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好事家の世迷言。(初代)

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調べたがり屋の生存報告です。

『尚も生きる。手を取りて』第46話「底知れない相手」

2019-12-11 | ゲームブック二次創作

当たり前のように問われ、反射的に答えようとし、踏みとどまった。
俺は手近な木の枝を拾い、土に文字を書いて示した。

「ガレーキープか。
ザラダン・マーの行く所、残されるのは死と荒廃のみだ。
いっそあの方舟が落ちてくれれば、ザラダンは、あの血に飢えた
軍勢ともども全滅するのだが。
いや、起こり得ない事を言っても仕方ないな。
あの空飛ぶ要塞を、誰かが壊さねばならんのだ。
あの方舟に乗り込む方法ならば知っている。
風が弱まると、ガレーキープはここから西に少し行った地点に着陸する。
そこに行けば乗り込む事が出来る。
君はガレーキープを滅ぼそうとしているんだろう?
奴が天から墜ちて、連中がいなくなってくれればどんなに嬉しい事か。
君の幸運を祈るよ」

見上げたもんだ。よくも、これほど自然に嘘を並べ立てるとは。
俺はおもむろに、例のドリー三姉妹から渡された指輪をつきつけた。
途端、エルフの表情が動いた。
与しやすそうだった態度は消え失せ、眼光は炯々としたそれに変わった。

「ほう……。彼女たちから『真実の指輪』を持たされたか。
ならば私も、礼を尽くさなければならんようだな」

声の調子も、一段低くなっている。
本番は、これからだった。