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建国後の合衆国-22  ジャクソン政権

2024-06-02 22:14:15 | ヨーロッパ・中東・アメリカ全般、歴史・文化・食文化・芸術・建築

建国後の合衆国-21 1824年選挙とアメリカ体制https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/0f3f8499ef04f8c215d11f40988cc818
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ジャクソン政権

ジャクソン政権は、1828年選挙で、奴隷制南部の堅固な地盤の上に北西部の票を加え、さらに中部大西洋岸の大票田、オランダ移民が創ったニューヨーク(旧ニューアムステルダム)とペンシルヴァニアの支持を得て成立しました。

ヴァン・ビューレンが国務長官に就任し、ニューヨークで創り上げた組織規律を全国の政治に持ち込みました。

 

他方、カルフーン一派は間もなくジャクソンと袂(たもと)を分かちます。 しかし、ジャクソンは南部インディアンを追い出し政策を打ち出して南部プランターの支持を固めました。

北部の版ジャクソン派のなかには、インディアンの味方とは言えませんが、ジャクソンおよび南部人たちの性急な追い出し政策には批判的な者も少なからずいました。

 

与野党間の政策上の激突は、次の1832年の大統領選挙の前哨戦のなかで起こりました。

南部共和派の中には、ジェファソン以来、合衆国銀行反対の伝統が残っていました。大統領としてのジャクソンは、この伝統に乗ります。 

しかし、議会では4年後の1836年にきれる合衆国銀行の特許期間の延長を支持する勢力の方が強く、大統領出馬を狙うヘンリー・クレイは、この問題を選挙の争点にするために、合衆国銀行特許延長法案を通過させました。

ジャクソンは、この法案に拒否権を行使することによって挑戦に応えました。

 

1832年選挙では、ジャクソンはヴァン・ビューレンを副大統領に従えて、クレイを破り再選を果たします。

かくして、フィラデルフィアに本店を置く第二合衆国銀行の特許延長は不可能になり、金融中心地は完全にニューヨークのウォール街に移ったのです。

 

1832年は、ヘンリー・クレイの『アメリカ体制論』にとっても転機となりました。 1824年、1828年、1832年と大統領選のたびごとに、関税法が改訂され国内製造業保護の政策基調が貫かれました。

しかし1832年秋、カルフーンを指導者とするサウスカロライナ州は、州民代表者大会を招集し、そこでサウスカロライナ州における連邦関税法の無効を決議しました。

これに対し、ジャクソンは、一方で武力弾圧の脅しをかけてサウスカロライナを屈服させ、他方で南部の支持者たちの利害を代弁して関税引き下げの必要性を強調し、世論転換を指導しました。

 

このような状況下で、クレイは1833年妥協関税法成立を指導し、みずから『アメリカ体制論』を後退させました。

以後、南北戦争前夜まで、州権論が強調される中で、自由貿易主義が合衆国の経済政策の基調となりました。

 

 

 

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PS.

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