好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

星新一ショートショート再読。(その40)

2023-11-15 | 星新一ショートショート

『程度の問題』
新潮文庫、番号40、『ボッコちゃん』収録。

分かりにくいたとえになってしまうが、『かまいたちの夜2』の「わらび唄」と話の流れが似ている。少なくとも表面上は。
あちらの話では、主人公は何度も何度も殺人事件の惨劇を体験したループ記憶に振り回された結果、旅程の当初から警戒心マックスで挑むが、その時の旅に限って何も起こらず、主人公は空回りしまくってしまう、という流れになる。

翻って、この『程度の問題』の主人公は、一般人でなくスパイであり、確かに周りに対して警戒心マックスで挑むべき立場ではある。
しかし、それで空回りするのは、一般人だから許せるわけで。
曲がりなりにもスパイである以上、そもそも目立ちまくっちゃいけないのである。

このスパイのあらゆる行動は、あつものに懲りて膾を吹く、というより凍らせる勢い。
石橋を叩いて渡らない、どころか、木っ端みじんに爆破しかねない。
これじゃ埒が開かないと、別のスパイが派遣されるが、そいつもそいつで、またどうしようもない。
スパイじゃない一般人でも早晩、シャレにならない事態になるだろう。
現代人なら間違いなく詐欺に遭う。

ところで、危険な相手と飲み交わす時、相手の飲み物とすり替えて飲むって場面、フィクションで結構見るが、私としてはあまり有効とも思えない。
すり替えるのを、敵が初めから計算に入れてたら無意味だ。
まず、自分の飲み物から目を離すのが良くないし、それに、相手から出された飲み物にはやっぱり警戒した方が……いやいや……ぐるぐる……。

まあ、詰まるところ、何事も程々が一番って話です。

それでは。また次回。


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