NTTデータはデータセンター運営会社で世界3位(インドのデータセンター)
NTTデータグループはデータセンターを投資先とする不動産投資信託(REIT)事業に参入する。2026年3月期に最大約1000億円の資産規模で運用を始める。データセンター専門のREITは国内企業で初めて。
資金を調達しやすくし、生成AI(人工知能)向けなどで需要が伸びるデータセンターの建設を加速する。
投資家から集めた資金で施設を取得し、運営収益を分配する。ドイツの調査会社スタティスタによると、データセンターの世界市場は28年に4386億ドル(約70兆円)と23年比で3割増える見通し。
世界的なデータ量の増大を受けて建設ラッシュとなっており、関連産業の裾野が広がっている。
カナダの調査会社ストラクチャー・リサーチによれば、NTTデータはデータセンター運営会社で世界3位。
北米やアジアなどの約30都市で約120棟を運営している。データセンター事業を成長戦略の中核に据えており、22年にはNTTの海外の同事業も傘下に収めた。
25年度までにREITの運用会社を新設する。投資家から公募または私募形式で資金を調達し、上場も視野に入れる。NTTデータは海外を中心に保有する複数施設をREITに売却したうえで管理業務を受託する。
公募となれば当初の売却資産は数百億円から1000億円規模になるとみられる。同社はREITなどを通じて26年3月期までの3年間で約5000億円のデータセンター売却を目指す。
NTTデータは旺盛な需要を取り込むため、データセンターの建設を拡大している。
28年3月期までの5年間で1.5兆円超を投じる計画だ。REITの活用で資金を調達しやすくする。データセンターは一般に着工から利益が出るまでに時間がかかる。投資が先行しており、同社の3月末の有利子負債は約2兆2000億円と22年3月末比で4倍に膨らんでいた。
データセンターのREITへの売却は海外で進んでおり、最大手の米エクイニクスや2位の米デジタル・リアルティ・トラストが活用している。
投資家からも投資妙味があるとして注目されている。三井住友DSアセットマネジメントの新川淳之介チーフファンドマネージャーは「データセンターのREITは成長性が高く、金利上昇局面でも商業用不動産などに比べて値下がりしにくい」と指摘する。
NTTデータはデータセンターを貸借対照表から切り離すことで、資本効率を改善する狙いもある。
事業活動に投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したかを示す「投下資本利益率(ROIC)」は24年3月期に4.7%と9年ぶりの低水準となった。資産を圧縮してROICの引き上げにつなげる。
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データセンターはとくにコロナ感染症危機以降のインターネットの利用やブロックチェーンやAIブームにより急増して以降、需要は世界的に高まっています。
データセンターとデータ送信等にかかる温室効果排出量や水の利用量をライフサイクルで測定し削減する方法を同時に模索しないとビジネスの持続性に懸念が生じる可能性があります。
これまではエネルギー効率の改善が削減効果を高めてきましたが、世界的利用が今後急速に増加していくことを考えるともっと削減する方法を考えることが求められています。
産業ほどの温室効果ガスの排出量ではないですが、今後増えていくことが明確に予想されている以上計画を立てる必要があるでしょう。