2021年2月号 フリーランス労働はカクマ難民の有望な収入源になるか / KANEREスタッフライター トロッサ・アスラト

　　　　　　【写真】カロベイエイ難民居住区にある技術訓練センター

難民の第3国定住の機会が減少し、カクマやカロベイエイで出国を待つ難民が増加している。これを受けてUNHCRと提携団体は新たな解決策を模索している。

カクマでの収入機会の減少を解消するため、ノルウェー難民協議会（NRC）と国際貿易センター（ITC）は、難民や地域住民が自助努力していけるように、ソフトスキルを訓練するセンターの設立を提案している。支援に依存している難民の自立を促し、暮らしを向上させることを狙ったアイディアだ。難民からは、自立して生活するための支援の新たな取り組みだと称賛されている。

難民雇用＆技能計画（RESI）は国際貿易センターに主導されているプロジェクトで、カクマのノルウェー難民協議会によってカロベイエイ居住区で提供されている。このプロジェクトは2018年に始まり、商売と市場をベースにした問題を解決することにより収入創出の機会を作り出し、難民や地域住民の経済的自立を目指すものだ。

「訓練は仕事を得るのに役立っています。私はフリーランス労働者として働いています」2020年に訓練を受けたマルタ・アリはこう話す。

訓練は、参加者が雇用者と結び付く機会を提供し、オンラインのフリーランス労働を可能にする。

収入創出訓練は、カクマキャンプで長い間実施されてきたが、難民の雇用や生活技能計画と同様に、難民が経済的独立を得られる発展性のあるプロジェクトとしては成功してこなかった。カクマでの他の訓練と同様に、難民雇用＆技能計画には難問がある。しかしながら援助が縮小している現在、生活技能訓練は難民にとって最適の機会だと捕らえられている。

カクマでは報奨金つきの労働機会が少なくなっていることから、難民雇用＆技能計画のような生活技能訓練は難民コミュニティから注目されてきた。長いこと、NGOは難民を報償金つき労働者として雇ってきた。彼らには毎月給料が支払われるが、その金額は、難民以外のケニア人の平均月収と比較すると驚くほど少ない。だが、これが長い間、カクマの労働力にとって唯一の利用できる収入発生機会だった。少額であれ報奨金の出る仕事は一部の難民にとっては毎月の定期収入を得る道で、わずかな希望も芽生えていたが、新型コロナウィルスと支援金の縮小で、その仕事にありつく機会も少なくなっている。

「フリーランス労働者が直面している主な問題は、電源へのアクセスとインターネットへの接続です」難民雇用＆技能計画の参加者で現在はUP-workのフリーランサーとして働いているイデの言葉だ。

カクマの難民にとって完全な自立は難しいが、難民雇用＆技能計画のプロジェクトは、少なくとも部分的に自立する機会を提供している。

英語、デジタルマーケティング、起業家精神がセンターでの融合教育プログラムで提供される数少ない教科である。

技能訓練や専門的な職業体験、ネットワーク形成の提供に加え、ノルウェー難民協議会と国際貿易センターは、参加者に起業開始用の教材一式、少額の貸付金、或いは難民が少しでも自立できる機会を増やす手段なども与ることができるはずだ。そのためには、支援団体間や政府間での連携が求められる。

難民雇用＆技能計画はオランダ政府の資金提供を受けていて、難民の経済的能力の向上を目指している。