+20

Real Jeans & McCOYSTA Millennium Special

今週の一枚:「Country Songs and Tunes with Autoharp」

2007年10月29日 | Fuku-music
【Fuku】

今週の一枚:「Country Songs and Tunes with Autoharp」Kilby Snow

今回は珍しく日本ではあまり知られていないけど、アメリカの庶民には昔からよく知られた楽器"オートハープ"のみの珍しい音源をご紹介。
オートハープというのは弦楽器の一種で、「共鳴箱・操作板・弦を持つ楽器をハープと分類する」とする大きな分類法ではハープに属します。でも楽器としてはハープというよりもチターに似ていて、ボディ全体が共鳴箱となっておりその上に36本の約3オクターブ半の弦が張ってあります。楽器中央から下の部分に、左右に渡り21本もしくは15本のコードバーが取付けてあり、コードバーにはそれぞれコードボタンが付いています。
コードボタンを押すことによって、36本の弦の中から自動的に和音の構成音を選択出来る仕組みになっており、1本のコードバーで1つの和音を弾くことができます。このことからコードボタンさえ押えれば容易にコード(和音)を弾くことが出来る画期的な楽器として100年以上前からEZ-Play (Easy to Play)という売り文句で数多く販売されてきました。

もともとはドイツからアメリカへ移民した方が現在のオートハープの原型を作ったといわれており、アメリカの庶民が容易に楽しめるリズム楽器として普及して、特に北アパラチア地方やテキサス、フィラデルフィアをはじめとする東部地域で広く普及し、最も有名なのは、The Original Carter Familyの"Mother" Maybelle Carter と Sara Carter によって使用され、1930年代に急速にポピュラーになったことはよく知られています。

オートハープはそのまま弾いたのでは単なるリズムを刻む楽器としてしか使えないのですが、そこは奏法を工夫することによって、和音と同時に一弦を刻んでリードをとるなどの高度なテクニックが生まれて、重なる音のバランスや、リズムとメロディー、高音部と低音部の使いこなし、バックアップのスーパーピッキングから、身震いするような滑らかでシンプルなストロークなどの本格奏法をアメリカの庶民達は競って学んで、其の中から所謂達人的な驚異的な演奏者が数人生まれました。主にブルーグラスとかオールドタイム・ミュージックの世界でのオートハープ奏者としては、ここに取り上げた"Kilby Snow"と"Earnest V Stoneman"という二人の巨匠がいて、それぞれ素晴らしいオートハープのソロのレコーディングを残しています。

今回取り上げたのは、前回紹介したMike SeegerがKilby Snowを自宅に訪ねて宅録した貴重な音源で、既に晩年を迎えていたKilby Snowの熟練された素晴らしい演奏を聴くことができます。

オートハープは、メロディ・リズム・ハーモニーを一台でこなせるコンパクトな楽器のひとつで大変魅力のある楽器ですが、アレンジやフレージング、強弱などは個々により様々な表現が可能で、その独創的な表現はオートハープ固有の音楽の幅を広げます。秋の夜長にロッキングチェアにでも揺られて聴いてみたい音、たまにはこういうのもいいですね。

1 Molly Hare
2 Greenback Dollar
3 Wind and Rain
4 Budded Roses
5 Sourwood Mountain
6 The Cannonball
7 Mean Women
8 The Road That's Walked by Fools
9 Autoharp Special
10 I Will Arise
11 The Old Crossroads
12 No Tears in Heaven
13 Lonely Tombs
14 Flop Eared Mule
15 'Round Town Girls
16 Two-Timing Blues
17 Woodrow for President
18 Shady Grove

Kilby Snow: Country Songs and Tunes with Autoharp

Original:Folkways Records - FW03902 1969
CD-Copyed by Smithsonian Folkways Recordings Archival 2007

最新の画像もっと見る