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好事家の世迷言。(初代)

※はてなブログ『好事家の世迷言。(続)』へ移転計画中。

調べたがり屋の生存報告です。

願いを叶える「人間」たちの物語。

2019-06-16 | 物語全般

実写版映画『アラジン』を劇場へ見に行く。

字幕にするか吹替にするか直前まで迷って、最終結論は吹替。
一緒に見た仲間内には、「日本語の方が分かりやすいものね」と
猫かぶったが、本心は無論、「山寺さんの無双ぶりを聴きたいから」。
結論を言えば、予想を超えた感激が待ってましたとも。

ストーリーは、アニメ版とほぼ同じ。
魔神ジーニーに願いを叶えてもらうアラジンの物語。
人の価値は肩書きのみならず、心の強さで決まるというテーマは、
やはり胸が熱くなる、

と、ここで、この度の映画ならではの特徴を挙げておきたい、
それは、実写ゆえに「人間」がジーニーを演じている事。
自由になりたいという願いはアニメ版と同じでも、
そこに更に「普通の人間になりたい」という願いが重なる。
王女ジャスミンの侍女・ダリアとの絡みに何度も微笑ましくなり、
そして最後、伏線が収斂したと気づいた瞬間の感動たるや。
本作は冒頭から既にクライマックスだったと思い知った。

緋色の鳥(と私は呼ぶ)ことイアーゴも印象に残る。
ほとんど主人に素直に従い、独自のお喋りがないのは
正直なところ寂しかったが、後半のあの巨大化パワーアップは迫力満点。
私の中の、SCP-444-jpの外見イメージはアレで決まりだ(笑)。

後日、キネマ旬報シアター辺りで音感上映やってもらえないだろうか。
あの歌声を含む音響を、よりハイレベルの環境で聴きたくてならない。
何度も言うが、今年は本当に、映画が豊作です。

それでは。また次回。


人類総評論家時代、の話。

2019-06-09 | 物語全般

『俗物図鑑』(by筒井康隆)、読了。

今までバラバラに読んできた筒井作品を、
そろそろ順番に制覇しようという目論見。
冊数の多い新潮文庫を目標に。
因みに、10代の頃に星新一作品で同じ事をして、
ショートショートはほぼ全作品読んだ。

本作は、昭和47年作。
『48億の妄想』から続く系譜。
国民総発信時代となった世の中で、
評論家を名乗る人々とマスコミとが、弄び弄ばれる物語。
最後は自衛隊との戦争になるのは、
東大紛争やあさま山荘事件などの当時の事件つながりか、
それとも筒井作品の常というべきか。

善悪の基準はどこにあるか?など、考えさせる面も多いが……
他人にオススメ出来る本とは言い難い。
少なくとも、食事の前後には読めない。

ところで、自分だったら、果たしてどんな評論家になれるだろう。
本を1冊書けるだけの論を持ってる、という条件はなかなか厳しい。
私の場合は、例えば忘れ物の評論家なら、なれるかなあ、なんて。

それでは。また次回。


TV番組に世間は踊る。今も昔も。

2019-06-06 | 物語全般

『バトルランナー』(byスティーヴン=キング)、読了。

当初は映画版を見る予定だったが、原作があると知ったため、小説を優先。
因みに1982年作。

発表当時は、「リチャード・バックマン」という、
スティーブン・キングの別名義だったそうで。

物語の流れはシンプル。
公害で汚染され、階級で区別されるディストピアが舞台。
人々は「フリテレ」と呼ばれるTV番組に心を支配されている。
当然ながら、『1984』『華氏451度』を連想させる世界観。
あるいは、漫画の『国民クイズ』も近いか。

主人公は家族を救い、養う手段として、TV番組の挑戦者として志願。
あらゆる人から追われ狙われる「ランニング・マン」に挑戦する事になる。

昨今は、TVが娯楽の中心ではなくなりつつあるが、
インターネットの動画配信あたりに置き換えれば、今でも成り立つ内容に思う。
マスコミは事実を偏向して報道する傾向がある事や、
しかしその報道の通りに大衆が動くと限らないという事は、
1980年代の発表当時、こうして既に語られているわけで。
情報番組などの内容を鵜呑みにしてはいけないし、
かと言って全部否定するのも、私としてはちょっと違う。
見聞きした事柄を、自分なりに調べ直して考えるのが、大切なんじゃないかな。

ところで、この原作小説と、アーノルド=シュワルツネッガー氏主演の
映画とでは結末が異なるそうなので、
やはりいつかは映画版も見る必要があるだろう、と覚書。

それでは。また次回。


筒井康隆自選短篇集(6)、雑感。

2019-06-02 | 物語全般

『わが愛の税務署』(by筒井康隆)、読了。

徳間文庫の「筒井康隆自選短篇集(6)」。
全8話収録。1960~70年代の作品群。

現実に近い世界観の作品たちは、色んな意味で苦手だ。
たぶん私は、NHK、それから北朝鮮などのテーマを、
フィクションの舞台装置と割り切って楽しめないんだと思う。

塾通いの過激化をTV番組の形で描く『廃塾令』は、
現代でも通じるネタかもしれない。

『旗色不鮮明』は明らかに飛び抜けて、時代を先取りしすぎて舌を巻く。
現代21世紀の最先端、「ウォークアウェイ」の考えがテーマだ。

唯一、気軽に読めたのは『融合家族』。
作者が実際に書いたという家屋の設計図を見てみたい。
見たところで私ごときにはサッパリ分からないんだろうけど(苦笑)。

それでは。また次回。


筒井康隆自選短篇集(5)、雑感。

2019-05-30 | 物語全般

『カメロイド文部省』(by筒井康隆)、読了。

徳間文庫の「筒井康隆自選短篇集(5)」。

全12話収録。
主に1960年代の作品群。

この本を読み終えるのは速かった。
図書館で他の本を借りる際、ちょこちょこ閲覧してたためだ。
つまり、気軽に読みやすい話が揃っている。
以前読んだ、『たぬきの方程式』も収録されている。

印象に残っているのは『底流』。
心の動きを文字で書ききる描写は、
七瀬シリーズのパイロット版とも言える。

個人的に好きなのは、『マグロマル』。
色んな宇宙人たちが会議しまくってる(だけの)話。
『幻想の未来』のバリバリさんが顔出ししている。

そして。外したいけど外せない作品。『最高級有機肥料』。
心を無にしないと読めない怪作。
凄いとしか言えません。

それでは。また次回。


ヒーロー達の一時代、堂々完結。

2019-05-20 | 物語全般

映画『アベンジャーズ エンドゲーム』を劇場へ見に行く。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の、記念すべき完結編。
このように定期的に作品を発表し続け、さしたるトラブル見せずに
完走した映画って、歴史上あるんだろうか。
そんな偉業をリアルタイムで体験できた事にまず感謝したい。

ただし。シリーズを全く未見の方に申し上げたい。
ファンとしては、どうか今作を最初に見ないでほしいと。
時流に乗り遅れて構わないから、少なくとも『アベンジャーズ』と
銘打たれてる過去3作だけは見てほしいし、
出来ればキャラ全員に思い入れを持ってからにしてほしいかなと。
今作は、そうやって過去作を見た人へのご褒美とも言えるから。

また、事件解決の方法も、SF好きとしては画期的でワクワクしたが、
人によってはワケ分からんとなる危険性もあるような。
今作を見て疑問を感じた方は、『アントマン&ワスプ』と、
それから『ドクター・ストレンジ』を確認すれば助けになります。

さて、2回目鑑賞をいつにしよう。
IMAXを見るもよし、それこそ応援上映を狙うもよし。
いずれにせよ新宿TOHOシネマズのお世話になる可能性は高い。
終わった喪失感を埋めるために残してる、
『ディスクウォーズ・アベンジャーズ』の続きも見ないと。

モチロン、他のMARVEL映画も押さえねば。
スパイディと、ダークフェニックスと、それから劇場で見そびれてる作品もあるし。
まだまだこれから、楽しませてもらいます。

それでは。また次回。


筒井康隆自選短篇集(4)、雑感。

2019-05-19 | 物語全般

『睡魔のいる夏』(by筒井康隆)、読了。

徳間文庫の「筒井康隆自選短篇集(4)」。
第3巻は読了済み。

全11話収録。1960年代の作品群。

表題の作品は、とある星での人々が新型爆弾で粛々と滅ぼされる物語。
『渚にて』が、たちまちの内に終わるという感じ。

それで、今こうして読んでいるシリーズの本命、『幻想の未来』をやっと読む。
本の後半、1/2を占めている。

人類滅亡の時から更に更に長い時を経て至る、星の姿。
目に見える物質から離れて生まれる精神文化の成熟。

他の星系からの来訪者たちに、地球の微粒子が
紹介しようとする歴史は、まさに絢爛。
動画で表現されたらどんな形になるだろう。

どんなに時代が進もうとも、異性の恋愛感情は残り、形を変えて続いていく。
最終的には、途方もないスケールのカップリング?が完成する。
もとい、未来に限らず、”彼ら”は常に浸食し合っている。
私たちは、”彼ら”と共に、遺伝子記憶を未来へ残していくのだ。
……なんて壮大な感想をちらと抱いた。

それでは。また次回。


魔法生物 in 科学都市。

2019-05-18 | 物語全般

映画『名探偵ピカチュウ』を劇場へ見に行く。

本当はGW中を狙ったが、あまりに込んでて断念していた。
だが、ミステリ、ライアン=レイノルズ氏、飯豊まりえ氏と
三拍子そろってたら観ないはずがない。
よって、洋画だが敢えて吹替で鑑賞。

結論を言えば、今年の映画において我が最高ランクの傑作だった。
堂々と布石は置かれ、次々に伏線は収斂し、
完全無欠のハッピーエンドが待っている。
悪役はいるが、悪人は結局いない終局もGood。
黒幕が動いてたのも、家族への思いからだったと作中で語られたのは、
温かい気持ちになれた。
もっとも、黒幕が許されるのは、あの世界終焉シナリオが
解決されたからこそですが。

そもそもポケモンなんて分からない……という人こそ、
本作を是非とも観てほしいと願う。
「古くから遍在する魔法生物を科学で制御し、ひいては彼らとの共存を目指す社会」
という世界観は自然に説明され、私たち観客はスムーズに没入できる。
個人的に印象深いのが、冒頭と結尾での、
ポケモンの群れが野鳥として天を舞っている場面。
あれだけで、私たちと理の違う世界が実在してるんだと納得できる。

それにしても、今年の映画は豊作だ。
次こそ『アベンジャーズ エンドゲーム』の時間を作ろう。

それでは。また次回。


科学事件の報告書、という物語。

2019-05-06 | 物語全般

『アンドロメダ病原体』(byマイケル=クライトン)、読了。

SCP関連の話題を読んでいて知ったタイトル。
因みに作者のクライトン氏と言えば、
映画『ジュラシック・パーク』が有名。

墜落した人工衛星に付着していた生命体により、
人々が大量死を迎える。
ただし、生き残った者がいた。
男性2名。かたや御年69歳、かたや生後2ヶ月。
何一つ共通項を見いだせない。

そんな奇妙な現象を調べるため、
国家的機密組織「ワイルドファイア」の科学者たちが集合する。
地下の研究施設は、絶対に汚染されないカンペキなシステムを
誇っている……というのは当然、それが破られる伏線である。

特筆すべきは、これが1969年作、
つまり現実の世間様では月着陸に盛り上がっていただろう頃。
この時点で既に、いわゆるバイオハザードものが専門的に
描かれている事には驚くほかない。
後に調べたところ、映画版もあるそうなので、いつか見ようかと覚書。

それでは。また次回。


続・滅びの世界で時間は閉じる。

2019-04-29 | 物語全般

 映画『ターミネーター2』のDVDを見る。

動機は不純。
動画サイトで見知っていたスピンコックを改めて確認するため。

ただ、そういう事情がなかったら、自ら進んで見る可能性は低かった。
自分としてはこの作品、残酷描写が著しくて。

中でも、機械が人類への攻撃を始める「審判の日」が凄まじい。
人間がフェンスに立った姿勢のまま焼き尽くされ、
骨と化し、その骨も崩れ去って消滅する。

T-800が正体を明かすために人工皮膚を剥がす場面もそうだが、
そんな痛ましい様子が、実にゆっくりと時間をかけて
描かれるから、私は相当の時間を薄目横目で過ごしていた。
戦闘シーンもそう。
T-1000はどれほど破壊されても、ゆっくりと間を空けて修復する。
その修復の様子を見るのがまた、その、私にはまず怖くて。

T-800が、ヒトらしい感情を学習していき、
だからこそ最後に自死を選ぶ姿は悲しくも美しい……のだが、
私にはこのシリーズ、やっぱり相性が合わないかもしれない。
私はいつも、ハッピーエンドを見たいから。

それでは。また次回。