前回、近所の
ミミちゃんの思い出を綴ってみましたが、今回も近所の別猫の思い出話です。
とらちゃんを迎えた頃、近所にはミミちゃんの他にも様々な猫がいて、
よく我が家の庭に姿を見せていました。
そのうちの1匹が「まだら」です。
お向かいさんの飼い猫で、メスなのに超凶暴な大柄猫でした。
三毛がぐちゃぐちゃに混ざり合ったまだら模様だったので、我が家では「まだら」と呼んでいました。
もちろん本名は違います。
たぶんミーちゃんとか、飼い主さんからはごく普通の可愛い名前で呼ばれていたと思います。
まだらは、とらちゃんが家に来るずっと前から、お向かいさんに飼われていた猫なので、
家の庭も縄張りにしていたのでしょう。
とらちゃんの登場に、自分の縄張りがとられてしまう…という危機感を抱いたのだと思います。
とにかくとらちゃんを目の敵にして、隙あればとらちゃんを襲っていました。
とらちゃんに遠慮して家に来るのをやめてしまったミミちゃんとは大違いです。
我が家に来たばかりのとらちゃんは、生後4ヵ月の子猫でしたから、
体重が倍以上ある大柄なまだらに襲われたらひとたまりもありませんでした。
(うちに来たばかりの頃のとらちゃん)
ウギャギャギャギャギャッ!!というすさまじい叫び声に、慌てて外に出た私が見たものは、
とらちゃんとまだらが、もうもうと猫毛を飛び散らしゴロゴロと組み合っている姿でした。
ふてぶてしいまだらは、私の姿を見てもすぐに逃げようとはしませんでした。
とらちゃんを抱き上げる私を、キィッ!と睨みつけてから、
ゆったりとした足取りで去って行きました。
子ども相手に何もそこまでやらなくても…と思うほど、
まだらはとらちゃんに酷い傷を負わせていました。
それ以来、とらちゃんを外に出さないようにしていたのですが、
酷い目にあったのにも関わらず、とらちゃんは外に行くことを諦めませんでした。
何度も窓の前や玄関の前でニャーニャー(出して!出して!)と催促し、
ちょっとした隙に脱走しました。その度にまだらにやられるのに。
仕方がないので、私はとらちゃんの散歩にボディーガードとして付いていくことにしました。
…水鉄砲まで持って(^_^;)
なぜ水鉄砲かというと、猫は水に濡れるのが嫌いなので、
猫の躾に霧吹きを使うと効果的だというのを何かで読んだことがあったからです。
猫が何か悪さをしそうになったら霧吹きでシュッと水をかけると、
嫌いな水がかかったことで、猫はやろうとしていたことを止めます。
これを繰り返すことによって、やってはいけないことを覚えるらしいのです。
単なる水なので、猫を傷つける心配もありません。
霧吹きだとある程度距離をとっているまだらには届かないので、水鉄砲にしたのですが、
この作戦は効果覿面でした。
まだらは、2、3度水をかけられてからは、私を見ると警戒してすぐに逃げるようになりました。
なので、水鉄砲を持って行かなくても、私がとらちゃんに付いていれば、姿を現さなくなったのです。
そんなある日、土手をとらちゃんと散歩していた時のこと、
忘れ物に気付いた私は、一旦家に戻ることにしました。
「すぐ戻るからね」と、とらちゃんに声をかけ、元来た道を戻ろうとしたその時、
体を低くして忍び足で私達のあとをつけて来たまだらと目があったのです。
まだらは、明らかに「しまった!」という顔をして、逃げて行きました。
それからというもの、散歩中、常にまだらがいないか注意するようになったのですが、
まだらはいつも必ずついて来ていました。
見つからないよう叢や木の陰から、また見つかってもすぐ逃げられるよう
一定の距離を保った場所から、常に私達を睨んでいたのです…。
蒸し暑いある夏の夜のこと、風が通るよう窓を開けた2階の和室で、
畳にごろりと寝転んで本を読んでいた私は、ついうっかりそのまま寝入ってしまいました。
どのくらい時間が経ったのでしょう。
ウゥーーーッという、低い唸り声で目が覚めたのですが、
とらちゃんが、窓の向こう、網戸1枚隔てた向こうにいる何かに向かって、
全身の毛を山嵐のように逆立ているのが目に入りました。
もしかして、泥棒…?!
眠気が一気に吹っ飛び、心臓がバクバクと激しく鳴りました。
ゆっくり、そぅっと、(泥棒に投げつけるため)本を掴み、目を凝らして窓の方を見てみると…
何と!そこにいたのは「まだら」だったのです。
まだらが、とらちゃんと私を鬼の形相で睨んでいたのです。
泥棒じゃなかったことに安心しつつも、まだらの執念深さに動揺した私は、
「こ、こらっ!」と、あまり迫力のない声を上げてしまいました。
すると、まだらは、シャァーーーーッ!と一発大きく威嚇し、
屋根から隣の木に飛び移り、悠々と去って行きました。
もし、とらちゃんが気づかなかったら、まだらはどうするつもりだったのでしょう?
とらちゃんを(もしかして私も?)、襲うつもりだったのでしょうか?!
怖いっ! (((( ;゚Д゚)))) まだら、怖過ぎ。。
まだらにしてみれば、猫の喧嘩に人間が水鉄砲まで持ち出して加勢してきたのが、
よほど悔しかったのだと思います。
え~~い!卑怯な!許せん!って感じでしょうか。
そう考えると、ちょっとだけまだらにも同情してしまいますが
あ、でも、あくまでもちょっとだけです。
本当にあの夜の恐怖といったら…(|| ゚Д゚)トラウマー
まだらのこうした執念深い行動は、とらちゃんが大きくなるまで続きました。
いえ、ももちゃんが来てからは、まだらも諦めたのか、おとなしくなったと記憶しています。
とらちゃんは最盛期は6キロ近くありました。
巨猫といっても差し支えないくらい大きくなったのです。
それに6キロ越えの超巨猫ももちゃんも加わったら、
まだら陣営は1匹だけなので、もう敵わない…と諦めたのではないでしょうか。
ちなみに、私はミミちゃんが、まだらは勿論のこと、他の猫とケンカしているのを一度も見たことがありません。
また、ミミちゃんはももちゃんと仲が良く、土手で2匹で遊んでいることがよくありました。
賢いミミちゃんは、他の猫と距離をとるのがとても上手かったのだと思います。
仲良くできる子とは仲良くし、距離をとった方がいい子とは距離をとり、
決して喧嘩はしない平和主義猫(^^)
(土手でくつろぐももちゃんとミミちゃん)
あら!まだらのことを書くはずが、最後はミミちゃんの思い出話になってしまいました。
それだけ、ミミちゃんは思い出深い猫でした。
まぁ、まだらも別の意味で思い出深い猫ですが…(^_^;)
まだらが初めて接した猫だったら…猫好きにはならなかったかも…しれません。