共にお巡りさんがやって来た。

何事かと見ていると、お巡りさんは真っ直ぐに私の所へやって来た。

「さっき、窓の外に変な女の人がいると通報がありまして…」

「猫と遊んでいただけですが…何か?」

お巡りさんは植え込みを懐中電灯で照らすと『ボス猫』はびっくりして逃げ、

お巡りさんは安心して帰って行った。

一階の窓からは、私の姿しか見えなかったにしても、変人扱いは勘弁して欲しいものだ。



 先日、狩りが得意な『ボス猫』が『茜』に雀のお土産を銜えて来ていた。

……今度は一階のおばさんの所へ、鼠でも持参しときなよ。


 ←猫にお土産を貰った経験がある方、ポチっと応援お願いします。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする