路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

クレーマー・クレーマー

2012-12-25 | 『リー』






帰り道、猫に出会える路地を選んで歩いていた。

いつもの定位置に『リー』が居て

私に気付くとそそくさと降りて来ては

挨拶をしてくれた。





暫くの間しゃがみ込んで『リー』を撫でていると

小学4年生位のオンナノコが2人、

ジワジワと近付いて来た。

大抵の場合は一緒に猫と遊びたい子が多いのだが

その子達は違っていて

私に用がある様子だった。






少女:「スイマセン。その猫、噛みますか?」

 私:「へ?…いやぁ~
    私は噛まれた事がないから、噛まないと思うけど」

少女:「そうなんですか?だってこの子…ホラ」

隣にいた少女が手を差し出した。

手の甲にうっすらと蚯蚓腫れが出来ていた。





これはクレームだろうか?






私が『リー』と親しいので飼い主と誤解されていて

飼い猫に引っ掛かれたからという苦情なのか?と

思わぬ事態に反応しきれずにいた。

話終わるとその子達はそそくさと帰っていった。

一体なんだったのかよく分からないままだった。







外で猫を撮っていると

色々な猫にも出会うが、色々な人にも出会う。

震災後の影響なのか、男女を問わず

政治不信を見ず知らずの私に切々と訴える人もいれば

猫の存在が許せないのか、

ただ猫を撮る私に腹を立てる人もいた。

以前にも増して、

クレームを訴える人が多くなった気がする。







そこへきて、この少女達…ちょっと怖くなった。

猫からの苦情なら何でも聞いてやりたくもなるのだが

人からのクレームは出来れば後免被りたいものだ。














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行列の出来る猫

2012-10-14 | 『リー』





体調も良くバスに乗り損ねた時などは
雨が降らない限りは歩いて帰宅する。
大抵は猫に会えそうな路地コースを選んで歩くのだが
『リー』の家の前は欠かさず通るようにしている。


『リー』はいつも家の前の道路を挟んで
向かい側の御宅の塀の上や
駐車場の車の下に隠れたり
備え付けのベンチの上にいて
まだ眠そうな顔をしてる。



私は遠くに茶色の丸い塊りが見えると
ジワジワと気付かれぬように近付こうとして
携帯カメラを向ける前に気付かれるという
変なやり取りを繰り返して遊んでいた。


その日もいつもの様に歩いてると
遠くに茶色の丸い塊りが見えた。



顔を緩ませて携帯を取り出しながら
ジワジワ近付くと直ぐに気付かれてしまった。
尻尾を立てて
グルグル喉を鳴らし挨拶をする『リー』。
私も喜んでしゃがみ込み頭を撫でていると
背後に人の気配を感じた。
猫と居ると通行人が
笑いながら立ち止まって見て行くことがあるので
その類かと思ったら、違っていた。



私の真後ろに
乗っていた自転車からわざわざ降りて
笑顔で猫を撫でる為の順番待ちをしている
年配の女性が居たのだ。
そしてその背後にもニコニコ顔で
買い物袋を手に提げた奥様らしき姿も
猫との挨拶の順番待ちをしている。
互いに知人同士という訳ではない3人が
『リー』の前に並んでいた。



『リー』は平然と私を見上げて
「もっと撫でてよ」という顔をした。



「人気者だねぇ、羨ましいなぁ」と、
一声掛けて立ち上がり
次に待つ人へ頭を下げた。




『リー』と別れて足早に歩く帰り道、
猫の前に限りなく続く猫好きの行列を想像して
一人、ニヤニヤと笑っていた。
特にマスコミに報道されるような有名な人でもなく
普通に暮らす一般の人には、まず行列すら出来ない。
しかし、一般の飼い猫に偶々行列が出来ていた事が
妙に可笑しかったのだ。






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言わないで欲しい事

2011-03-01 | 『リー』



久々に『リー』に会いに行った時の事。




いつもの様に写真を撮りながら遊んでいると

自転車で通る人の中、年配の女性が

わざわざ自転車を止めてまで声を掛けて来た。




『リー』をひとしきり撫でて挨拶をした後、

この子は野良ちゃんかと聞く。

「いいえ、飼い猫さんですよ」と私が応えると、

「太ってるね~」と連呼する。

再び、じわりじわりと猫に近付いて触ろうとすると

今度は、

「シャーッ!!」

『リー』には珍しく、怒りの姿勢。




まるで、今の話を聞いていて腹を立てた様だった。




数日前、新聞の人生相談で

「親戚のおじさんに、家族で集まった時や会う度に

 「太ったね~」と言われて、

 不愉快なのでどうにか止めさせたいのです」

と言う内容の30代の女性からの投稿があった。

妙齢の女性でなくとも、

容姿の事をとやかく言われるのは、堪える。

特に、当人が気にしている事に関しては。





その回答がとっても面白かった。

その人も同じ言葉を同じマンションの住人に

何度となくそう言われ続け、

とうとう我慢が出来ずにマンションのロビーに

張り紙を貼ったらしいのだ。

「私は確かに太りました。

 でも、本人は気にしているので会う度言わないで下さい。」

…とか何とか。

でも、これで本当に言われなくなったらしい。

極端な例ではあるが、

この「太ったね~」と言う言葉、確かに人前で言われると

腹が立つ。

が、ある意味ココまで言っても許される仲なんだよって

自慢してるおじさんの気持ちに至るまでちゃんと

フォローされていて、笑えた。





さて、猫の気持ちはどうなんだろう。

言わないで欲しい事は猫にも沢山あるようだ。








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男の子オンナノコ

2010-06-14 | 『リー』



ある日、路上でしゃがみ込んで『リー』を撮影していると

小学生くらいの男の子が二人、声を掛けてきた。



「猫、撮ってるんですか?」

「うん」



凸凹コンビのような二人組みだ。

コロンと丸い男の子と小柄で痩せた男の子。

少年同士の仲良しコンビって、大体こんな組み合わせが多い気がする。

所謂、無いモノねだり的に互いに違うモノを相手に求めるから、

こんな組み合わせになるのかも知れない。





小柄な子は家で猫を飼っているらしく

慣れた手付きで『リー』を抱えてトコトコ歩き出した。

一方、丸い子は

「写真、撮り終わったんですか?」

と、私の事を気に掛けて

小柄な子が猫を連れ去った事を気にしている様子だ。

「うん、もう撮ったけん」と返しても、

小柄な子を追い、気弱な直談判に駆けて行く。





いっそ、猫を抱えた少年を撮らせて貰おうと声を掛けると

快く承諾してくれた。

一枚撮り終えると、横に立っていた丸い子がモゾモゾと

「僕も、猫抱いてるとこ撮って欲しい」と言っていたのだが、

小柄な子の腕の中で不満げな『リー』が

「もう、いいでしょ。これでおしまい!」

と、腕から飛び出してお向かいのお宅の庭へ逃げ込んだ。





「残念やったっけど、ありがとう。良いのが撮れたよ」

と言って爽やかに別れた。

遠くで西日を浴びた二人組が時々振り返り

手を振りながら帰って行った。

可愛いな、と思いつつ

オンナノコだとこうは行かないなと、ふと思った。




オンナノコは小さくても「女」なので難しくてちょっと面倒なのだ。




集団でワイワイ近付いて来て

あっと言う間に猫が逃げてしまい撮影にならない場合や、

一人の帰り道、猫と私を見付けるとライバル心を燃やすのか

私の方が猫と仲が良いのよとばかりに

無言で猫を追掛けては撫で(結局撮影にならない)笑顔の一つも無い子もいる。

まるで、自らが知人や友人だと認めていない人に

声を掛けるのも躊躇する程の無愛想な態度を平気で取る大人の様だ。

全ての子がそうだとは言わない。

中にはビックリする程話しやすい子もいたりする。

そこは、私もオンナノコだからだろう。

嗜好の合う子だと年齢は関係なく友達になれる。

(でも相手には友達とは思われてはいないだろうけど)笑。




オンナノコは、小学生も女子高生もオバサンも…「女」で、オンナノコ。




猫の世界も案外そうなのかも知れない。

少年達が去った後、こっそり顔を出した『リー』が

「あの子達、もう行った?」

とでも言うような感じで、車の下から顔を出した。









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狩 り

2009-02-28 | 『リー』

三丁目まで足を伸ばしたある日、

親友の『リー』に会いに行った。

いつもの様に彼女の家の前を通りかかると

『リー』の気配が植え込み越しに動くのが見えた。

いつもなら私を見付けると走り寄って来るのに

何故かダッシュで横切って行った。

お隣のお宅に駆け込む『リー』に

玄関先で声を掛けていると

お隣に配達に来ていた宅配業者のおっちゃんが出て来た。

挙動不審な私の目線の先を見ておっちゃんは

「うわぁぁ、こんなの初めて見たばい。」と、驚いた。



取り込み中の『リー』は何と、大きな鳩を銜えていたのだ。



『リー』は私の声に気付き

申し訳なさそうな顔をしたと思うと

そそくさとお隣の庭に入り、

早速その鳩を「お召し上がり」になっていた。



塀越しに聞こえるボリッバリッと言う音だけが妙にリアルに響いた。







『リー』は立派なお宅の飼い猫だ。

ちゃんとご飯も貰っている。

でも、

あの大きな体(小型犬より大きい)を維持するのには

とってもお腹がすくんだな。。。などと妙に納得していた。




私が猫を好きな理由は

例え飼われていようとも

野生を忘れない所かも知れない。




人は変わって行く。

それを進化と呼ぶのか、退化と呼ぶのか定かではないが

忙しさや便利さに負けては

いつも大切な何かを忘れて行く自分に

嫌悪を感じるからかも知れない。




小さな頭をしていながら、それを忘れない猫達が

とても優雅に、素敵に見えるのだろう。











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※「猫の展覧会」開催中!
 
  イムズビル5Fイベントホール
  入場無料 2月20日~3月5日迄
  10:00~20:00



※昨日、会場へ追加の豆本とポストカードを届けに行って来ました。
 な、なんと!奇特な方がブックカバーをご購入になってました!
 どなたか存じませんが、誠に有難うございます。








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聾 唖

2008-07-04 | 『リー』

三丁目で『リー』と遊んでいると良く子供連れの親子や、

子供達だけの集団に声を掛けられる。

大抵の場合、「猫ちゃんに触ってもいいですか?」

といった言葉から始まる。



しかし、その少女は違っていた。

話さないのだ。

小学校高学年位で、友達が居ないのか、何処か淋しげに一人で遊んでいた。

公園で『小鉄』『茜』の写真を撮っていると、

その少女が何も話さずにじっと見ている。

私は「猫と仲良くなる方法」を話しながら

聞こえているのかすら解からないまま、写真を撮った。



次の日、公園へ行ってみると笑顔の少女がいた。

私が家から持って来ていた猫の写真集を見せると、

昨日とは違い、少女は沢山話しをした。

おじいちゃんのいる田舎で猫を飼っていた話や、

猫が子猫を沢山産んだ話。

そこへ、「足長おじさん」のように

猫の餌を庭先へ置いていく人が居た事を。




おそらく彼女は、

私の事は「知らない人」だったので話さなかっただけだろう。

次の日、「知らない人」は「昨日会った人」に変わったので

沢山話してくれたのかもしれない。




子供の頃、私は言葉が遅く、母が聾唖ではないかと

心配する程だったらしい。

その頃の事は余り憶えていないが、黙々と絵を描いていたと思う。

足りないモノを補える何かを、誰もが持っているものなのかも知れない。





買い物へ出たある日、あの少女が元気に同年代の友人達と遊んでいた。

私は通りすがりの猫のように、彼女を見て立ち止まり

再び、ゆっくりと歩き出した。








今日は何位?
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猫月流

2008-02-16 | 『リー』

私は花が好きだ。

父も母も違う流派の華道を嗜み、

幼い頃、正月になると当たり前の様に(何故か父に)いけばなの基本を習った。

実家の玄関には365日、花がいけてある。勿論、父がいけるのだ。

記念日に花を贈る殿方よ、甘いぞ。365日花を欠かさずいける男も居る。

でもそれは家庭円満の秘訣であり、本人の安定剤の様なものかもしれない。



毎週水曜、草月流のいけばなを習っていた。

今日はどんな花材が届くのかと、毎週楽しみでもあった。

ほんの15分程の無心に花をいける時間、

決して正しい答えの出ない問い掛けであり、

全てが正しく見える、ひたすらに花の美しさを引き出す作業。

デッサンと良く似ている。

 真っ白な紙で100点。花そのままで100点。

手を加える事で、本物よりも空間や美しさを表現出来て、尚100点未満だ。

花を抱えた帰り道、シャッターの下りた薬屋の横を通ると

『リー』ちゃんが声を掛けて来た。

「そんなお花持って、どうしたの?」とでも言いたげな顔でこっちを見てる。

鞄と花を地面に下ろし、跪いて『リー』ちゃんに挨拶をした。

『リー』ちゃんは好奇心一杯で、花を覗き込んでいた。



ふと、思う。 猫が居て100点。

私というフィルターを透して、

出会えた事実と空気感を表現出来て、尚100点未満。




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やり手の親友

2007-12-28 | 『リー』

大きい。小型犬がびっくりして逃げ出しそうだ。

でも、体の割に顔が小さくて飼い猫特有のあどけない表情に思わず騙されそうになる

トリッキーな雌猫『リーちゃん』だ。

『ミーディ』の住む薬屋の二軒先のお宅、手入れが行き届いた庭付きの一軒家が彼女の家。

今日は塀の上、昨日は出窓の屋根の上。

冬の寒い日には飼い主さんの車の中…と、その時々の一番心地よい場所へ移動している。

私が通ると、挨拶を欠かさない礼儀正しいお嬢さんでもある。

お互いに時間が許せば、近くの公園のベンチに座って、じっと黙って隣に居てくれる。

まるで、昔からの親友の様だ。


猫と並んで座っていると、通る人が笑う。

子供達が立ち止まって、こっちを見ている。

猫に触りたいのだ。

なかなか通り過ぎてはくれない。こういう時の子供達は、

頑なな迄に自分の要求を満たそうとする。まるで、欲のモンスターだ。

嫌な空気を読んだのか、ベンチを降りて、子供達から遠ざかる様に

道を挟んだ歯科医院の駐車場へと避難する猫。

子供達も負けずに追い掛けて行く。

『リーちゃん』は露骨に嫌な顔をして、子供達に背を向け家へ帰ろうとしたが、

急に立ち止まり道の真ん中に「もう、どうにでもしろ」と言わんばかりにゴロンと横になった。

暫くされるがままに子供達に撫でられた後、気が済んだ子供達を後目に

「やれやれ」と言った感じの不機嫌な顔で家に帰って行った。



子供達の扱いは、彼女の方がきっと上だ。



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