炎と水の物語 2013 Apprehensio ad Ignis et Aquarius.

広大な宇宙を旅する地球。私たちは今、どの辺にいるのでしょう. 

アフリカ向け サツマイモの品種

2006-01-12 | エコロジー
アフリカの飢餓と栄養失調のことが気になる。日本のテレビ番組では、アフリカの野生動物については、毎日のように、何かしら番組が流されているが、そこに住む人々の様子が放映される事は、実にまれである。
今週のNHKの「 週間 国際ニュース 」では、世界で最も寿命の短い国の一つ、ブルキナファソの遊園地の様子が映し出されたが、着飾った子どもたちであった。おそらくは、かの国の極々少数の特権身分の子女であろうか。なんとも、冷血な報道のように感じた。

日本のテレビに映し出されることのない、死に瀕する多くの子供たちの、ビタミンA欠乏を解消するには、やはり、サツマイモが好適ではないだろうかと思う。
サツマイモの土地生産力たるや、小麦の6~10倍はある。
小麦が日本で、10アール当たりの収穫量 500kg程度、米が650kg程度であるのに対して、サツマイモは、3~5トンも採れるのですから、革命的な生産性を備えた作物といえましょう。
アフリカでは、嗜好の違いからベータカロチン入りのサツマ芋が、普及しないのかもしれませんが、世界には、実にさまざまな、サツマイモが栽培されているのは幸いな事です(^^)。

米国農務省 遺伝子データバンクのサツマイモの保存品種 712種を検索してみると、オレンジ色の果肉種が 127種も 見つかる。これらは、ネットリした舌触り( moist )のものと、粉質( dry )のものに分かれる。粉質系のものは、ざっと見ても一割はあります。
こうした豊富な品種から、アフリカの人々の好むタイプの芋を作り出す事は、さほど難しくはないと思われるし、もともと熱帯作物であるサツマイモ,アフリカでは、そのままでもよく育つ可能性も低くはない。

オレンジ色果肉種がすべて、ベータカロチンによる発色ではないので、注意は必要ですが、世界の多様な遺伝子資源をアフリカに送る試みが、もっとなされても良いのではなかろうかと思います。日本のアフリカ在住、海外協力隊員は、アフリカの子供がばたばた死んでゆくところを、伝えている。

ビタミンA欠乏もさることながら、たんぱく質欠乏も実に恐ろしい結果をもたらすようです。「栄養学者は、妊娠後期と出産直後に、カロリーと淡白質が不足すると、脳に取り返しのつかない損傷を受けると警告している。脳細胞が盛んに増殖するこの時期に栄養が不足すると、後になっていくら食べさせられても、手遅れとなるのである。」「・・出産直後にカロリーとたんぱく質が不足して栄養失調になった子供の場合は、500人のうち62%が、IQ80以下だったという....」
"How the Other Half Dies"  Susan George  1977.
『なぜ世界の半分が飢えるのか』 スーザン ジョージ

最近の日本の若者などが、自己矛盾を書き連ねているのを見かけるが、脳細胞の発達期の三歳頃までのあいだに、こうした情況に置かれたのであろうか、と危惧してしまう。


謝意.
アメリカのサツマイモ事情をネットを通して、日本に紹介して下さった Barry Duell さんに、この場を借りてお礼申し上げたい。




-参考-
・サツマイモ、ジャガイモ、オカイモ等についての講義
Tropical Horticulture. Jules Janick. Purdue University. Lecture 28 videoをクリック.


・拙ブログ

George W. Carver  アメリカの青木昆陽

カボチャ、サツマイモと食育教育でアフリカを救おう

日本にあるアフリカ起源の作物  ササゲ

日本の食生活の変化  ビタミンBクライシス


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7 コメント

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Unknown (種子島ブログ)
2006-01-13 17:23:16
U-2さん、はじめまして。



ご訪問書き込み有難うございます。



種子島でも戦後の食料難には芋によって救われたと

地元の古老から聞きました。



ご質問の件につきましては、ただいま調査中ですので

わかり次第、ご報告させていただきます。
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種子島ブログさん、ようこそ。 (U-2)
2006-01-13 22:00:20
黒潮洗う、種子島。きっと良い作物が育つ事と思います。食料の自給率が、60%しかない日本は、そろそろ食糧難への備えをしておいたほうが良いような気がします。そちらの古老の方のお話、とても貴重ですね。

どうか、よろしくお願いいたします。<(_ _)>
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アメリカのサツマイモ (o_sole_mio)
2006-01-17 20:50:50
こんばんは



サツマイモに関する興味深い情報ありがとうございます。



先日コメントを頂いたときにもお話しましたが、ノースカロライナへ言ったときステーキの付け合せの選択肢に「スイートポテト」があったので珍しいなと思って頼んだら中がオレンジ色のベイクしたサツマイモが出てきました。中は水分が多く粘り気がありました。



サツマイモは万能食なのですね。
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ノースカロライナといえば (U-2)
2006-01-17 22:07:40
oーさんありがとうございます。

ノースカロライナといえば、アメリカ最大のサツマイモ産地ですね(^^)。



彼の地では、メインデッシュの付け合せにニンジンの代わりなのでしょうね。興味深い土地柄です。



サツマイモは品種によっては、ビタミン類が、色々入っていて優れた食品ですね。アントシアニン色素入りのと、ベータカロチン入りの品種を掛け合わせたら、興味深い芋が出来そうです。
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Unknown (種子島ブログ)
2006-02-14 22:44:09
U-2さん、ご返事遅くなり申し訳ございません。



安納芋の由来ですが、やはり戦後アメリカから導入された説が強いようです。



しかし種子島で<にんじん芋>と呼ばれる橙色系品種は

大正時代頃にアメリカから導入されたという文献があるそうです。

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安納芋(^^)。 (U-2)
2006-02-14 23:08:17
種子島ブログさん、お忙しい所、ありがとうございました。

安納芋、私も頂きましたが、しっとりして、とても洗練された、上等なお味でした。

そういえば、確かに日本のお芋とは、少し違って、色も濃いですし、食感もちがいますね。とても上品な味わいがありました。



名前が暗示しているのかもしれませんね。ともあれ、暖かな海洋性の気候が、サツマイモにとっても、快適なのでしょう。稀有な事です。お知らせ下さり、本当にありがとうございました。<(_ _)>
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見落としていました (のんのん)
2006-11-12 18:00:01
 U-2さん、コメントいただいたのに見落としていました。申しわけありません。
 これからはここを覗かせてください。
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