炎と水の物語 2013 Apprehensio ad Ignis et Aquarius.

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ヒョウタンからコマ -独島・竹島騒動の陰に- 鬱陵隠岐火山灰

2006-04-25 | 人災社会学!
 一万年前、日本海で発生した巨大噴火の痕跡は、現代の私たちに何を語っているのだろうか......。

 鳥浜貝塚の縄文早期の地層から出土した一万年前のヒョウタン=ユウガオの殻、その年代の決め手になったのが、ヒョウタンの殻の埋まっていた層の直上にある、火山灰です。


『 鳥浜貝塚 3 』 1981年度・1982年度調査・研究成果.
            編集 鳥浜貝塚研究グループ. 1983年 

 上の写真の中央からやや下の白い土の層が、その火山灰です。このすぐ下からユウガオの殻が見つかりました。この灰は、いったい、どの火山から飛来したのでしょう。福井県周辺の火山といえば、石川、岐阜、福井にまたがる白山(2702m)がありますが、この時期は活動していません。

 この鳥浜貝塚に残る火山灰層は、厚さが3cm前後もあり、かなり大きな噴火を物語っています。日本の有史時代で最大の噴火は、915年の十和田湖の大噴火で、規模は、M5.7。「噴火口から20km以内のすべてを破壊しつくした。」(早川・群馬大学)といわれています。しかし、火山灰の積もり具合は、十和田湖の南側120km で、2~3cm程度です。

 日本海の北西部の海底には、鳥浜貝塚と同じ成分構成を持つ火山灰が、海底地質の調査で、見つかっています。その火山灰の層は、韓国東岸沖180kmにあるウルルン島周辺で最も厚く堆積してる事から、鳥浜貝塚の火山灰は、ウルルン島から飛来したと考えられています。ウルルン島から福井県の鳥浜貝塚までは、約500kmも離れていながら、火山灰が3cmも積もっていますから、巨大な噴火と申せましょう。火山学者はこの一万年前の噴火の規模を噴火マグニチュードM6.7としています。これは十和田湖の噴火の10回分、クラカトアの噴火の6回分の大きさです。

 1883年の三万六千人以上の死者を出し、島全体がほぼ吹き飛び消失したインドネシア、クラカトア島の大噴火が、噴火マグニチュード6.1。その死者の大半は、高さ40mを越える津波によるものでした。ウルルン島の噴火はマグニチュード6.7ですので、さらに巨大な津波を伴ったものと想像されます。( 出雲大社の社殿が 著しい高層建築 になっていたのは、こうした災害を意識して作ったのかも知れませんね。)

 福井県といえば、原子力発電所の「銀座」。過去五万年クラスの自然災害に耐えられるという口上の日本の原子炉ですが、果たして本当に、こんな凄い噴火や津波を想定しているのでしょうか。隠岐諸島もまた火山ですし、本当に噴火しないという保障があるのでしょうか...。

 問題は日本だけではありません。韓国の「 東海 」沿岸には、運転中の原子力発電所が12基もあります。日本でもこうした災害で、影響を蒙るであろう原子力発電所が、島根、福井、石川、新潟にあります。
 韓日両政府ともに、独島 vs 竹島 の領有権に固執し、互いに国民の感情を煽り立てる裏には、こうした致命的な矛盾から、人々の目を逸らすねらいがあるのではないかと感じます。
 隠岐之島から、竹島・独島をはさみ、鬱陵島付近の海域には、将来の東アジアの人々の運命を左右する、両国民には知られたくない「 爆発的 」な問題が、眠っているようです。


追記:
 韓国では、島全体が火山のチェジュ島にも、原発を計画中のようです。何考えているんでしょうね(^^;;
 図中のサクラ色の丸印 が計画中の原発。

ご参考;・白山の火山活動.   ・鬱陵島の火山活動.  ・現在の鬱陵島.

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アフリカ起源の作物 ユウガオ ヒョウタン  その一

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6 コメント

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Unknown (oozora通信)
2006-05-01 19:30:47
本稿TRBありがとうございます。あまり専門的なことはわからないですが、地殻物理なんかはその現象的なものが、あるいは力が人間のほうからはまるっきりコントロ-ルできないせかいですよね。

私はどちらかというと地球という惑星のシステムのなかであるいは人間のがわでコントロ-ル可能かもしれない自然環境問題のほうに興味があります。

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岩盤の塑性 (U-2)
2006-05-02 00:59:40
oozora通信さま、はじめまして。

拙文にコメント頂き、ありがとうございます(^^)。

「地殻物理」の分野ですが、最近は地熱発電発電所の周りで、不自然な災害が多く発生しています。

岩手山周辺では、地熱発電所の無理な操業のためと考えられる、地震が発生しています。

秋田県や、鬼首、磐梯山方面でも地熱発電所の付近で、群発地震が起きて、問題視されております。岩盤は約350度C以下では、塑性を失い、崩壊してしまいます。

フィリピンでも今年になって、地熱発電所付近で、大規模な地滑り災害があり、同時に軍がクーデターを仕掛けましたね。



今や地殻の分野も、人知れずコントロール方法を探っているのが、現代のヤミの部分かも知れませんね。
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ウルルン島の火山灰 (o_sole_mio)
2006-05-02 08:45:26
コメントありがとうございました。



ウルルン島、隠岐等日本海(東海)の島が火山島でウルルン島ではかなり昔ながら大規模な噴火があったことを初めて知りました。ウルルン島の火山灰が福井まで到達したということはそれよりも距離の近い島根県を中心とした西日本にもかなり降り注いだと思いますが、それを示すような遺跡等が残っているのでしょうか。



火山地帯に日韓ともに原発を並べているのは、確かに気味の悪いことですが、建設前にそういった調査はやっていないか、過小評価していたのではないかと思います。
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お役人は、噴火は無視 (U-2)
2006-05-03 00:58:13
オーさん、お出ましありがとうございます。

私も偶然、ヒョウタンについて調べていて、この噴火を知りました。3cmの降灰というのはかなり大きな噴火のしるしと思います。

噴火マグニチュード6.7は、クラカトアの噴火の6回分、十和田湖の噴火の十回分の凄まじさです。



「鬱陵隠岐火山灰」については、日本では情報が本当に少ないようです。ネット上ではほとんど見つかりませんでした。竹島の地質も良く分かりませんでした。



 そこで、経済産業省 平成16年四月、『中国電力株式会社 島根原子力発電所の原子炉の設置変更に係る安全性について』という資料を見てみましたが、周辺の考古学情報は取り入れていないようです。



 日本の原子力発電所は一般に、原子炉周辺部分が、過去一万年の自然災害に耐えられ、原子炉本体が、過去五万年の自然災害に耐えるように出来ている豪語しておりますが、上の資料には、地震、地震による津波、波浪による高波までは出ていますが、沖合いの火山噴火に伴うであろう災害には、何も書いてありません。噴火は無視しているようです。



 オーさんのおっしゃるとうり、「建設前にそういった調査はやっていない」様子です(^^;本当にびっくりですね。

日本列島の周りでは、海上のカルデラ巨大噴火がしばしばおきていることは、衆人の知るところなのですが。





ご参考:

『中国電力株式会社 島根原子力発電所の原子炉の設置変更に係る安全性について』 



経済産業省 平成16年四月



Page 26 審査の基本方針



(1)原子炉施設が設置される場所の地震、気象、水利等の自然現象、火災、飛来物等によって、原子炉施設の安全性が損なわれないような安全設計がなされていること。





http://72.14.203.104/search?q=cache:BhVdTjZqkPcJ:kokai-gen.org/information/2004-i-shimane.pdf+%E4%B8%89%E6%96%B9%E3%80%80%E9%9A%A0%E5%B2%90%E3%80%80%E7%81%AB%E5%B1%B1%E7%81%B0&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=26
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Unknown (たっさん)
2006-05-03 18:04:54
コメントありがとうございます^^



官僚はまず国民の利益ではなく、まず自分だけの利益を優先する性質があるようですね。それも権力を握る人に限って。権力を握る人がそんな人というのもおかしな組織ですけど。
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キックバック (U-2)
2006-05-03 22:36:30
たっさん、ようこそ。こちらこそです。

ひょうたんについて調べていましたら、思わぬことを知ってしまいました(^^;

原発って、かなりアバウトなノリで創ったんですね。。。。



で、この危うい設備を生かして、政治家や官僚がキックバックを狙うと、再処理工場のようなことを考えるのでしょう。水俣、薬害エイズ、アスベスト・・・など、お上に泣き付かせるお決まりの構図。



イギリスなどどこの国も、同じようなのがうようよいるようですね。ここも見てね。http://blog.goo.ne.jp/rgriggs1915/e/0c2e075100ee61a747ffc07489f4be0c



当ブログは反原発サイトではないのですが、素朴な疑問によく突き当たりますよ。
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