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好事家の世迷言。(初代)

※はてなブログ『好事家の世迷言。(続)』へ移転計画中。

調べたがり屋の生存報告です。

世紀末のスパイ事情。(その2)

2019-04-21 | 物語全般

 映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のDVDを見る。

先にネタバラシ。
神谷明氏が、主役のブロスナン氏に声を当てているのは、
『ゴールデン・アイ』と『トゥモロー・ネバー・ダイ』の2作品まで。
というのは、『トゥモロー~』は1999年作であり、これ以降は、
言いたくないあのゴタゴタの時代に入ってしまうためだ。
失われた20年間の影響は、こんな所にまで飛び火してるわけです。

閑話休題。
本作で007は、世界を支配しようとするメディア王と対決する。
英国と中国の戦争を回避するため、
48時間以内に、ねつ造事件の証拠を探す事になる。

ところで007シリーズでは、いわゆるボンドガールは外せない。
基本は、ボンドに全力で守られるゲストヒロイン。
だが本作のボンドガールは、守られる姫じゃない。
中国政府エージェントの彼女は、ボンドと対等に居並ぶ相棒(バディ)ポジションなのだ。
ある理由から、二人がかりでバイクを華麗に運転する姿は必見である。

最後に、個人的な萌えポイント。
武器庫で最新のワルサーを見つけて、
「これ欲しかったんだ」と目を輝かせるボンドさん、いいなあ。

それでは。また次回。


世紀末のスパイ事情。(その1)

2019-04-17 | 物語全般

映画『007 ゴールデン・アイ』のDVDを見る。

思い返せば、私が人生で初めて見た「007」映画がコレだった。
つまり今回見たのは2回目。
まさか、これを再び見ようと思える日が来ようとは。理由は最後に書きます。

本作の時代は1995年。
東西冷戦も終わり、既に「スパイ」の存在意義そのものが、変わりつつある時代。
007の上司「M」が女性になっている点もその一環。
そして、そう、当時はまさにインターネットの黎明期である。

世界を思うままに消去できるプログラムを巡って、
007は悪の組織「ヤヌス」のボスと戦い抜く。

序盤こそ、カジノのバカラではったりかましたりするなど優雅だが、その後はとにかく動く動く。
乗り物に乗りまくり、そんでもって壊れ(or壊し)まくる。飛行機しかり、列車しかり。
一番派手なの、は敢えて伏せておこう。
アレはセビロのにーちゃんが運転?する物じゃないでしょうよ。

敵となる女も強烈。いわゆる房中術の使い手と思わせて、何なんだあのカニバサミ攻撃は。
念のため言いますが、本来のボンドガールにあたるヒロインは、ちゃんといます。
一生懸命頑張るプログラマーさんですあしからず。

日頃、洋画は必ず字幕で見る私だが、本作は字幕と吹き替えの両方を味わった。
何故なら、007を演じるピアス=ブロスナン氏は、神谷明氏のほぼ唯一の当て役だから。
あの声で、「前戯は終わりだ」とか言うんですよマジで。(←全部台無しの感想)

それでは。また次回。


少女と鼠のコンビネーション。(その3)

2019-04-15 | 物語全般

『マルドゥック・スクランブル』第3部「排気」(by冲方丁)、読了。

200ページ強の内、前半100ページ強が、
カジノのブラックジャックに費やされる。
これって『カイジ』とかの博打ものだったっけ?

目的はチップ4枚を集める事なんだが、
読んでてどうも、緊迫感を持てない。
日頃のゲームに例えるなら、
攻略本を見ながら、LEVEL99にチートした主人公を使って、
ただ固くて大きいラスボスに、廃人プレイめいた作業をやってる人を、
横から眺めてるみたいな気持ち。

そんなカジノの場面終わった頃には、読んでて疲労困憊。
残るページは思考停止のまま、気力だけでページをめくり続けた。
というのも、物語の核心もまた、
未成年への性的虐待に満ち満ちており、
私としては、個人的生理的嫌悪感がひどい。
もうこの作者の作品には手を出さないだろう。

それでは。また次回。


少女と鼠のコンビネーション。(その2)

2019-04-12 | 物語全般

『マルドゥック・スクランブル』第2部「燃焼」(by冲方丁)、読了。

クリフハンガーを超えて、舞台が移る。

登場人物たちの研究保護施設で、ウフコックは治療され、
バロットはデータベースにアクセスして、
カジノディーラー・シェルの記憶について調べる。

ウフコックがバロットの呼びかけに答えなくなった原因は、
あくまでウフコックの精神面にあったようで。
私としてはもっと具体的な理由があるとてっきり思っていたため、
実のところ拍子抜けした。

その後、ドンパチ続きだった展開が、大きく変わる。
シェルの記憶が収められているカジノチップを手に入れるために、
バロット達はひたすら博打を極めるのだ。

約200ページの内、後半の何と100ページが、そのカジノの話題で占められている。
スロット→ポーカー→バカラ→ルーレット、
そして本星とされるブラックジャックが始まったと思ったら、
すぐに第2部完。だから中途半(略

それでは。また次回。


少女と鼠のコンビネーション。(その1)

2019-04-07 | 物語全般

『マルドゥック・スクランブル』第1部「圧縮」(by冲方丁)、読了。

自分に合わなかった作品を読んだ時、もう1作品だけ読んでみるのが我が信条。
2冊目が好みだったりする事もあるのです(例えば霧舎巧がこのパターン)

アニメ映画化もされていたのも目にしており、いつかは読もうと思いつつ先延ばしにしていた。
というのもこの作品、元は文庫3冊に及ぶ長編。
私が読んだのは、その3冊の合本。
1段組ハードカバー全638ページ
「冊」というより「箱」である。

それで第1部を(約200ページ)を読んでみて、今のところ……やっぱり相性があまり合わない。
とにかく、文章が長い。主人公の少女・バロットの設定も、読んでて辛い。
生まれてから15年、父を皮切りの性的虐待漬け。
そのバロットと、物理法則を超えるネズミ・ウフコックが組んで戦う。
そして、敵(かたき)との戦いの真っ最中で第1部完となって唖然となった。
いわゆるクリフハンガーにしても。中途半端じゃないですか?

乗りかかった船、読みかけた本は基本的に終わらせます。

それでは。また次回。


映画史上最強人類の内の一人。

2019-03-30 | 物語全般

映画『コマンドー』のDVDを見る。

動機は不純。
とある動画で見かけたネタ「来いよベネット!」の出典を知りたかったから。

ストーリーは単純明快。
凄腕の元兵士であるジョン=メイトリクスの娘、ジェニーがさらわれた。
メイトリクスは娘を取り返すべく、再び銃を取る、わけだが。
感想は、「とにかくメイトリクスが凄い」の一言に尽きる。だってコレなんだもの。

・エンジンの破壊された車を押して走らせる。
・その車を坂道へ落として乗って走る。
・離陸し始めてる飛行機から途中下車。
・乗せてもらった車の座席を引っぺがす。
・電話ボックスを持ち上げて振って破壊。
・ショッピングモールの吹き抜けを、飾り風船を使って振り子移動。
・横倒しになった車をもう一回倒して元に戻す。
・フェンスの扉の南京錠を、付けてる鎖ごと破壊。
・閉まってる武器店に重機で突撃、得物を調達。
・ゴムボートwith武器一式を一人でオールで漕いで移動。
・時限爆弾を仕掛けまくってアジトを壊滅。
・ラスボスたるベネットに(ネタバレ防止)。
・他にも、カーチェイス、銃撃、格闘、そして斥候もお手の物。

更に、脇を固める女性キャラ達も素敵すぎ。
事件に巻き込まれた、習い事好きのシンディさん。
試しに撃ったロケットランチャーが逆向きだったりしてもめげない。
娘さんのジェニーも捕まってるだけじゃない、何と自力で逃げ出す度量。
(↑どー見ても小学生くらいの子です)

なるほどこれなら、テレビ放映で実況が盛り上がるのも納得。
王道のアクションに浸れる傑作です。

それでは。また次回。


不撓不屈ヒーロー!

2019-03-23 | 物語全般
映画『キャプテン・マーベル』を劇場へ見に行く。

この時期の本来の本命、だった。
字幕上映を逃がさなくて良かった。
あのMARVELロゴ表示をリアルタイムで見れて良かった。

内容についての感想を率直に言いますと。

「マリアさんが出てきた時から俄然おもしろくなった!」

というのは、この作品、途中までは話の流れをつかみにくい。
主人公のヴァースを含め、主な登場人物の誰を信じて感情移入すればいいか
分からない、ある種のミステリ仕立てになってるためだ。
繰り返し見る事を求められてるように感じる。
それに、物語の序盤は異星が舞台のため、
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』関連を知らないと厳しいかもしれない。

だが、ヴァースの過去を知る人物・マリアが出てきた頃を境に、
誰が味方か誰が敵か、するすると謎が解き明かされていく。
その後は、決して諦めないヒーロー、キャプテン・マーベルの本領発揮。
予告通り、戦いに勝つのでなく、戦いを終わらせるための、文句なしの強さを魅せてくれる。
ロナンが撃つミサイルの雨を前にしても動じない。

そう。強大にして圧倒的な敵を、ただ一発の攻撃で殲滅するってのは、
神代から続く様式美なんだよなあ……。

さて。これで、『エンドゲーム』を見る準備は整った。
GWの時期は、4DやIMAXや、あれこれに手を出してみたい。
今年は映画を浴びるような年になりそうだ。

それでは。また次回。

筒井康隆自選短篇集(2)、雑感。

2019-03-15 | 物語全般
『怪物たちの夜』(by筒井康隆)、読了。

徳間文庫の「筒井康隆自選短篇集(2)」。

ショートショート全62篇。主に1960年代の作品群。

他の機会で読んだことのある作品をちらほら見かけた。
作品数の多い作家さんだと、こういうダブリ現象が結構起こる。
昔、星新一作品の時もこうだったっけ。
と言いますか、この本自体、全く同じタイトルの別作品(『差別』)が2つ入ってて
笑ってしまった。

表題の『怪物たちの夜』は、発表当時だからこそ書けた作品だろう。
あの頃は本当に、放射線は何でも起こせると思われてる。

『ヒッピー』も時代性を感じる。
当時の役所は、今よりずっと尊大な態度だったわけだ。

『にぎやかな未来』は、来世紀への予言めいた印象。
今の街には確かに、モニターなどからのCMが溢れ返ってる。

個人的に気に入ったのは『ブロークン・ハート』。
たぶん私は、こういう幻想的な短編が好みなんだと思う。

それでは。また次回。

筒井康隆自選短篇集(1)、雑感。

2019-03-09 | 物語全般
『近所迷惑』(by筒井康隆)、読了。

徳間文庫の「筒井康隆自選短篇集(1)」。
本命の短篇小説を読むにあたって、
いっそ全巻読んでやれと思い立った。

全9話収録。1966~86年の作品群。


肝心の(?)場面が全部伏せ字の『弁天さま』。
脳内会議を社内に見立てた『欠陥バスの突撃』。
小説家が自作を売りたくて死のうと思い詰める『自殺悲願』。
進学を巡る大学VS予備校の戦乱の『慶安大変記』
誰もが簡単に核ミサイルを買える未来の『アフリカの爆弾』。

といった辺りが印象に残った順。

因みに表題の『近所迷惑』は、他の多元宇宙のトラブルに巻き込まれ、
要するに世界中に制御不能の「どこでもドア」が開いちゃった、
みたいな話でした。

自作解題にあった『ホンキイ・トンク』や
『断末魔酔狂地獄』も読んでみたくなった。探さないと。

それでは。また次回。

ベアトリーチェとの旅・本家解説書。

2019-02-02 | 物語全般
『やさしいダンテ〈神曲〉』(by阿刀田高)、読了。

全く別の作品で、ベアトリーチェが云々って読んでる以上、
本来の『神曲』も知っておくべきと考えて、図書館で借りる。

思索の森に迷ったダンテは、
詩人ウェルギリウスと共に地獄から煉獄へ、
そして淑女ベアトリーチェと共に天国を旅する。

その本質は、政治も宗教も乱れたフィレンツェに対する嘆きを、
彼岸旅行記の形でまとめた作品と私は解釈した。

驚いたのは、史実においてダンテは、
ベアトリーチェとの面識はほぼ皆無だった事。
一方的に恋慕、懸想、果てに神格化って流れに絶句した。
現代だったら危ないところだと思うダンテ。

なお、余談ながら、天国の場所たちには名前があって、
「月光天」→「水星天」→「金星天」→「太陽天」→「火星天」→
「木星天」→「土星天」→「恒星天」→「原動天」と続いていくそうな。

それでは。また次回。