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「中国はロシア支援やめよ」 米国、金融制裁検討で圧力

2024-05-11 00:05:06 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


ブリンケン氏は習氏にロシアへの軍事支援を止めるように求めた(4月26日、北京)=ロイター

 

 

バイデン米政権が中国にウクライナへの侵略を続けるロシアに対する軍事支援を止めるよう圧力を強めている。

中国からの輸入部品を使ってロシアが軍需生産を加速しているとみているためだ。制裁をテコに支援の流れを止められるかは、ウクライナの領土回復の戦いの成否も左右する。

 

「変化がみられない場合には取るべき行動を準備している」。ブリンケン米国務長官は4月26日、北京での習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談でロシアへの軍事支援を停止するよう求めた。

米政府が検討しているのは、米国の金融システムから締め出す強力な制裁だ。バイデン大統領は2023年12月、ロシアの制裁逃れに加担している第三国の金融機関を二次制裁する方針を表明し、米財務省に実施権限を付与していた。

 

バイデン政権が中国への圧力を強めるのは、中国からロシアへの軍事物資の流入が止まらない限り、ロシアの戦力低下は見込めないとみているためだ。

米財務省はすでに第三国の企業への制裁も発動している。4月15日、ロシアの軍需産業への部品調達を助けていたとして、中国に本拠を置くベラルーシ企業「深圳5Gハイテクイノベーション」など同国関連の10団体と12人を制裁対象に指定した。

日本経済新聞と英文媒体「Nikkei Asia」は2月23日、深圳5Gがベラルーシやロシアの意向を受けて中国で日本製などの精密機器の部品を調達し、ベラルーシ経由でロシアの兵器産業に流している実態を報じた。米財務省が対策を急いだ。

 

ベラルーシの亡命反政府団体「BELPOL」が同国の軍需関係企業の協力者から得た内部資料によると、欧米の制裁下でもロシアは23年春から約3千両の戦闘車両のための照準器を中国とベラルーシ経由で入手した。

ロシア軍はこれらを搭載した千両以上を5月下旬にも想定される大規模な作戦に投入するとみられている。

バイデン政権にはこうした制裁逃れのルートが温存されればロシアの戦力が衰えず、ウクライナが目指す25年春の再反攻もおぼつかなくなるとの危機感がある。

 

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中国の金融機関への制裁検討には、ロシアの戦費調達に不可欠な中国へのエネルギー輸出を細らせようとする思惑も透ける。

22年に国際銀行間通信協会(Swift)から排除される金融制裁を受けたロシアの金融機関は、中国の金融機関に口座を開いて取引を続けてきた。

 

圧力の効果はすでに出ている。ロシアメディアによると、中国の大手銀である中国工商銀行などがロシアからの人民元建て決済を拒んでいる。3月末からそうした事例が増えた。

コンピューターや記憶装置など電子部品の支払いが滞るというロシア企業の苦境も報じられた。ロシアのペスコフ大統領報道官は4月17日、決済上の支障を認めた。

 

ロシア以外の国との大半の貿易取引をドルで決済する中国など第三国の金融機関にとって、経営危機に直結する米国の制裁は何としても避けたい立場だ。

中央アジアのキルギスでは4月上旬からクレジットカードなどの決済運営会社がロシア製カード「ミール」の利用を停止した。カザフスタンの銀行も大半がミールの利用を止めた。

 

今後は中国側の出方が注目点となる。中国からロシアに向かう精密部品はデュアルユース(軍民両用)品が多く、中国当局はロシアへの軍事支援の事実を否定してきた。

フランス政府の発表によると、習氏は5月6日のマクロン仏大統領との会談で、軍事転用が可能な材料の輸出を厳しく管理すると約束した。

 

それでもロシアが依存する中国からの軍民両用品の流れがすぐに途絶するとの見方は少ない

。ロシアのプーチン大統領は4月25日、5月中に訪中すると表明した。バイデン政権が中国の金融機関への制裁に踏み切れば、停滞している同国経済の成長の新たな下押し要因になる。

(ウィーン=田中孝幸、ワシントン=飛田臨太郎)

 

 

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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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益尾知佐子

九州大学大学院比較社会文化研究院 教授

分析・考察


中国の対ロシア政策は2023年の気球事件直後に変化し、今も継続中です。

同年3月初め、ベラルーシ大統領の訪中時の共同声明には中国からの部品輸出の加速が明記されていました。

同月、習近平はモスクワを訪問し、中露共同宣言で「ルールに基づく秩序」を唱える国々は「覇権主義」だと述べました。

中国外交において特定国の「覇権主義」の認定は40年ぶり。

そこから中国外交は「覇権主義」に対して国際的な統一戦線を組む古風な手法に回帰しました。

独仏、米起業家への接近もその文脈で理解できます。

中国指導部の脳内ですでに新冷戦は展開中。中国は来るべき米中対決に向け、静かに準備を進めてます。米の要請はもちろん受け付けません。

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青山瑠妙
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授

ひとこと解説

米中対立の中、ロシア寄りの中国の政策が続いている。他方、フランスなどヨーロッパ諸国からすると、ウクライナの平和がない限りヨーロッパの安全保障は語れない。

こうした状況下で中国とEU諸国の対立の流れが変わることはおそらくない。

問題はどのような経路をたどるかだ。

2月にG7諸国はロシアを支援する第三国企業に対して制裁を強化する共同声明を発表した。

習近平国家主席がフランスを訪問した際に、マクロン大統領はデュアルユース品について警告を発している。

アメリカの今回の動きを皮切りに、西側諸国は二次制裁のフェーズに入ったと言える。

2024年5月10日 8:34
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日経記事2024.05.10より引用
 
 

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