空に向かって
蝶は 飛んでいるのだ
窓の向こうの空へ行こうと
飛んでいるのだ
空を信じて
飛んでいるのだ
指紋のついた空を 空と想う蝶よ・・・
死にかけの太陽から剥がれ落ちた 網膜のように
はめ殺しの水晶体に
カラカラ 影を飛翔させる蝶よ
花びらの炸裂(さくれつ)を飛びわたり
求める思いを 蘂(しべ)の柱へ向けて 発信し
ねじれて行く風の道筋に
おまえの符号の明滅を残し
おまえの心は必ず、
冬を突き抜ける!
さぁ、今、
亜熱帯の海を渡れ!
そこにはギザギザの大空が
おまえを待ちうけて
どこまでも どこまでも
黙ったままで
浮いている