Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2008年12月号 本国帰還が難民教育を阻む

2009年05月15日 | 教育
【写真】試験後のユニティー小学校クラス8の生徒達

2007年9月、南スーダン政府、国連難民高等弁務官事務所、ケニア・ウガンダ・エチオピア各政府の間で三者協定が調印された。この三者協定により、スーダン難民が自由意志で本国に帰還することが認められた。

また三者協定によれば、「南スーダン難民の本国帰還と、南スーダンの復興を成功させるために」、スーダン人生徒の学校教育は規模を縮小することになる(カクマ難民キャンプに掲示された国連難民高等弁務官事務所の通告)。つまり、2008年1月に関してはスーダン人生徒はクラス1(小学校1年)あるいはフォーム1(中学校1年)への入学が許可されないということだ。フォーム2からフォーム3に進級するスーダン人生徒もクラスの上位15名の男子生徒と上位15名の女子生徒に限定された。小学校におけるスーダン人生徒の最高年齢は17歳に引き下げられた。ただし小学校、中学校の上級学校志願者クラスの生徒はこの限りではない。

2008年1月より、国連難民高等弁務官事務所はおよそ8,167人の難民を南スーダンの様々な州に帰還させる援助をしてきた(2008年9月の国連難民高等弁務官事務所データーシート)。この流れを反映して、カクマ難民キャンプの小学校の数は、昨年の11月以降21校から14校に減少している。中学校の数は3校から2校に減った。スーダン人教師の大多数が帰還したので、職員数の減少もまた解決の難しい問題となっている。

2008学校年度が終わりに近づくにつれて、様々な問題が明らかになった。昨年クラス8だった多くのスーダン人生徒は、授業料が払えず、ケニアの中学校に欠員があっても受け入れられなかった。幼稚園の卒園児の大部分もまたクラス1に入る機会がなくキャンプの中で足止めをくっている。。保護者の中には、子供が学校に残れるように、成績表を改ざんした者もいる。かなり多くの生徒がいる中学校クラス2では、明らかに教育水準が保てない。

最近終了したケニア初等教育認定試験で、ほとんどのスーダン人受験者に合格しようとする強い決意が見られなかった。将来の教育が当てにならないと思っているからだ。ケニア初等教育修了認定試験の受験者の一人、マイケルはこう言っている。「本国に帰還したくない。キャンプでフォーム1に入る機会がないのなら、ケニアの学校に入りたい。スーダンに帰るのは、南スーダンで国民投票が実施される2011年まで待ちたい。国民投票で政治状況が良くなるだろうから」

時期帰還の実施が迫ってくる中、まだ本国に帰る覚悟ができていないスーダン人の若者の教育はあやふやなままだ。「スーダン人にはフォーム1がないのだから、僕は不安で、本当に絶望している」これは、サンデイ・ウイリアムがケニア初等教育修了認定試験の受験後に吐露した言葉だ。「僕がここに来たのは、スーダンで戦争が起きたからだ。教育を受け続ければ、将来役に立つとわかっていたからだ。だから今のこの政策に僕は本当にいらいらしている」。学友のサイモン・オヒデも賛成して次のように言っている。「なぜ国連難民高等弁務官事務所は僕に南スーダンに帰れと言うのか、当惑している。そう言われても僕は帰りたくない」



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