猫に腕枕

腎不全の猫と暮らした日々+

思い出のミミちゃん

2016年09月15日 | 猫の思い出話
あっという間に9月も半ばですね。
銅版画は制作意欲が落ちてしまって停滞中(-_-;)
そういう時は何か全く別のことを!…と思い立ち
10年ぶりくらいにオーディオセットを買い揃え
今まであまり聴いてこなかったジャンルの音楽を聴いたりしていました。
オーディオセットを設置するためには、部屋の模様替えが必要で、
いろいろ整理するのが結構大変だったのですが
その最中、ついつい見入ってしまった古い猫のアルバムに
家のコじゃない猫ミミちゃんの写真を見つけました。

今でこそ、周囲から「猫の人」とか、「猫といえば…」とか言われるくらい
猫好きと認識されていますが、子どもの頃は猫とは無縁の生活でした。
熱帯魚やセキセイインコを飼っていたため、
その天敵となるような猫を飼うなんて考えもしなかったのです。

そんな私が「猫が欲しい!」と思うきっかけが、
S市の一戸建てに住んでいた頃、お隣さんが飼っていた猫のミミちゃんでした。
S市の家は、最寄駅までバスで20分もかかるような所にあって、すぐ目の前は土手。
大雨の時なんかは川が氾濫しやしないかハラハラドキドキしてしまう…
そんな気が滅入るようなロケーションでした(^_^;)


ミミちゃんは、白地にキジトラ斑で短尾の可愛いメス猫で、よくうちの庭で遊んでいました。
「ミミ」と呼ぶと、最初こそ警戒してなかなか近くに来てくれませんでしたが、
次第に興味深そうに私を観察するようになり、ある時からは撫ぜても全然大丈夫になり、
お近づきの印に煮干しをあげたら、すっかり仲良しになりました。

お隣さんは、お蕎麦屋さんをご夫婦で切り盛りしていたため、帰宅はいつも夜遅くでした。
ミミちゃんは、日が暮れるとお隣さん宅の門柱の上でご主人の帰りを待っていましたが、
私と仲良くなってからは、私が仕事から帰ってくるのを見つけると、
サッと門柱を飛び降り、尻尾を立てて走り寄ってきました。
そして、嬉しそうに足にまとわりつきながら、一緒に家に帰るのです。
また、ミミちゃんは、出かける時も一緒に付いてきました。
最初は迷子になったり事故に遭ったらどうしようと心配でしたが、
賢いミミちゃんは、決して交通量の多い橋を渡ることはなく、
橋のたもとまで来るとお座りして、視界から私が消えるまで、じっと見送ってくれました。
お隣さんは犬も飼っていて、ミミちゃんも犬と一緒にお散歩していましたが、
やはり橋のたもとまで来るとお座りして、戻ってくるのをじっと待っていたそうです。
橋のたもとが、ミミちゃんの縄張りの境界線だったのかもしれません。

寒い冬、ミミちゃんはお隣さんが帰ってくるまで、よく家で過ごしました。
かくれんぼが得意で、ソファの下や戸棚の陰に隠れて、
私が通ると前足でトントンと私の足を軽く叩き、またさっと姿をくらませました。
かくれんぼ中のミミちゃんは、いくら呼んでも出てきてはくれませんでしたが
探すのを諦めてテレビなどを見ていると、いつの間にか私に寄りかかって寝ていたりするのです。

私はそんなミミちゃんが大好きで、ミミちゃんもそうだと思っていましたが、
どんなに仲良く遊んでいても、どんなにぐっすり眠っていても、
隣家に明かりが灯り、お隣さんが帰ってきた気配がすると
ミミちゃんは急にそわそわと隣家に向いた窓の前を行ったり来たりするのでした。
意地悪して知らんぷりすると、必死にニャーニャー鳴いて「開けて!」と要求します。
そして窓を開けた途端、一目散に帰っていくのです。振り返りもせずに!
なんでしょうねぇ。日陰の身になった気持ち(笑) 本妻(=お隣さん)には敵わないのです。
次の日になれば、またミミちゃんは遊びに来て思いっきり甘えてくれるのですが
夜になってお隣さんが戻ってくれば一目散に帰っていってしまう。
どんなに仲良くなっても、ミミちゃんの帰る場所はお隣。
どんなに仲良くなっても、ミミちゃんはうちのコにはならない。
ああ、うちのコにしたい!…って、
これ、人間相手だったら、危険な情事になるのでしょうか?(^_^;)

そんな訳で(=危険な情事にならないために)、我が家に迎えられたのが、とらちゃんでした。
確か生後4か月くらいだったと思います。
4か月といえば、まだまだチビッ子ですが、
いつものように遊びに来たミミちゃんを、とらちゃんは物凄い剣幕で威嚇しました。
ミミちゃんの方が体が大きく、その気になればとらちゃんより強いはずなのに、
ミミちゃんは喧嘩することなく、すんなり出て行きました。
そしてそれ以来、家に入ってくることはなくなったのです。
「ここはもうあのコの家だから、私が来てはいけないの」と悟っているようでした。

何だかミミちゃんに悪いことをした気持ちでいっぱいになりましたが、
ミミちゃんは、外では、そう私が一人でいる時には、変わらず嬉しそうに駆け寄ってきてくれました。
でも、とらちゃんが一緒の時は、遠慮して近くには来ませんでした。

(写真は、手前がとらちゃんで、奥、遠くにいるのがミミちゃん)

人間にもいろいろな性格があるように、猫も性格はいろいろです。
ミミちゃんは、本当に賢くて可愛い猫でした。
ミミちゃんに会わなければ、ミミちゃんじゃなければ、
猫を飼いたいと思うこともなかったし、猫と暮らすこともなかったと思います。
猫と暮らさなければ、引っ越してきた当初、気の滅入るようなロケーションだと思っていた土手が
猫との楽しい散歩道になることもなかったでしょう。

その後、ミミちゃんはお隣さんと一緒に引っ越していきました。
私を猫好きにしたミミちゃん。今も元気なら、おそらく23か24歳になっていると思います。

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6 コメント

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 (がんばるたん)
2016-09-20 15:51:35
あの土手の風景と猫と共にあったreiさんの暮らしが
ありありと手にとるように感じられて読みいってしまったわ。
文章も素敵だし絵と合わせて1冊の絵本になりそう♪
とらちゃんとミミちゃんの写真も素敵だし。


そうそ、ウチは小さい頃から猫も金魚もセキセイインコもカナリアも・・・と色々いたことも思い出したよ。当時からざっくりだったんだわ笑
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ありがと~ (rei)
2016-09-21 10:45:38
◆がんばるたん
あっという間に9月も後半。
青森はもう涼しいのではないかしら?
ミミちゃんの写真、もっと色々あるんだけど、
家に遊びに来ていたのはお隣さんには内緒なので、アップの写真は控えて絵で代用しました。
でも、お隣さんが引っ越す時に挨拶に来られて、いつも遊んでくれてありがとう的なことを言ってたからバレてたかも~(^_^;)
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Unknown (ゆかりん)
2016-09-22 14:16:35
ホント、reiさんの文章大好きです。
情景が手に取るようにわかり、ほっこりします。
エッセイとか出して欲しいくらい(^o^)

私は子供の頃は犬好きで、でも、いくら飼ってと親に懇願しても「どうせお世話するのはいつの間にかお母さんになっちゃうんだからダメ」と、飼ってもらうことはできず、当時は普通にそこら辺をうろついていた賢くて大好きだった野良犬と遊んで暮らす毎日でした。私も文鳥を飼っていたので、猫をと暮らすなんて想像もしていませんでした。

そのうち結婚して暮らし始めたマンションのベランダにベロのお母さんがある日訪ねて来たのがきっかけで、猫の魔力にやられ猫好きに。
その当時の野良ちゃん達との思い出は今でも鮮明に記憶に残っていて、当時の出会いがなければ今の猫との生活はなかったでしょう。
猫の素晴らしさを教えてくれたベロのお母さんや子どもたちに感謝!です(^^)

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私も犬も好きです~ (rei)
2016-09-23 10:45:30
◆ゆかりんさん
ありがとうございます~!
暫く思い出話が続くかもしれませんが
おつきあい頂けると嬉しいです(^^)
私も犬も好きですよ。妹が犬を飼っているのでたまに遊んでますが、猫と違って犬は適切な躾が必要なところが、なかなかハードル高いです。
ゆかりんさんの猫好きは、ベロちゃんのお母さん猫がきっかけなんですね!
ベロちゃんに似て大きい猫さんだったのでしょうか。
猫って、賢いけれど、人間の思い通りに動くわけではない。
でも相手を1度信頼すると惜しげもなくたくさんの愛情をくれる…情の深い生き物って感じがします。
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Unknown (ゆかりん)
2016-09-24 18:15:27
ベロににて…それがですね〜、2kgちょっとしかないガリガリなお母さんでした😅
毎日ご近所でご飯はあげていたんですが、子供の頃の栄養が良くなかったんだと思います。
体重はずっと知らなかったんですが、たまたま他の野良と喧嘩をして尻尾の付け根にの傷が膿んでしまい、痛さのあまりある日私に助けを求めに来たんです。
当時猫のことに全然詳しくなかったので、慌てて病院へ連れて行ってその時に計ったら2.1kgとかそのくらいでした。
ベロを生む前に3匹の猫ちゃんを産んでいたんですが、その中の1匹がベロそっくりで(笑)その子は野良なのに4.5kgあり、その子が大人になった時にお母さんが妊娠してベロが生まれたので、もしかしたらベロは自分の子供との子だったのかも😅

猫は思い通りに行かないところが面白いですよね。
常に媚びたりしないので、甘えてるときは本当に甘えたいんだなぁと思うと余計に可愛い(笑)

reiさんの思い出話、引き続き楽しみにしています♪
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Unknown (rei)
2016-09-26 15:45:24
◆ゆかりんさん
野良ちゃんだと、栄養状態が良くなくて小柄になる子、結構いますね。コブちゃん一家もみんな小柄でした。
でもでも2.1キロとは…本当に小さい猫さんだったんですね。外での生活は厳しいから助けてくれるゆかりんさんがいて良かったです!
そしてベロちゃんも、ゆかりんさん家の子になって、でっかく育って本当に良かった~~!
そう、猫は甘える時は本当に好きで甘えてますよね。嫌いな人間には甘えないし。
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