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好事家の世迷言。(初代)

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調べたがり屋の生存報告です。

二つの館が重なる瞬間(とき)に。

2017-01-09 | その他ミステリ
『ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会 流氷館へ』(by霧舎巧)、読了。

もう、10年以上は昔の話。
知人から貸されたミステリが、どうにもこうにも性に合わなかった。
感想を正直に述べたら激昂された。
それが、霧舎氏の或る一作だった。

時は流れて。
良作の評判を聞いたから、覚悟して『ドッペル~』を読んでみた。

確かに、ミステリ好きなら損のない内容だった。
もしも、この『ドッペル~』を先に貸してもらってたら、
霧舎作品への我が印象は180度、プラスの方向へ違っていただろう。

かつての怪事件をきっかけに創られた、大学生たちの謎解きサークルが、
またも殺人事件に巻き込まれる。(因みに舞台は千葉県)
2ヶ所に分断されたサークルメンバー達は、異なる場所に建つ似通った館での謎に挑む。

登場人物が機械的にどんどん死んでいくのは、良くも悪くも本格路線。
だが、残酷な事件に対し、サークルメンバーの探偵役たちは
最後まで真剣に取り組み、そして日常へ帰っていく。
まさか、こんな熱い正統派を書ける作者だったとは。

ところで本作、頭木保という高校生が登場する。
事件からは蚊帳の外へ出されてしまった不運な彼は、
結局どれくらいの頭脳を持っていたのか。
彼の本来の活躍を、いつか知りたい。

それでは。また次回。