その日、買い物に出た私は何かの視線を感じて
顔を上げた。
案の定、塀の上に見慣れない茶トラの可愛い雄猫が居た。
その塀は背の低い私が背伸びをしてやっと
掌が塀の上に届く程度の高さにある。
目が合った私に警戒しているのか
自分が逃げる距離を計りながらきびすを返した。
(勿論、私が必死で追っても追えない位置にあるのだが)
その塀の上は良く『白石さん』が常駐している事もあり、
猫の通り道になっている様子だ。
時間もあったし、少しでも仲良くなりたい私は
常備している撮影料を先払いで塀の上に献上してみた。
が、茶トラくんは気難しく、良い匂いのする撮影料には
目もくれず、今来た塀の上をきびすを返して行ってしまった。
翌日、日も暮れかかった夕方
その道を通ると塀の上に猫の光る目とシルエットが見えた。
又、あの茶トラくんかもしくは『白石さん』かな?と思って
近付くと『灰縞さん』だった。
彼は、前日に茶トラが忘れて行った撮影料をちゃっかり平らげ
ついでにココで待っていれば私に会えると思ったのか
ワクワクしながら待ち伏せていた様だ。
不思議なもので、私は人に脅かされる時に
脅かそうとしている人がワクワクして隠れている気配に
直ぐに気付いてしまう事がある。
所謂、「勘」って奴かも知れないが
女の勘よりも、野生の勘に近いものだ。
脅かそうとしている人からは
ちっとも面白くもない奴だが、猫の気配を探す時には
意外と役に立っている。
人も猫も同じなのだ。
「ワクワクの気配」って奴は。
雄の方が気持ちの波動が大きいから直ぐに解かるみたいだ。
だからかも知れないが、
白い刺客、『白石さん』(雌)にいつも闇討ちに遭っている。
昨日は44位

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