路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

願える寝返り

2013-12-16 | 『尚人・直人・チビ』





最近のスマホのアプリの中には、

「ネガポ辞書」なるモノがあるらしい。



スマホ利用者ではないので聞きかじりの情報だが

何でも、「ネガティブな言葉」を

「ポジティブな言葉」に変換して

楽しむツールなのだそうだ。

例えば、変換前の「飽きっぽい」が、

変換後→「気持ちの切り替えが早い」とか。

これは、考えように寄っては使えるツールだと思う。

言葉の選び方がヘタな人には特にうってつけだ。



話が随分と猫からずれていると思われるだろうが、

ちゃんと戻るのでご安心を。



そう、「飽きっぽい」と言えば、猫もそう。

寄って来たかと思えばプイっとそっぽを向いたり

遊んでいたかと思うと、急に戦闘モードに入ったり。

そう、良く言えば「気持ちの切り替え」が早いのだ。



元々、雌猫は警戒心が強くて

懐くまでに時間が掛かる猫さんが多い。

その中でも一番か二番かという程、仲良くなるのに

時間が掛かったのが『チビ』だった。

しかし、団地の一階に引越してきたばかりのご婦人に

物凄い早さで懐いたのだ。



その後、外で『チビ』には会えなくなった。

しかし、家猫に転身したと思えば

スマホの「ネガポ辞書」ではないが、

前向きな変換で「願える寝返り」だったのかも知れない。




寒い季節、外で寒さに凍えているよりも

家の中でぬくぬくと寝ている姿を想像すれば

会えなくなるよりもそれはそれで、幸せなこと。

なにより、

猫が人を選んでいる方がより幸せになれる気がする。




人生は考え方一つで「良い人生」にも「悪い人生」にもなる。

『チビ』の様に、チャンスを逃さないことも大事な事だが。

















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おじいさんと猫

2011-01-08 | 『尚人・直人・チビ』


優しいおじいさんに拾われて

飼い猫になった『チビ』だが、いつも外にいる事が多い。

大概はベランダの下か団地の中を闊歩していたりする。

買い物の行きや帰りに覗いて『チビ』がいると

写真を撮って帰る。いなけりゃ、そのまま帰る。

そんな感じだった。



その日も、『チビ』のいる通りに立ち寄ると

『チビ』が鳴きながらベランダの下から出て来た。

それを、家の中から見ていたおじいさんが

わざわざ玄関から出て来て首を傾げた。




不審人物にされてはいけないので、

「こんにちは。いつも写真を撮らせて貰っています」と

満面の笑みで声を掛けた。



しかし、おじいさんはまだ首を傾げたままだった。



「この猫、めったに人に懐かないんだけど…ねぇ」


(はい。知ってます。ココまで仲良くなるの結構、長かったし。)



「あはは、そうですか?」と、笑顔でお茶を濁していると

飼い主のおじいさんに私と居るのを見られたのが照れくさかったのか

『チビ』がベランダの下の定位置に隠れたので、

不思議そうに首を傾げながらおじいさんは家へ帰って行った。




私が何故ココまで『チビ』と仲良くなれたのか、

おじいさんは不思議で仕方ない様子だったが

私はおじいさんが何故『チビ』が飼える迄懐いたのかの方が

知りたい気持ちだった。

きっと根気良く、

私の知らない間におじいさんも

『チビ』との関係を育んでいたのだろう。




誰にも懐かない猫は、誰にでも懐こい猫よりも

心を許して貰えると嬉しいものである。

何か特別な承認を得られた様な

とても誇らしい気持ちになれるからだ。







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チビの引越し

2010-05-12 | 『尚人・直人・チビ』




公園に行っても最近は

チビ』の姿が見えなくなっていた。



一本向こうの通りでばったり出会ったので喜んでいると

通りすがりの犬の散歩のおばちゃんに声を掛けられた。



「それは貴方の猫?」

「いいえ。この辺の野良さんです。」

「あぁ、あの家の人が飼っとるよ。その猫。」

団地の一階の部屋を指差した。



『チビ』がそのお宅のベランダの下に居たので、直ぐに解かった。




『チビ』を撫でくり回しながら、その部屋の窓を見ると

おじいちゃんが心配そうに『チビ』と私を見ていた。

私が『チビ』を連れて行きやしないかとソワソワしながら

見ているのだ。



団地には高齢者が多い。

しかも、一人暮らしや老夫婦のみの寂しい家庭が多いのだ。

ひょんな事で増えた家族を、見知らぬ私に連れ去られては

かなわないからだろう。




「あんた、飼われとるんね、良かったね」



出会った時は、物凄く小さくて

なかなか懐いてくれなかったし、

信用して貰うまでにかなりの時間を要した猫さんだけに

成猫になってからでも貰ってくれる人がいたと思うと

とっても嬉しかった。



小さい内にろくにご飯が食べれていなかったから

成長が遅かったのか、とっても小柄な猫だから余計に

甘えてくると可愛いのだろう。





帰り道で一人、

おじいちゃんに甘えている『チビ』を想像して

思わず一人、ニヤついてしまう自分がいた。








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再会の街

2008-10-11 | 『尚人・直人・チビ』

先日、懐かしい猫に再会した。

巌窟王事件以降、姿が見えなくなっていた『尚人』だ。

暫くは公園にいたのだが、

最近ではすっかり常連メンバーから外れていた。

その『尚人』、何処に居たかと言うと…

以前居た公園からかなり離れた大通りに面した病院の植え込みの中。

交差点の信号を渡って家に向かう私に

「ニャ~オゥ!ニャ~オゥッ!」と、

かなりの大きな声で呼び止めた。

ビックリして植え込みを掻き分け覗き込む私の顔を

まん丸な瞳で見詰めては

茂みをぐいぐい掻き分け、強引に出て来ようとしている。

植え込みを見詰めて立ち止まっている私を

道路の工事中の作業員の方々が不思議そうに見ていた。



ズボっと顔を出した顔を見るとやっぱり『尚人』だ。

随分と会っていなかったが、痩せてはいない。

ちゃんと食べているようで毛並みも良い。

グリグリ頭を撫で回しながら尻尾を見ると…




あれ?




タマが無い。『尚人』は雌じゃなかったよなぁ?

「お前さん、人違い(猫違い)してないかい?」

お前が雌なら、知り合いの猫にお前のような猫はいないのだけれど。。



グルグルと色んな考えが頭を回る。



いや、これは『尚人』だ。(多分)

おそらく、拾われて家猫になった『尚人』は去勢手術を受け

何かの拍子に家を飛び出し迷子になっているに違いない。

でないと初対面の猫にこんな風に声を掛けられる事はないだろう。




「しかし、お前も随分波乱万丈な人生(猫生)だな。」




再会の街で、かつての旧友がニューハーフになっていたなんて

今時珍しい事でもなんでもないが、

久し振りに会った『尚人』は

何故かとても「良く喋る猫」になっていた。





※イラストは大好きな和田誠さん風にペンタブで描いてみました。
  尚人の写真が夜遅くて撮れなかったもので…すいません。






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チビの変貌

2008-09-05 | 『尚人・直人・チビ』

日中、買い物へ出た。

うす曇の天気だったが、傘は持たずに。

いつもの公園で『直人』達に会えるかと思って

寄ってみた。




誰も居ない。




諦めて帰ろうとしたら駐輪場の自転車の籠から物音がする。

覗き込むと『』が寝起きの顔でこっちを見ていた。

すると、駐輪場の横の木から『チビ』が駆け下りて来た。

「何だ、そこに居たのか」

懐こくなった『柚』の頭を撫でていると

足元に『チビ』がまとわり付いて来た。





珍しい事もあるもんだ。

嬉しくなって暫く遊んでいると雨が降り出した。

駐輪場には屋根があるので、雨宿りは出来るが

いつまでもその場に居る訳にもいかず、

もう少し雨が弱くなってから…と思って『チビ』と遊ぶ。

一向に止む気配の無い雨はどんどん強さを増して行く。

雨の強さに比例する様に『チビ』のグルグルが加速する。

まるで「雨なのに来てくれて有難うね。」って

必死で言ってるみたいだ。

今まで近付こうものなら「シャーシャー」威嚇していたのに

どうしたものかと思っていた。





今になって思えば、あの日を最後に『柚』は公園から居なくなった。

『チビ』も淋しかったんだと思う。

猫なりに、『柚』を連れて行く気配を感じたんだろう。

そう思うと、何だか足元の『チビ』が切なく思えた。




変化は『チビ』だけじゃない。

『直人』も以前は『チビ』や『柚』が近付こうものならば

「シャーシャー」言っては威嚇し合って決っして仲良くはなかった。

それなのに、今ではお互いの存在を認めているようだ。

『チビ』が近寄っても威嚇しなくなった。




新参者の頃は仲良くなくても、同じ釜の飯を食べ

次第に気心も知れて仲良くなるのは人も同じ。

だから、いつも別れは悲しいのだ。

人も猫も。








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新 顔

2008-04-18 | 『尚人・直人・チビ』

久し振りに『尚人』と『直人』の所へ行ってみた。

あの「巌窟王」事件以来、なかなか行けなかったので心配はしていたが

獣看護学生の友人からその後の様子を聞いていた。

二匹とも、無事とのだった。

ふらりと、いつもの駐輪場から公園に向かう。

すると遠くに『直人』か『尚人』らしきキジトラが見えた。

駐輪場横に止めてある大きなバイクのカバーの影からこっちを伺っている。

その傍から小さな小さな新顔を発見。

手のひらに乗りそうな小さなボブテイルで雌の白茶のブチ猫。

ビックリ顔でこっちを見ている。



「にゃぁ~~にゃぁぁ~」

体に似合わず、嗄れた大きな声で鳴く。

撮影料をあげても、カリカリはお気に召さないのか

まったく口を付けないが、

それを無視して『尚人』と『直人』はモリモリ食べている。

『直人』は近くで、『尚人』は少し離れた所で。




やはり、あの事件後『尚人』の中で何か変化があったみたいだ。

ボブテイルの『ちび』は、

キジトラの丸い背中二つと不信人物(私)を交互に眺めながら、

少し離れた所から、不満一杯の嗄れた声で鳴いている。



私が帰ろうとすると、いつもの様に『尚人』も『直人』も見送りに付いてくる。

新顔の『ちび』もおずおずと影の様に付いて来た。

『尚人』が近付く『ちび』に「シャーッ」と威嚇の声を出す。

ビビリ気味の『ちび』は蹲った。



もしかしたら、

この小さな猫は『尚人』の恐怖から生まれた猫かもしれない…と

何となくだが、ふと思った。






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巌窟王

2008-02-01 | 『尚人・直人・チビ』


一週間前に公園へ行った時、『直人』が駐輪場で蹲っていたので暫く一緒に遊んでいると、

何処から見ていたのか「私も入れて!」とばかりに『茜』がやって来た。

でも、いつも懐こい『尚人』の姿が見えなかった。



また一週間が過ぎて、同じ道を通って買い物へ行った。

公園へ差し掛かると、『直人』が訳知り顔で私の前を横切った。

後を追うと、何処から聞こえるのか猫の鳴き声がする。

そこには、団地の通風孔に迷い込んで出られなくなった『尚人』がいた。

暗闇の中から『尚人』は必死にSOSを発していた。

鉄格子の隙間に、誰かが猫缶を押し込んだ後が残っていて少し安心した。

持っていたドライフードを隙間から指で摘んで一個一個押し込んでやる。

慌てて食いつく『尚人』に指ごと噛み付かれたりした。

噛まれた指よりも、胸が痛かった。

一体何時からここに居るのだろう…

急いで友人にメールで応援を頼む。 「面影」に登場した獣看護学生の彼女だ。

直ぐに返信が入り、翌日は雨の中、二人でご飯を食べさせた。

明日は学校が休みなので、彼女が様子を見に行ってくれるとの事。

そして翌日には団地住人の連絡で、公団と業者の方が来て鉄格子を切り、

『尚人』を出してくれたと彼女からの報告が入った。



人の勝手で拾われては、また捨てられて、

寒さしのぎに入り込んだ先は、出口の無い牢獄。

それでも鳴き続けた『尚人』は今、自由を謳歌し元気に走り回っている。



親友の手による冤罪で牢獄へ送られたエドモン=ダンテスは、復讐の旅へ出た。

猫もいつか復讐の旅に出るのだろうか。


 ←「復讐するは、我にあり…」と静かに唱えて、ここをクリックしときましょう。


















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家族模様

2008-01-06 | 『尚人・直人・チビ』

『茜』が子猫を産んだ。全部で四匹。

生後一週間経たないうちに、団地の子供達が次々と四匹共、バラバラに連れて行った。

公園では『茜』が悲しそうな声で鳴いて子猫を探して歩き回っていた。

『小鉄』は『茜』に振られたのか、子猫が産まれた頃に『ボス猫』に威嚇されて

公園から川沿いに住みかを移した。




久しぶりに公園へ行くと、『茜』に良く似た子猫が二匹いた。

白の入っていないキジトラの兄弟猫、『尚人』と『直人』。

一時拾われた子猫が公園に戻されたのか、『茜』が直ぐに二匹を産んだのかは判らない。

でも、明らかに『茜』の子だ。

ふと、振り向くと『ボス猫』じゃない雄猫がいる。

『茜』の好みは、イケメン青二才よりも、ちょい不良オヤジの様で、かなり年期の入った野良だ。

私が子猫にあげた餌を、独り占めしてもりもり食べている。

つまり、『茜』は若くして「×2・子連れ」で再婚を果たしたのだ。

第二の『ボス猫』が餌を食べ終えると『尚人』と『直人』は奪い合う様に餌に食いついた。

『尚人』の方が人懐こい少し大柄な兄で、『直人』はシャイで小柄な弟と言った所か。

横から、弟が餌に口を付けようとすると、

兄が「俺が先だ」と言わんばかりに弟の額に猫パンチ

……いつでも、兄弟喧嘩は些細な事で始まる。


   人も猫も、家族模様は様々だ。


子供達が巣立って行けば、又公園に違う猫が住むかもしれない。


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