りおんの本棚 Shoji Rion

庄司利音の作品集 詩とイラストと朗読ライブ

詩 「羽虫の日々」

2017-06-03 13:16:45 | 


下を向いて

下だけを見て 

歩いています

それでも曲がり角は曲がれるし

横断歩道も渡れます



下を向いて

下だけを見て

歩いています

それでも人の話は聞こえるし

聞こえないふりも出来るのです



さして困ることもありません

誰とも眼を合わせずに 一日を生きられます

誰とも関わらず 一日を生きられます



居ても居なくても、おんなじで

だから気が休まります



空は 私の蓋となり

地面は どんどん分厚くなって

もうじき 空と地面に挟まって

私は羽虫のように消えるのです



怒りもなく

妬みもなく


ただ ただ

今を愛おしみ



群れから離れた羽虫の日々は

あかぎれの手をすり合わせるような

そんな乾いた日々なのです



だから私の一日は 

誰よりきっと

穏やかなのです


だから私の一日は 

誰よりきっと

晴れやかなのです


カサカサとした手の平に

ひとしずくの雨粒が落ちました

それは それは

美しいのです