1.7KHzをクロスオーバー周波数にした2Wayフィルターネットワークを自作し、バックロードホーン用スピーカ:FE208SS-HPが低域、ツイーターが高域の2Wayシステムに変更しました。また、ツイーターのホーンを変更して、中域を強化しました。2Wayシステムバックロードホーンの音質を以前と比較し、メリット、デメリットとして評価します。
経緯
新しいバックロードホーン用スピーカを購入し、入れ替えてみたのだが、低域は力強くなったが、中高域は不足している。そこで、今まで使っていたスーパーツイーターをツイーターとして利用して、不足する中高域を補間していた。しかし、バックロードホーン用スピーカーとツイーターの両方から音が出ているので、ぼやけた音が聞こえる。
1. 1.7KHzをクロスオーバー周波数とした2Wayフィルターネットワークを自作
低域側がクロスオーバー1.7KHzのLとCのローパスフィルタ、高域側が1.7KHzのCとLのハイパスフィルタ、減衰量が12dB/Octave、クロスオーバー周波数で-6dBの減衰となる2Wayフィルターネットワークとした。
この2Wayフィルターネットワークは高域側、低域側共に同じ位相変化(同相)をする。そして同相なのでクロスオーバー周波数で+6dBの合成出力となり、周波数特性はフラットとなるようだ。
上半分が低域用LPF、下半分が高域用HPF。空芯コイルは自作した。180x120mmのプリント板の上に端子を立て、配線している。
2. ツイータードライバーD220Tiのホーンを変更
中域も担当するので、ホーン長が長い”HL11-25”に変更した。アルミ製で重さも有り、高級感も有る。
HL11-25 Datasheet:https://www.jbl.com.br/on/demandware.static/-/Sites-masterCatalog_Harman/default/dw491761d0/pdfs/JBL_CORNETA_HL11-25_TRIO_28056047_manual_portuguese.pdf
購入先は”Casa do Som”:https://casadosom.jp/。リーズナブルだ。ドライバーD220Tiも販売している。
3. 2Wayフィルターネットワークの設置場所はスピーカーボックスの上部後方
2Wayフィルターネットワークは、音出しまでスピーカーボックスの上部後方に置いてテストしていた。最終的な設置場所として、スピーカー後部の床上を選んだのだが、ガラリと音が変わってしまった。低域は歪のない低域のみ聞こえ、高域は勢いよく聞こえる。
"なぜだ"と床から離してみると、元に戻る。床下の鉄骨が影響して、空芯のコイルが鉄芯のコイルに変化し、コイルのインダクタンスが大きく増えてしまったようだ。
設置場所をスピーカーボックスの上部後方に戻した。2Wayフィルターの周辺に鉄製品は厳禁だ。
4. 2Wayシステムバックロードホーンの音質
・メリット
中高域がスッキリした。女性ボーカルがボケて聞こえていたのが無くなった。
高域はチタニウム振動板のドライバーを使用しているので、繊細なシンバルの音が再現できるようになった。
十分な低域と、フラットで伸び切った高域が特徴の音だ。
・デメリット
マルチスピーカにして、無くなった音がある。低域の力強さと、楽器等の鳴り初めの瞬間の音だ。
低域は十分に出力されているが、十分に制御されたゴリゴリとした低音ではなく、普通に”ウーン”と鳴る低音になってしまった。
原因は、2Wayフィルターのローパス側に使われているコイルL(2.26mH)だ。低域信号は常にこのコイルを通過するのだが、このコイルの抵抗値が0.9Ωもある。(銅線直径1mm、長さ34m)
パワーアンプのダンピングファクターは500以上となっているから、500とするとパワーアンプの出力抵抗は8/500=0.016Ωとなる。コイルの抵抗値:0.9Ωがいかに高いかが分かる。
FE208SS-HPは大型フェライトマグネットを二枚使用して磁気回路を強化しているが、そのメリットを弱めてしまった。
楽器等の音は複数の帯域の音で形成されているが、鳴り初めの複数の帯域の音が同位相で発音されると、バックロードホーンでは柔らかな瞬間音から始まるが、マルチスピーカーでは乾いたザラつきのある瞬間音から始まる。
ホーンツイーターを使用しているので、発音部分を同じ垂直平面位置に持ってくるのは難しい。また、2Wayフィルターを利用する限り、クロスオーバー周波数に近づくに従い遅れ位相になるから、すべての帯域で同位相で発音するのは不可能だ。
バックロードホーン関連
・ スピーカー用2Wayフィルターネットワークの設計と自作。フィルターネットワークに使う空芯コイルの設計と作り方。
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