Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
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2012年7月号 カクマ難民キャンプの小学校、ケニア初等教育修了資格試験(KCPE)で最優秀校に

2012年12月21日 | 教育
【写真】教室内で身を寄せ合って座る生徒たち


カクマ難民キャンプのロキタング小学校は、国が認定した初等教育修了資格試験(KCPE)で成績が大幅に向上し、西トゥルカナ地区で最高得点校に躍り出た。

2011年にKCPEを受けたキャンプ内の小学校の大半の生徒は、2010年以前よりもかなりよい点数を取ることができた。そしてキャンプ内の小学校の一つロキタング小は、西トゥルカナ地区で最優秀校になるという快挙を成し遂げた。これまで、キャンプ内の小学生のKCPEの成績はトゥルカナ地区の中でさえ奮わなかったが、昨年は地元ケニア人が通う他の学校の得点を上回り、人々を驚かせた。


【写真】教室に入りきれない生徒たち


2011年には、カクマ難民キャンプにある13の小学校から合計718名がKCPEを受験、そのうちの163名は女性徒だった。

ケニア人の通う優秀な中学校の入学枠は、KCPEを受けた進学を希望する生徒に次々と取られてしまう。そのためカクマ難民キャンプの小学校に通う生徒は、キャンプ内の中学校で競争するしかなかった。2011年はまた、例年とは異なり、多くの生徒が自分の実力で奨学金を獲得し中学に入学している。その一方で、支援団体は少女の教育に力を入れている。キャンプ内の生徒たちも、これまでのように勉強をサボっている様子は見られない。

2011年のKCPEでトップ30になった学校の中で、難民キャンプ内の小学校に限って言えばパロタカ小学校のモハムディ・フセイン・サラディが379点でトップの成績、アンジェリーナ・ジョリー女子小学校のウリンジ・ムンジラ・サリファが371点で2位、フジ小学校のフセイン・アィ・ダヒリは371点で3位だった。

KANEREが入手した2011年に行われたKCPEの詳細な結果分析によれば、難民キャンプ内の小学校の生徒は、社会や宗教の科目でいい成績をとる傾向にあり、平均点は60.36点。逆にスワヒリ語の成績は平均41.83点とあまり高くない。2011年の総得点の平均点は259.61点と2010年の238.80点から比べて20.18点も上昇した。

こうした好成績を残せたのも、ひとえに先生や親や教育関係者、そして学んでいる生徒自身の熱心な取り組みと献身的な努力があったからだ。「よい結果が出たのは、熱心に取り組んだからです。生徒たちはみんな真面目にやっています」とロキタング小の校長はKANEREの記者に語った。

難民キャンプの小学校が、昨年の試験で立派な成績を収めることができたことは、カクマ難民キャンプ内の小中学校が直面している諸問題を考えれば感慨深いものがある。教室は人であふれていて机らしきものもない。とにかく生徒数が多すぎる。しかも、こうした設備が不十分に加え、予算も年々規模を縮小させられている。一般的にキャンプ内の小中学校では、満足な教育を行うための学用品もそろっていない。先生たちは、授業の準備や仕事のための文房具にすら困っている。

キャンプ内の小学校の状況はとてもひどい。低学年では、たいてい地面に座って授業を受けている。そしてどの学校も、1クラスに80~100人の生徒がいるので、教室はとても混雑する。こうしたことが、生徒も教師もあまり実力を発揮できないことの隠れた要因のひとつになっている。また、一日の授業が終わる頃には教室はとても汚れてしまうので、衛生状況が悪く伝染病がまん延しやすくなっている。

キャンプ内には3つの中学校がある。カクマ難民中学校、そなり・バンツー中学校、そして2011年に開校したばかりのタラチ 中学校だ。タラチは公立中学校だが、入学するには授業料を支払う必要がある。ソマリ・バンツーは今年やっと3学年ができたところで、最初の3年生がKCPEを受験するのは2013年になる。

そんな中で、カクマ中学校はこの何年かあまりいい成績がとれていない。2010年の受験生の平均成績は4.7だったが、2011年には1.443も落ち込み3..257と悪化している。朝になるとカクマ中学校の生徒が、カクマ1ゾーン2のカンドゥグリやゾーン3のシャンベなど近所の小学校に行き机を借りる姿がよく見られるが、これは中学では勉強する場所が足りず、教室内の授業の場合、多くの生徒が座る場所がないためだ。

つまり、カクマキャンプ内の13の小学校の生徒は、小学校で8年間の教育を受けた後で、今度は中学校で自分の居場所を獲得するために競争することになる。


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