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今週の一枚:「On the Great Divide」NLCR 1975

2007年07月02日 | Fuku-music
【Fuku】

このコーナーではもう何度も登場しているお馴染みのオールド・タイム・ミュージックの復刻者の第一人者として、アメリカの音楽史にその名を残している"The New Lost City Ramblers(NLCR)"。彼らのアルバムの中でも、これは活動の円熟期に出したやつで、ジャケット写真の素晴らしさとともに、あちらの音楽ジャーナリズムの中では非常に評価が高かった一枚「On the Great Divide」です。

the Great Divideは、よく知られた訳で言うと、「大分水界」。ロッキー山脈のことを指し、the Continental Divideとも言います。太平洋と大西洋への分水嶺を結ぶ線のことで、この線の上にイエローストーン( Yellowstone )、グレイシャー( Glacier), ロッキー山脈( Rocky Mountains ) の3 大国立公園があります。

彼らが歌う「Railroading On the Great Divide」は、Railroadがその上を通り、東部と西部とを結ぶ鉄路が、東から未知なる西部へと冒険と野心を持った人々が次々にロッキーを越えて、黄金の西部を目指した、という曲で、その一節をそのままアルバムタイトルにしたこのアルバムには、彼らのそれまでの17年に及ぶ活動の集大成ともいうべき珠玉の作品が並んでいます。

最初の力強いハンマーダルシマーとフィドル、バンジョーのハーモニーが美しい"John Brown's Dream."、John Cohenの響くような低音のヴォイスと力強いバンジョーが唸る"Walking Boss,"、無伴奏でTracyが朗々と歌う風刺ソング"A Night at the Country Opera"、ケイジャン・アコーディオンが楽しく弾む"La Valse Des Bambocheurs "、最後にMikeのフィドルが炸裂する"Cotton Eyed Joe"までの18曲。1920~30年代のアメリカの庶民の音楽の集大成。Russel Leeのなんともアジわいのあるアメリカ30年代の庶民の生活を切り取ったアルバムジャケットも秀逸です。

このアルバムの後、彼らは所謂表舞台から退き、それぞれのソロとしての活動に重点を移していきます。彼らのフェイドアウトは、当時のアメリカの音楽事情から考えても仕方ないことだったのでは、と思います。ただ、彼らは元々は本業あってのグループ活動でしたから、裏に引っ込んでも地道に活動を続けていき、1990年代には日本にフラッとやってきた小さなコーヒーハウスで演奏して、日本の古くからのファンが涙したことは有名な話です。

On the Great Divide  The New Lost City Ramblers

side A
1 John Brown's Dream
2 Old Johnny Booker Won't Do
3 Railroading On the Great Divide
4 Love of Polly and Jack Monroe
5 Walking Boss
6 Who Killed Poor Robin
7 The Old Man at the Mill
8 On Our Turpentine Farm
9 Little Satchel
side B
1 Dry and Dusty
2 If the River Was Whiskey
3 Come All You Tender Hearted
4 The Time's Been Swiftly Rolling By
5 There's Coming a Time
6 A Night at the Country Opera
7 Hawkins Rag
8 La Valse Des Bambocheurs
9 Cotton Eyed Joe

Folkways Records - FW31041 1975